【神戸ソーシャルセミナーwith 公益財団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン 伊藤愛氏(2019.4.3)】

みなさんこんにちは、初めまして!学生ライターの下尾です。

新年度初めのソーシャルセミナーはSDGs課題16「平和と公正」をテーマに、公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンの伊藤愛さんにお話しいただきました。

  • Save the Childrenとは

Save the Childrenは、日本を含む世界約120か国で子ども支援の活動をしている民間・非営利の国際NGOです。海外では緊急・人道支援をはじめとし、日本国内では災害時における心理社会的支援等を行っています。

 

  • 子どもたちを学校に呼ぶには?―アフガニスタンにおける教育支援

教育支援に関して、人口3000万人のうち1600万人、約51%を子どもが占めるというアフガニスタンを例に挙げてお話してくださいました。

そんな、子どもの数が多い国や地域でも、学校があっても子どもたちが学校に来ない!という例が少なくないようです。それはなぜなのでしょうか。

伊藤さんによると

・働いている

・親が教育の大切さを理解していない

・(学校はあっても)先生がいない

・経済的余裕がなく文房具が買えない

等の理由から、そのような事態が起こってしまうようです。

そこで、これらの理由を踏まえたうえで、「子どもが学校に行けるようになるプロジェクトを考えよう」というテーマのもと、案を出し合いました。

参加者の皆さんは、支援内容に関して“持続可能性”-その場限りで終わらせない というところに着目されていました。例えば、子どもの親をいかに巻き込んでいくか、という論点では、「地域と先生の関わりを作るために、学校をコミュニティの場にしてはどうか」といった案が挙げられました。物資支援においても、ただただ文房具を寄付するのではなく、教科書など何度も使えるものにしてはどうかという提案もありました。

各案を共有した後、伊藤さんから、Save the Childrenが実際に行っている支援内容の説明がありました。先生たちが教え方を知らない、という問題を解決するための『教員研修』や、公立の学校に編入するための読み書きの能力をつけるため、村の集会所等で『識字教室』を開催しているとのことでした。その他に、とても面白い取り組みだなと思ったのが、『子ども劇』です。その名の通り地域の子どもたちが劇をするのですが、なんと、そのテーマが「学校に行けないとどうなるか」とのこと!実際、娯楽があまりない農村部では、子どもの親をはじめたくさんの大人たちが見に来るそうです。支援者である外国人だけで対象に働きかけるのではなく、地域の人々も巻きこみながら、また劇という“楽しい”要素も交えての取り組みは、一方的な押し付けに終始せずコミュニティへの働きかけを含んでいるという点で素敵だなと思いました。

  • SDG16 「平和と公正」との関わり

平和構築という観点から、制度を整えることの重要性に触れられました。例えば、Save the Childrenだけでは法律を作ることは困難ですが、現場に行き子どもの声を集め政府に政策提言をすることは出来ます。制度への働きかけを行っているという点で、SDG16との関連性を説明してくださいました。

  • Be inclusive

伊藤さんのお話の中で、“問題解決のために他の組織と協働する”という点が強く心に残っています。例えば、西日本豪雨の際には、避難所に隣接した施設で子どもたちが安心・安全に過ごすための空間『こどもひろば』の実施において、行政機関や他の団体と調整をとったとお話ししてくださいました。

「Save the Childrenだけで100%を達成しようと思っているわけではない」という伊藤さんの言葉が心に残っています。それは支援活動を行う上で、どのように現地の人たちに引き継いでいくのかということはもちろん、上記で挙げたように、他の組織との連携が大切であるということに他なりません。これはまさに、SDG17の「パートナーシップで目標を達成しよう!」にも繋がることであるなと思ったのです。

様々なセクターの人たちが関わりあってこそ、協力しあってこそ、平和で公正な社会、ひいてはSDGsが目指す社会の達成に繋がるのだと思いました。

立場やバックグラウンドが異なる人々との関わりの中での達成、様々な人や組織を巻き込みながら、というプロセスの中で大切になのは「インクルーシブ」という視点です。「インクルーシブ」とは、直訳すると“包摂的な”という意味で、SDG16の説明にも用いられている言葉です。ですが、少し分かりづらいですよね。

ここで、伊藤さんの冒頭のお話を紹介したいと思います。ある時、国籍の異なる3人の子どもたちが一緒に遊んでいた時、英語がわかる2人の子どもたちだけで話を初めてしまい1人の子どもがきょとんとしてしまったことがあったそうです。その様子を見ていた大人の一人が、[S5] 子どもたちに向けて「Be inclusive」と言ったそうです。つまりは、「仲間外れを出しちゃいけないよ、みんなで話そうよ」ということです。どうでしょうか。“包括的な”という言葉よりもずっと分かりやすいですよね。

以上からわかるように、「インクルーシブ」とは、一人ひとりの違いを排除するのではなく価値あるものとして高く評価し、社会全体で包み込むように迎え入れることを指します。そうすれば、それぞれの能力やスキル、経験、強みを最大限に活かし協働出来るからです。

○伊藤さんのお話を通して、自分自身を振り返る●

「他の組織と共に活動することもある」という伊藤さんのお話を聞いたことが、自分自身の関わってきた組織を振り返る機会になりました。

わたしは現在大学4年生ですが、ついこの間までフェアトレードに関心のある学生を繋ぐネットワークの運営に携わっていました。関西だけでも、フェアトレードを推進している、もしくは何らかの形でフェアトレードに関わっている学生団体は15ほどあります。運営をする中で、各団体を繋ぐ意義・ネットワークの役割について頭を抱えることが多々ありました。なぜなら、それぞれの団体(サークル・部活)は当たり前ですが、いち組織として独立しており活動理念も団体ごとに異なります。言うなれば、それぞれの理念に基づいたやりたいことの多くは団体内で達成できてしまうわけです。そのような状況下におけるネットワークの意義とはなんなのか、また、その意義を感じてもらえるような場を設けるためにはどうすればいいのか、ということに関して長らく悩んでいました。

15ある団体ごとの活動を例に挙げると、団体自らフェアトレード製品の仕入れ、販売を行っているところもあれば、途上国の生産現場を見に行けるスタディツアーをコーディネートしている団体、フェアトレード製品の委託販売のみを行っている団体、勉強会メインの団体、フェアトレードだけにとどまらず、子ども支援や大学地域付近でクリーンナップ活動を行っている団体など、それぞれに特色があります。

もちろん、先ほども述べたように団体ごとに理念や活動は異なるわけですが、フェアトレードという手段をとって、目指したい社会があることは共通していると思います。ですからわたしは、せっかくのその考えや多様な手法を自分の団体だけに留めておくのではなくて、出来るならば外に出していってほしい。活動する中での困りごとや、これから目指していることを共有してほしい、という風に考えていました。なぜなら、そのことが活動内容を見直すきっかけになったり、新たな取り組みのヒントを得たりということに繋がっていくと思っていたからです。もしかすると、コラボしてなにかイベントを行おうという話も出てくるかもしれません。また、少なくとも仲間がいるとわかることだけでも活動のモチベーションに繋がっていくと考えていたからです。

今回の伊藤さんのお話を通して自身の活動を振り返り、目指す社会の達成のために集い協働すること、いろんな人たちを巻き込みながら動いていくこと、その大切さについて改めて考えさせられました。完全に個人的なイメージですが、NGOというと国内外問わず数多く存在しているため、それぞれがそれぞれの理念を曲げる気はさらさらなく、「私たちなりのやり方がある!」と肩ひじを張ってるイメージで、正直に言うとNGO間において協力的な印象は抱いていませんでした。ですが、肩ひじを張る必要はなく、専門としている分野であったり、強みとしている部分をそれぞれが出し合って連携すれば良いのですね。共通の目標に向かった協働のために理念を曲げる必要はなく、むしろ出来ること出来ないこと含め、お互いがお互いを認め合っているからこそ、必要に応じて補完できるような体制があるのだろうなと思いました。(これも、インクルーシブという考えが根底にあってのことですよね!)

長々と書いてしまいましたが最後に、「インクルーシブ」という視点を持つ上で、こうなったらいいなという社会を共に作っていく仲間や機会を見つける場として、このプラットホームが皆さんにとって(もちろん私にとっても)そのような場であればと願っています。

※記事に含まれるコメントはいち学生の所感です。