【神戸ソーシャルセミナーwith 認定NPO法人テラ・ルネッサンス 栗田佳典氏(2019.4.10)】

みなさんこんにちは!学生ライターの下尾です。

今月第2回目のソーシャルセミナーは、前回に引き続きSDG課題16「平和と公正」をテーマに、NPOテラ・ルネッサンスの栗田さんにお話を伺いました。

  • テラ・ルネッサンスとは

日本を含めたアフリカ・アジア地域で「地雷」「小型武器」「子ども兵」「平和教育」という4つの課題解決のために、現地での国際協力や国内での啓発・提言活動を行っているNPOです。

☆今日のキーワード1-「レジリエンス」

テラ・ルネッサンスの方たちが平和を築いていくうえで大切にしている考え方「レジリエンス」について教えて頂きました。「レジリエンス」とは、“困難な状況に直面しても自らに内在する多様なチカラと、周囲との関係の中でそれを乗り越えていく適応能力”のことを指します。

  • 平和への第一歩

平和への第一歩として、物事を自身に引き付けて考えるきっかけとして、以下の3つのアプローチを挙げてくださいました。

☆観心-知る

☆感心-感じる・考える

☆関心-関わってみる

 

1,まず、知ること

2,そしてそれについて思考してみること

3、頭の中だけで終わらせず実際に場所に行ったり、コミュニティに関わってみること ということですね。

  • 平和以外なんでもある国-コンゴ民主共和国

テラ・ルネッサンスの活動地域の1つであるコンゴ。コンゴは中部アフリカに位置する共和制国家で、国土は日本の約6倍、魚・芋・肉・とうもろこしなど食材も豊富な上に鉱山資源にも恵まれており、世界で2番目の広さを誇る熱帯雨林を持つ自然豊かな国です。そんな、自然にも資源にも恵まれているコンゴですが、恵まれているがゆえに外国勢力の制圧の対象になってしまい、諸外国から様々な部隊が乱入、それらと戦うために武装勢力が増えていくという連鎖により紛争が絶えない国です。また、こうした治安の悪化により、女性の性暴力被害も後を絶ちません。

そんなコンゴという地で、テラ・ルネッサンスは以下のようなことを進めています。東部地域では、元子ども兵の男の子に対して溶接の技術を伝える活動を行っています。溶接は村の病院や教育施設で使う大型の鉄製ドア等を作るために現地で必要な技術です。溶接を習う前までは、自分で出来なかったため、注文をするために山を越え、武装勢力が台頭している場所を通らなくてはならなかったといいます。溶接の技術を覚えることで危険回避が出来ることはもちろん、生活に関わるスキルを取得でき、地域住民の助けになっているそうです。

一方、身体的・精神的な傷を負い、経済的にも脆弱な状態にある、紛争被害を受けた女性たちには洋裁の技術を伝えると同時に、女性たち同士でグループを結成し、小さな洋裁店を開業するビジネス支援を行っています。技術向上によって作り手一人ひとりの個性が出てきたことに加えて、表情が豊かになったりと目に見える変化もあったそうです。

また、街に近い中央地域では、街に流通させていくもの、ジュースや石けんの生産に励んでいるそうです。

  • 戦争に加担しているかもしれない私たち、消費者

コンゴでは、武器を買うためにお金を稼ぐ手段として希少な金属であるレアメタルの採取に従事する人々が数多くいます。紛争の資金源となっている鉱物のことを紛争鉱物(コンフリクト・ミネラル)と言い、スズ・タンタル・タングステンなどを指します。それら紛争鉱物はスマホやテレビ、パソコンなどの電子機器に多く使われているもので、最先端のチップ等には欠かせないものです。紛争鉱物という名前だけ聞くだけではぴんと来ないかもしれませんが、私たち含め先進国の人たちは、日常生活の中でレアメタルの恩恵を受けているということです。

栗田さんによると、最近ではドット・フランク法という紛争鉱物に関わる規定に基づき、紛争に関わる鉱物は用いていないという旨、トレーサビリティをすべてWeb上で明らかにしている企業が増えてきているそうです。「メーカーの名前 紛争鉱物」で検索すると、その企業の紛争鉱物に対する意識や取り組みが掲載されています。何も知らずに、調べることなく製品を購入することが、アフリカの地における紛争に加担することになるかもしれないというのは恐ろしいことですよね。

  • 栗田さんのお話しを聞いて○

前述した、「平和への第一歩」とも繋がりますが、改めて、まずは知ること-「知ろうとすること」の大切さを感じています。毎日色んな情報が溢れかえっていますが、気に留めようとしなければ、ただ流れていくだけです。ある事象やその背景を身近に引き付けて考えるためには、自らそれについて知ろうとする前のめりな姿勢が不可欠だと感じました。

-「レジリエンスを発揮してくれている、その人に内在するものを引き出していく、それが私たちの役割である。(栗田さん)」- レジリエンス、そしてこの栗田さんの視点は国際協力という文脈だけではなく、どの場面においても欠かせない視点であると感じます。“自らに内在する多様なチカラと周囲との関係の中で困難を乗り越えていく”という栗田さんの言葉をお借りすると、例えば会社という組織においても、共に仕事をする上で、相手がどんな能力を持っているかを見極めることは重要です。また、自身の興味関心・スキルの把握はもちろんのこと、それらがどのような場面で活かせるかということを自分自身が分かっていることも重要ですよね。

テラ・ルネッサンスのスローガン、“一人ひとりに未来を創る力がある”というのは、現地の人たちや栗田さんの活動もそうですが、私たち含め先進国の人々の買い物における選択にも同じことが言えると思います。「電子機器を買うときは紛争鉱物が使われていないか気にしてみよう」という視点を持って買い物をするのとしないのとでは、大きな違いがあります。知らない所で、紛争に加担しているかもしれないということはとても恐ろしいことです。どのような世界を目指していきたいかという視点を持ち、その世界に少しでも近づけるようなお金の落とし方・買い物をしたいと思います。

コンゴは平和以外なんでもある国と言われているということを聞き、日本はどうなのか?と考えました。確かに、日本には戦争はありません。でも、戦争がないことだけが、平和な状態なのでしょうか。日本には戦争こそありませんが、子どもの相対的貧困や、外国人に対する差別など、私たちの身近なところでも対処すべき問題は溢れています。以前、平和とは何かという話を友人とする機会があったのですが、そこである考えに出会いました。平和学の父、ヨハン・ガトゥング博士によると、戦争や紛争がない状態を消極的平和と言い、それに加えて差別・貧困・抑圧などの社会の構造的暴力がない状態を積極的平和と言うそうです。つまり、これは戦争がないことだけが平和ではないという1つの考え方を示してくれています。

ここで栗田さんのお話を1つ。あるとき、ウガンダで出会ったとても思い入れのある女の子、チカちゃんに「平和ってなに?」と質問したそうです。すると彼女は「お腹を空かせていないこと、食べ物があること」と答えたと言います。確かに、空腹は食べ物を巡る争いの元になりそうですよね。

みなさんは、平和と聞いてどんな状態を思い浮かべますか。そしてどうですか、その考えと照らし合わせて、日本は平和と言えそうでしょうか。