【神戸ソーシャルセミナーwith環境経営(2018.12.26)】

「つくる責任 つかう責任」─環境経営─

 神戸ソーシャルセミナー12月のテーマは「つくる責任 つかう責任」。第三回目は神戸大学大学院経営学研究科・神戸大学経営学部の國部克彦先生をお招きし、環境と企業活動の関わりについて教えていただきました。

○CSRとSDGs

 CSR(Corporate Social Responsibility)「企業的責任」は人権を守る、環境を破壊しない、地域社会に貢献するといった、組織に社会への影響を考慮した上での活動を促すもので、2000年にEUが政策的に採用したものが始まりだそうです。その課題は多く、中でもSCP(Sustainable Consumption and Production)「持続可能な生産と消費」を今の経済構造のなかで行うのはほぼ不可能だといいます。利益を求める組織が「必要な分だけ買う」ことを推奨するはずがないからです。

 そこに2015年、SDGsが採択されます。CSRとSCPも含まれたものです。これによって対象や目標は明確化され、CSRで生じていた「企業の社会的責任に関する活動は、会社の利益が出た部分から取り組むもの」という意識は緩和されつつあるそうです。「企業活動」と「環境保全」をいかに両立させ、持続可能な社会を築けるかが問われる時代になっています。「SDGs」と「企業」の関わり方で大切なのは一点を深堀することだといいます。17つの項目は全て「課題である」ということを念頭におき、マネジメントそのものを考えてゆく重要性をおっしゃっていました。

○環境からみる経済。

 環境の視点でのロスは「廃棄されるもの」ですが、経済の視点では「売れていないもの」となります。この差異を埋めるためにも「環境と経済の同軸化」が必要だといいます。マテリアルフローコスト会計(MFCA)はそのための主要手段だそうです。

 セミナーではキャノンでの導入事例を挙げて説明してくださいました。この計算方法は「材料」に注目した原価管理を目的としたもので、加工する前の「原材料費+加工費」から「廃棄物」の値段を割り出す手段です。これによって経済的な面で「ゼロ円」とされていた廃棄物に環境的ロスとしての金額評価が行われ、どのくらいの無駄があるのか可視化する事が可能だといいます。

更にこの「ロスの金額」は「3R」の中でも「Rduce」に注目することにつながります。生産プロセスへの投入(原材料など)をいかに減らしていくか、問題を根本的なところから解決するきっかけになるといいます。しかし他二つ「Reuse」「Recycle」に比べて企業の本業に影響を与えるため難しい部分があり、策を考えてゆく必要もあるそうです。

○企業とSDGs

『SDG Compass』とは企業に向けられたSDGsの行動指針です。「SDGsを理解する」「目標を設定する」「経営へ結合する」など全部で5つのステップからなります。それぞれ細かく内容が書かれていますが、このSDGコンパスでは利益やコストなど会計的に具体的な企業活動にどう落とし込むかについては触れられていないといいます。そこでコンパスの内容にプラスして「マテリアルフローコスト計算」のようなコストや利益の情報を取り入れ、SDGコンパスをより具体的なものにしていくことが重要であるとおっしゃっていました。

○いち学生の所感。

 今回のお話を聞いて「ロス」が環境面と経済面で異なるという話が印象に残りました。前回のセミナーで「食品ロス」の話を聞いたばかりだったこともあり、食品ロスも経済面から言えばロスにならないという点に関心を持ちました。私の経済についての知識は高校の授業での「政経」くらいだったのですが、授業で学んでいたような「利益を追求する」という面だけではなく、「環境保護」からみる経済もあるのだという新しい側面を知ることができ勉強になりました。今回初めて経済について面白いと感じ、「経済は難しいもの」という偏見が自分の中にあったことに気づきました。「知ろうとすること」がいかに大切か再確認しました。(学生ライター関口)