【神戸ソーシャルセミナーwith 株式会社NOTICE 布谷由美子氏、灘中学校・高等学校教諭 片田孫朝日氏(2019.3.6)】

今月のテーマは「ジェンダー平等」。今回は片田さんと布谷さん、お二人のゲストをお招きし、ジェンダーと仕事のあり方についてお話して頂きました。

 

*布谷由美子さん

民間企業を退職後、宝塚市男女共同参画センターにて女性活躍推進専門員として女性の能力開発・就労支援に力を注いでいた布谷由美子さん。現在は株式会社NOTICE代表取締役、WLB(ワークライフバランス)コンサルタントとして活動しています。

 

○「自分で選択したつもり」

大学での履修を終え27年前に就職したという布谷さん。当時は結婚すると女性は退職することが当たり前だったといいます。自身も結婚する際に仕事を辞めたそうですが、そのことについて「自分で選択したつもりなんですよ」とおしゃっていました。選択したのは自分であるはずなのに、抗えない社会のルールが存在する。そんな違和感がこの言葉に込められていると感じました。再度働く願望があった布谷さんは再就職を試みますが「子どもがいてどうするん?」「夫にまかせればいいじゃない」などの言葉を受け、なかなか採用をもらえなかったといいます。

 

○「働いて幸せになる人を」

布谷さんは民間企業を退職後、宝塚市で専門員として働きます。しかし非正規であることや、責任ある仕事を任されにくい事に不満と疑問を感じ、「働いて幸せになる人を増やしたい」と2012年に株式会社NOTICEをたちあげました。「男は70点80点でも採用するけど、女は100点じゃないと採用しない」といった女性に不利な就職活動を支援するために「女子限定中小企業合同説明会」も開いています。やる気のある女子生徒と、従業員を大事にする優良企業を結ぶ会となっています。第一回を開催した当初は「女子しかいないなんて企業はこない」などと言われたそうですが、布谷さんは「必ず需要がある」と続け、昨年8回目を行いました。女性が不利にならない就職活動支援を行っています。

 

〇ワークライフシナジー(相乗効果)

誰もが活躍できる会社は「ワークライフシナジーができている会社」だといいます。仕事をする母親は会社の重荷になるどころか、保育園に子どもを迎えに行く時間までに自身の仕事を片付けたり、仕事の引継ぎが上手い人が多く、「決められた時間内で高い成果を出す」優秀な人が多いと布谷さんはおっしゃいます。

「家庭での自分」と「職場での自分」、両方で無理なく過ごせる環境を。今は女性だけでなく男性が両親の介護のために退職するという例も多くなっているそうです。少し前までの「男性は外で労働を」「女性は主婦業を」という風潮は大きく変わり始めています。布谷さんはより多くの人が「仕事」と「家庭」を両立させ、負担の少ない生活ができる会社になるように活動しています。そのためには今までと違った基準での評価と育成が必要であると、現在の社会を取り巻く風潮や規範を変える必要性をおしゃっていました。

 

*片田孫朝日さん

灘校で公民の教師を務める片田孫朝日さん。片田さんは自身の生まれ育った家庭環境から「仕事観」が幼い頃から他と違っていたといいます。社会に多くある形での、「男性が家庭を支える」「女性は専業主婦」という観念はなく、仕事と生活の両立を男性も女性もができる社会になるように研究を続けています。

 

〇片田さんの仕事観

片田さんの父親は活動家で社会活動を行い、家庭の経済を支えているのは母親だったそうです。自由に好きなことをしていた父は若々しく楽しそうだったといいます。母親も50歳の時に「学びたい!」と留学を希望、父親も片田さんも母親の希望に同意し応援したといいます。母親はそれからやりたい事を我慢して勤務していた時よりも明るくなったそうです。そんな家庭環境から「仕事=忍耐になることがある」「楽しく、やりがいがあり、人の役にたつことも、お金になると限らない」、「仕事(お金・自由のための労働)は仕事」辞める事ができなくなるため「カップルの片方だけが稼ぐのは危険」などの仕事観を早いうちから持っていたそうです。

 

 

〇「仕事だけではない生活」

片田さんは学校勤務当初、自身の行う授業の種類とコマ数が多いことで「働くために生きる」かのような生活を強いられました。授業の質の低下にはじまり、飲酒量増加、体調悪化など生活に支障をきたしたといいます。そこで片田さんは「給料をへらしてもいいので授業数を減らしてほしい」と希望を出し、話し合いの末、無理のない範囲での授業数にしてもらったといいます。この片田さんの行動のおかげで他の先生方も家庭の時間を取りやすくなり、職場に子どもを連れてきやすくなったりと学校の働き方の方針が変わったそうです。

片田さんの「お金・自由のための労働」をする上でも自己を尊重する姿勢は幼い頃から「自由にやりたい事をしていた父親」と「長い間家庭の経済を支えていた母親」を見ていたからだと感じました。この片田さんの意思と行動は「人間として当たり前」のことでありながら、現在の日本では浸透していない現状もあります。

 

〇「男性の自由と男女平等と」

日本の社会で「仕事優先」という固定観念を外し、自分のしたいように時間を設計する。「男の労働時間が減り、私生活の時間をもつこと」と「男女が平等になること(賃金、家事・育児・介護の分担、趣味)」は別のことであるといいます。布田さんはこれから、男女共に時間に余裕をもった働きやすい社会のために男性に届く言葉での本を書きたいとおしゃっていました。

 

〇イチ学生所感。

行動できるひとは強い。企業した布谷さん、管理職に自身と仕事量のバランスの改善を要求した片田さん。自身の疑問や不満をきちんと理解し社会に飲み込まれることなく行動している点に、これから社会に出る身として頼もしく思う。自身の気持ちを優先してもいいのである。それを知っているのと知らないのでは天と地の差があると思う。

今回お二人の話を聞き「女性だから」「男性だから」と考えることの無意味さを改めて感じた。「目の前にいるひと」の得意不得意を理解し、尊重する必要がある。「性別」は付属の情報くらいにとらえたいと思う。布谷さんも片田さんも自身の「行動」に「自分が男性/女性であるから」という不平等な力が働くことは許さない。社会では当たり前として処理されている、でも確実におかしいこと(「育メン」という言葉はあっても「育ウーマン」なる言葉はないなど!)に敏感でありたいと思う。社会に流されない、自分の言葉を持ち大切にする必要があると学んだ。