【神戸ソーシャルセミナーwith食品ロス(2018.12.19)】

「つくる責任 つかう責任」─食品ロス─

 神戸ソーシャルセミナー12月のテーマは「つくる責任 つかう責任」。第二回目は循環経済学を専門とされ、NPO法人ごみじゃぱんの代表も務める神戸大学大学院経済学研究科の石川雅紀先生にお越しいただき「食品ロス問題」についてお話していただきました。

○NPO法人ごみじゃぱんの活動

 NPO法人ごみじゃぱんは2006年に創立されました。食品ロスの問題を扱う前は「包装」の廃棄を減らそうと、現在でも続いている活動「減装(へらそう)ショッピング」をメインに行ってきました。また「企業で新商品が出たことにより廃棄されてしまう旧製品」に新たな価値をつけて販売する「リバリュー」という活動も行っていたそうです。

『NPO法人ごみじゃぱん』〈 https://gomi-jp.jimdo.com/ 〉

○食品ロスについて

 食品ロスとは「本来食べることができた食品が廃棄されること」を意味します。世界での食品ロスは全体の3分の1とされ、その内訳は先進国では「消費段階」、途上国では「生産段階」が著しいといいます。何故そのようなことが起こるのか説明してくださいました。

○食品ロスの原因

 途上国の食品ロス「ポストハーベスト・ロス」について。直訳すると「収穫後のロス」となります。これは途上国で「段ボールやプラスチック容器などが供給されない」「収穫したものを保管しておく倉庫がない」ということから起こるそうです。せっかく収穫したものも輸送状態や保存環境の悪さからすぐに傷んでしまい、廃棄せざるを得なくなります。対して先進国の食品ロスは「デマンドドリブン・ロス」と呼ばれ、売れ残りや返品、食べ残しなど消費段階でおこるロスが問題視されています。

○先進国と食品ロス

 日本での食品ロスは世界の食料援助量を上回っているといいます。日本のエンゲル係数が13%なのに対し、途上国のある国では約59%。収入のほとんどを食に費やす「生きるため」の食料を捨てるということはまずありえません。しかし日本を含めた先進国ではものの値段も安く、途上国に比べれば食品に対して「貴重なもの」という意識は低い傾向にあります。これが「消費段階」でのロスが多い原因のひとつになっているそうです。

○日本における食品販売

 お店での売れ残り商品の廃棄も「消費段階」でのロスに深刻な影響を与えているといいます。日本では「3分の1ルール」「3分の2残し」という、納品の際製造日から3分の1を過ぎたら商品を受けとらない、販売期限は賞味期限の3分の2の時点までというものがあります。農林水産省がこの3分の1を2分の1に変更したらどのような影響がおこるのか調査したところ、「返品は減る」という結果になったといいます。しかし現状は変わらず、それどころか「賞味期限を延ばす」という策が広がっているといいます。根本的な問題は今も変わっていません。

○フードドライブ

 「フードドライブ」とは家で余っている食品を持ちより、それらを必要としている人々に寄付する取組です。食品廃棄の削減だけではなく誰かを支援することにもつながる活動となっています。石川先生はこれから進めるべき取組であるとおっしゃっていました。しかし「消費者は匿名で責任を果たすことが困難」「関係者が多く複雑化される」など課題も多く、解決策が必要とされています。

  • 小学生から社会人まで幅広い年齢の方におこし頂きました!

○食品ロスは世帯によって異なる

 食品ロスにおいて「手つかず食品」の割合が高い世帯は大家族だといいます。一度に多くの食品を買う傾向にあるため在庫の管理がおろそかになり、賞味期限を切らしてしまう傾向にあります。賞味期限が長いものを買う傾向にある人も手つかず食品のロスが多く、在庫管理の重要性をおっしゃっていました。また、売られているお惣菜の量が多すぎたり、一人暮らしではなかった時の量を作ってしまうなどの理由から「食べ残し」は高齢者のひとり暮らしに多いそうです。

このようにそれぞれの世帯によって食品ロスの傾向は異なります。まずは自身の「食品廃棄」の傾向を理解していることが大切です。現在では神戸市とNPO法人ごみじゃぱんが共同となって「食品ロスダイアリ―」という食品ロスを管理するためのアプリもつくられています。

『食品ロスダイアリー』〈 https://gomi-jp-foodloss.com/ 〉

○いち学生の所感。

 今回生活する上でどのくらい自分が食品を廃棄しているのか考えさせられました。例えば野菜の切り落とした部分や外で飲み切れなかったコーヒーなど、もったいないとは思いつつ「自分が捨てる量なんて限られている」と思っていました。しかしそれも長い期間で考えれば大きな数字になりますし、何よりも事前に防げることであるということを認識しました。食品を取り込むことにばかりに気をとられ、その後のことはあまり深く考えていなかったように思います。今回石川先生から食品に対する「別角度の視点」を教わりました。それは本来別の角度などではなく、当たり前に考えなければいけなかったことであるのですが、私にとって「食品ロス」の話題は新鮮でありました。消費行動は「自身以外への影響」にも目を向ける必要があると気づかされ、「生活と食品」「私自身と食」について改めて考えなおすきっかけとなりました。(学生ライター関口)