【神戸ソーシャルセミナーwith 公益財団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン 伊藤愛氏(2019.4.3)】

神戸ソーシャルセミナー、4月のテーマは「平和と公正」。今回はセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンの伊藤愛さんから、国内外での主な活動や活動理念についてお話して頂きました。途中、参加者同士でグループをつくり意見を述べ合う場面もあり子どもの権利を実現するために何ができるか皆で考える1時間半となりました。

 

〇Save the Childrenについて

セーブ・ザ・チルドレンはイギリスで設立された子どもの支援を専門とする非政府組織(NGO)です。「子どもの権利条約」を根底に、「生きる」「育つ」「守られる」「参加する」を世界中の子どもたちが実現できるようにと活動しています。日本では1986年に設立され今年で33年になります。伊藤さんは2002年に企業から転職をし、18年近くをセーブ・ザ・チルドレンのメンバーとして国内・国外の子どもの権利を実現するための活動をされています。

 

〇アフガニスタンの事例から

アフガニスタンは人口のうち約半数が18歳未満の子どもだと言われているそうです。アフガニスタンの子どもたちを取り巻く課題はたくさんありますが、今回は「教育」の観点からお話をしていただきました。子どもたちが教育を受けられない理由として、学校へ行くお金がないことや兄弟の世話や労働をしていること、親が十分な教育を受けていないため子どもに行かなくていいと言っているなど、アフガニスタンの子どもたちと教育の現状について教えてくださいました。

 

〇子どもたちが教育を受けられる支援とは?

伊藤さんから、学校建設をしたのに学校に来ない子どもたちがいるとう想定で、「学校に子どもたちを呼ぶにはどうしたらいいか」という事について3人ずつのグループワークを行いました。参加者同士で意見を述べ合う中で、「親の意識を変えるため教育のメリットを親に知ってもらう機会をつくる」「学校を開かれた場にする」「学校をでた生徒を見てもらい教育の重要性を実感してもらう」など多くの意見がでました。

最後に、セーブ・ザ・チルドレンが現場で行っている教育支援活動について紹介がありました。まずは「教員研修」だといいます。教員になっている大人が子どもの時にきちんとした教育を受けられなかった例もあるため、ワークショップのような形で模擬授業(ひとつの模造紙を囲み意見を書き出していくもの、教員も生徒役になり授業を行うものなど)を行い教員自身がその教育がどのような効果につながるのか率先して体験するというものです。質の高い教育の提供に繋がります。また、参加者からの意見もあったように「学校を開かれた場にする」「教育のメリットを知ってもらう」場として「子ども劇」を行うこともあるそうです。「子ども劇」は教育の大切さを子ども自身が発信することで、地域の人たちの教育に対する意識を前向きに変える効果もあるといいます。

 

〇日本での活動

セーブ・ザ・チルドレンと聞くと海外支援の印象が強いですが、日本を拠点としているセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは日本国内でも支援活動行っています。例えば、自然災害などの際に被災した子どものこころに寄り添う「子どものための心理的応急処置」の実践は勿論、研修やパンフレットの配布など情報発信にも取り組んでいるそうです。

 

〇セーブ・ザ・チルドレンのこれから

セーブ・ザ・チルドレンの活動は、「権利」をベースとしているため「すべての」子どもたちに支援を届けることを目指しています。仮に支援の結果、教育を受けることのできる子どもの割合が50%から90%に上がったとしても、残り10%の子どもたちをどう支援していくかを追求するといいます。そのために場合によっては他の支援団体とも手を組み働きかけているそうです。子どもたちの権利を守るという視点から「平和と公正」の実現に取り組んでいます。

 

〇イチ学生の所感。

「学校建設だけで子どもたちが教育を受けられるようになるわけではない」なんて、言われてみたら理解ができるし、何故なのかもある程度なら推測できます。言われるまで気づかなかった自分にショックを受けました。私の「平和ボケ」とも言い換えられるそれは、「想像力の欠如」とも言えると思います。「想像力の欠如」は鋭い刃をもった凶器のようなもので、簡単にひとを傷つけてしまうし、自身にも影響を及ぼします。価値観を押し付けてくる人に嫌気がさして、自分は違う、自分は相手のこと考えて傷つけたりなんてしないと思っていましたが、そんなはずもなく自分の中の「当たり前な事」がある人の価値観を否定する可能性は常にあるという事に改めて気づかされました。「平和と公正」を伊藤さんは「inclusive」(含んでいる)という単語を用いて説明してくださいました。「平和と公正」のために世の中の物事全部を知る事は難しいですが、想像することは可能です。今回のセミナーで意見交換などを行ったこともあり、海外の問題が極身近なものに感じました。様々な角度や価値観から「想像すること」を忘れたくないと思います。(学生ライター関口)