【神戸ソーシャルセミナーwithフェアトレード(2018.12.12)】

「つくる責任 つかう責任」─フェアトレード─

 神戸ソーシャルセミナー12月のテーマは「つくる責任 つかう責任」第一回目の今回はフェアトレードに力を入れる現役大学生、高松秀徒さんをお招きしフェアトレードの現状や課題などについて教えていただきました。

○高松秀徒さんについて。

 高松さんは現在神戸大学 国際人間科学部 環境共生学科で学業に励むかたわら、神戸大学NGO「PEPUP」に所属しフェアトレードの活動にも力をいれています。

 「Fairで連想するものはなんですか?」そんな問いかけから始まった今回、参加者と積極的に意見交換をおこないながらの一時間半となりました。

○フェアトレードとは?

 フェアトレードとは「公正」を一番に考える貿易のことです。受けてきた教育や経済格差などから生じる能力の差、国際的にみた国の状況や生産力の差などがあるにも関わらず、同じ資本主義の世界で競争させられることは「公正」とはいえません。その「アンフェア」を考えていくのがフェアトレードの意義であり、一番の目的だといいます。

○なぜ「フェアトレード」を行う必要があるのか。

 世界的にも有名な大企業に雇われているひとたちを例にあげて説明してくださいました。フィリピンで企業への輸出のために栽培されているパイナップル。そこで働くひとびとは「farmer」ではなく賃金労働者を意味する「worker」とよばれているそうです。育てた果物をお金にしているわけではなく、あくまで「労働力」をお金に変えているのです。この「雇い雇われる」ことによって資本主義的関係が形式上は成り立っています。しかしプランテーションで働く労働者は一日約250円という現地でハンバーガーひとつ買えるかどうかの賃金で働き、基本的人権としての生活ができない状況にあるといいます。生きてゆくための労働に「人間らしさ」を奪われていては意味がありません。

○PEPUP活動。

 次に大企業における労働のアンフェアに対し、PEPUPのパートナー団体でのパイナップルを事例に考えていきました。大企業の行っているものとは根本的な考え方が異なる点がポイントとなるそうです。資本主義社会における上下関係ではなく、対等に取引をする。生産者に支払われる賃金の改善や、対話を通じた取引をこころがけるため生産者に「選択する機会」が増えるのだといいます。

 また、フェアトレードにおける10原則には「経済的弱者である生産者に機会を与える」にはじまり、「環境保全」や「ジェンダー平等」などもあります。高松さんはこの原則には広義にとらえればSDGs17の目標すべてが含まれているとおっしゃっていました。

○フェアトレードにおける矛盾。

 各商品、または認証を受けた団体にはフェアトレードの原則を守っている証拠としてラベルが貼られています。このラベルを受け取るためにはWFTO(World Fair Trade Organization)の監査が必要です。しかし、このWFTOの監査にかかる費用はすべて生産者側の負担となるそうです。現地まで行く航空券、すべての生産者を訪れる費用、宿泊費。経済的に貧しい人々を救うはずの活動であるのに、このような巨額の負担を背負わせている現状があるといいます。

 このような問題から独自で現地共通のラベルの作成もおこなわれているそうです。コストはかかりません。しかし正式な監査を通していない商品にラベルをつけることは「何のためのラベルであるのか」という疑問も残ります。しかし消費者にとっては「フェアトレードを意味するもの」は必要であり、この件はかなり不透明で課題も残ります。

○平和とは?

 「戦争がない状態」を「平和」とすることは消極的平和とよばれています。戦争がなくとも暴力問題、女性差別、貧困などがある状態では社会的に「平和」とは言い切れないからです。日々の消費活動での商品が、ある種の「暴力」によって製造されていたら、またそれを知る可能性はどのくらいでしょうか。高松さんはフェアトレードの「フェア」は生産者に対してであるのか、消費者に対してであるのか「フェア」の範囲を考えていくが大切だといいます。「ラベルの乱立」問題のようにフェアとうたわれているものにも矛盾が生じていたりします。常に疑いの視点をもって、たくさんの選択肢を持ち消費活動を行っていくことが重要であるとおっしゃっていました。

 生産者と消費者の距離を近くすること。フェアトレードを通してお互いを考える状況が生まれることが理想であり、実際には会っていなくても「対話」のように「相手の立場になる」「気持ちを掬う」ということを行ってゆくことが平和への第一歩でもあり、消費者の目指すべきところだといいます。

  • 当日多くの学生が参加してくださいました!

○いち学生の所感。

 今回セミナーで「あなたの思う平和とはなんですか?」と問われた際、私はノートの端に「朝ふとんの中で目がさめること」と書きました。社会では日々多くのことが目まぐるしく変わっていて、喜ばしいできごともあれば、痛ましい事件もあります。自分が平凡な朝をむかえたとき、誰かはどうしようもなく悲しい夜をすごしているかもしれません。今回「すべてはできない、どれを掬うか。どこを見つめるか」ということを再確認しました。

「フェアトレード」を選び「消費活動」というものを通して、実際に見ることのできる範囲の向こう側へ思考を巡らせる。「選び」「見つめ」「考える」。平和という漠然としたものを身近にするために必要なことだと考えます。相手について考えることが自分の立場を明確にし、次にすべき行動を知るきっかけにもなると感じました。(学生ライター関口)