【神戸ソーシャルセミナーwithしょうがい者(2018.10.17)】

「不平等をなくす」─福祉とまちづくり─

神戸ショーシャルセミナー、10月のテーマは「不平等をなくす」。第2回目の今回は福祉・アート系NPO法人「月と風と」の代表、清田仁之さんにお話しをしていただきました。

  • 清田仁之さん

 「障害者って不便はあるけど不幸じゃない」。その不便は周りのサポートで解消できる。そんな信念のもと2006年11月、「月と風と」は設立されました。誰かの力を借りつつも道を照らす月は障がい者をイメージし、風は街に流れる音楽をイメージしています。「地域一体となったまちづくりを」そんな想いがこめられています。

 

○スタッフは9人まで。

月と風とのスタッフは現在6人で活動しています。それは清田さん自身が大きな組織にいたときの「制限の多さ」からくる息苦しさを解消するためです。スタッフの気持ちや意見などにしっかりと耳を傾け話し合える環境を大切にしています。

 

○「全員を」という事が必ず平等とは限らない。

「みんなは助けられない」「自分たちが大切にできる範囲での活動を」清田さんが守っていることです。平等とは一体何であるのでしょうか、「同じ状況下に泣く人と笑う人がいる」そんな定義も付けられます。ひとには限界があり、それを見誤ると自身の本当にしたいことや目標さえも見失ってしまします。見失った意思は不平等を生み出しかねません。あくまで、自分たちで協力し合い、目の前の人を大切にする。「選択すること」は平等への第一歩であるのです。

 

○ミーツ・ザ・福祉

尼崎市には「提案型事業委託制度」というものがあります。行政が抱える事業を、希望があれば民間に委託するというものです。そこに「月と風と」が提案し、2017年「ミーツ・ザ・福祉」というイベントを開催しました。(左図は2018年度版ポスター)

従来、福祉のイベントというのは運営も来るひとも福祉関係といった場合が多いです。しかしこのイベントでは「福祉に出会うきっかけを」をコンセプトに「障害がある人もない人もそれぞれの違いを受け止め活かす」そんな場を目指して開催しています。

『ミーツ・ザ・福祉2018』公式サイト〈http://meetsthefukushi.strikingly.com/

 

○アートと福祉。

「障がいがあってもなくても同じ人間」という視点から、芸術を通すと「この発想は自分にはできない!」といったような逆転が起こせるため、福祉にアートを取り入れたといいます。プロジェクト「月イチ現代美術館」は自己の世界を自由に発表できる場です。ルールはひとつ、「必ずほめる」ということ。また発表された作品を集め汎用性の高い布を作成しチャリティー販売もしています。

  • 作品をコラージュしたグッズ。右は国民的アイドルの…?

  • 実際に着用してくださいました!

○明日が来るのが楽しいと思えるまちを一緒に。

月と風とのある尼崎市園田。米ポートランドのようにものを大切にし、ノースカロライナのように知的障害の方にも生活しやすいサインが日常にあふれている。そしてバークレーと同じくらいバリアフリーな街を目指す。それが「福祉のまち園田プロジェクト」です。そういった地域をつくれば、障がいを持ったひともいきいきと暮らせるのではないか。月と風とを拠点に、自分たちの声がゆき届く範囲内での活動を心がけています。

 

○月と風と、みなさんと。

その他にも「おふろプロジェクト」など障がい者と地域の人との交流を重視している「月と風と」。では障害を持っていない人は障がいがある人と対面した際、どのような対応をするべきでしょうか。

大切なのは「相手を知ろうとすること」。私は過去に知的障害の子に対し、過度に優しく接していた事があります。友人に「なんで○○君にだけ優しくするの?」と聞かれ、困ってしまったのを覚えています。今思えば「障がい者だから」という理由で優しくしていた(差をつけていた)ことがよくわかります。そうでなければしっかり説明できたはずです。

障がいという言葉で頭ごなしに判断するのではなく、話を聞き相手の得意不得意を受けとめ、自分にできることがあればカバーする。それがお互いに気持ちよく過ごす鍵となります。まずは受け入れる態勢を整える。それだけで状況は大きく変わります。「月と風と」は「障がいを持った人」ではなく「○○さん」と目の前の相手を見つめることを促します。地域の人全員が対等にいられる、そんなまちづくりを実現しているのです。(学生ライター関口)