【神戸ソーシャルセミナーwith海洋保全 小島理沙氏(2019.7.17)】

みなさんこんにちは!

学生ライターの下尾です。

 

月2回のソーシャルセミナー、

今回はSDG課題14「海の豊かさを守ろう」がテーマです。

廃棄物の抑制や環境政策がご専門の小島先生に、持続可能な循環経済などの研究についてはもちろん、最近話題のプラスチックをはじめとする「海ゴミ」や身近な生活用品の容器包装削減などについてもお話を伺いました。

 

世界中でプラゴミが問題になっていることを知り、どうにかプラゴミを減らせないか考えている私にタイムリーなトピックで、前のめりで聞いておりました!

 

  • なぜ自然保護は大切なのか?~環境の持続可能性について考えてみよう~

なぜ環境は大切なのでしょうか?セミナーはそんな問いかけから始まりました。小島先生によると、環境の価値は利用価値非利用価値に分けられます。例えば、森林の利用価値は木材や食料の生産を指し、間接的な利用価値としては、土砂災害を防いでくれることが挙げられます。一方で、見えない非利用価値もあります。それは2つに分けられており、1つ目は遺産価値と呼ばれます。現在の環境を残すことで将来世代が得られる価値のことを指します。2つ目は存在価値です。存在するという情報によって得られる価値を指し、例として、野生動物の保全などが挙げられます。

 

同じように、海の豊かさについて考えてみましょう!

・地球の70%は海

・魚などの天然資源を作っている

・汚染物質を破壊、排除する機能がある

・気候変動の緩和能力がある

・レジャーとしての楽しみ

ex)釣り

・漁獲量→収入の向上

 

以上のように、見える価値も見えない価値もあるけれど、海は人類にとって非常に大切なものであるということがわかります。つまり利用価値としての海も、非利用価値としての海もどちらも大切なものだという共有の価値観のもと、海を守ろうということが世界共通の価値認識であるということですね。

 

 

  • どうして環境は破壊されていくのか

 

私たちは環境の利用価値も非利用価値もなんとなくは理解をしているはずなのに、どうして環境は破壊されていくのでしょうか。

それには、以下のような要因がが考えられます。

 

・人口増加、資源消費量の拡大

→世界規模で見ると人口は増えているため、資源の消費量も増えている。

 

・農林水産業の貿易品目の小品目化(比較優位による影響で生物多様性に影響)

 

・環境や資源に正しい価値を与えない経済体系や政策(外部性)

→環境や資源に対する正しい価値が分からないため、破壊されてしまう。

ex)富士山の入山料:富士山に上る価値は1000円なのか?

・生物資源の所有、管理、それに利用と保全から生ずる利益の不公平さ

 

・非持続的開発を促進する法律や制度

 

・知識の欠如

→3R*1(Reduce(発生抑制), Reuse(再利用), Recycle(有効活用) に対する認知度の低さ

 

<3R*1について知ろう>

①Reduce(リデュース)は、使用済みになったものが、なるべくごみとして廃棄されることが少なくなるように、ものを製造・加工・販売すること

②Reuse(リユース)は、使用済みになっても、その中でもう一度使えるものはごみとして廃棄しないで再使用すること

③Recycle(リサイクル)は、再使用ができずにまたは再使用された後に廃棄されたものでも、再生資源として再生利用すること

(3R推進活動フォーラムhttps://3r-forum.jp/3r/index.htmlより引用)

 

 

 

 

  • 海ゴミの問題(海洋プラスチック問題)

 

次に、世界中で話題になっている海洋プラスチック汚染ですが、問題は主に以下の4つに集約されます。

 

  1. 大型海洋生物への影響

→動物愛護の観点-カメの甲羅に魚網が絡まる、カメの鼻にストローがはさまるなど

 

  1. 大洋表層、深海海底のごみ漂流・散乱

→環境の存在価値-海にプラゴミが浮遊していても日常生活には直接影響はないが、どこか嫌な感じがする→海という存在価値を脅かしている

 

  1. 生態系ピラミッドでの有害物質を吸着したマイクロプラスチックの濃縮

→生物影響 マイクロプラスチックを飲み込んだ魚を人間が食べるとどうなるのか、科学的な人体への影響はまだ明らかでない

 

  1. 多量の沿岸漂着ゴミ

→景観問題-魚網、レジ袋の浮遊

 

海ゴミについてもう少し見ていきましょう。

<わかっていること>

人間起源のゴミが分布している。1950年ごろから人類は爆発的にプラスチックを使うようになりました。中でも、包装や漁具が多いとのことです。

 

<わかっていないこと>

プラスチックが海の中にどれくらいたまっているのか。人間の生活からどの程度海に流入しているのか。また、マイクロプラスチックの生物影響の程度も不明だそうです。

 

 

  • 消費者主導、供給側主導、どちらか一方では上手くいかない?!

上記で挙げたような問題に着手したいとき、どのような方法をとればいいのでしょうか。

供給側主導の場合、企業側には仕組みや制度の規制がありますが、市場のニーズによってインセンティブやルールの変更は往々にしてあります。また、政治的な意思決定の影響をかなり受けます。一方で、消費者主導の場合は消費者の需要を市場がとらえて回っていく形です。消費者主導では、啓発や普及が課題となっています。ところが、2016年の3000人に対する環境問題への意識調査で驚くことが明らかになりました。調査によると、3Rの意味を知らない人が約47.5%と、およそ半分の人が3Rの意味を理解していません。日本の環境教育は小学校で3Rについて習うはずですが、調査ではそれが見受けられませんでした。小島先生は考えました。供給側の対策も消費者側の対策もどちらか一方では足りないのではないか。両者が主導し、アクションを起こしていけば循環型に出来るのではないかと。そこで、小島先生と神戸大学の学生たちが所属するNPO法人ごみじゃぱんが考え出したのが、容器包装ゴミ削減を目指した減装(へらそう)ショッピングです。

 

  • 減装ショッピング-ゴミの問題を「捨てる」ときではなく「買う」ときから考える

 

小島先生と学生さんたちはまず、社会全体のゴミが減るようなモデルを作りました。消費者にゴミが少ない商品に気付いてもらい、価値を認めてもらった上でその商品を選んでもらう。供給側はその需要を察知して容器包装が少ない方をどんどん選択していく、といったモデルです。初めに、どれが容器量が少ない商品なのか分かるように、スーパーやコープで販売されている商品の容器をすべて計量しました。計測した数値をデータ化し、上位30%程度を推奨商品としているそうです。

 

減装商品の目印(NPO法人ごみじゃぱんホームページhttps://gomi-jp.jimdo.com/ より)

 

減装商品という印をつけるだけでは広まらないので、減装マークがどのような意味なのかという説明を神戸のスーパーやコープで地道に行いました。消費者とのコミュニケーションを大事にしながら活動を続けていたそうです。

山崎製パン株式会社さんとの共同での取り組み、減装マークパンの販売「ヤマザキパンプロジェクト」では、1年間を経て販売総数がおよそ1200万個に達しました。その結果、容器包装の発生抑制量は24トンにまでのぼりました。多くの容器包装量の削減に貢献されたことが分かります。

 

単なる啓蒙活動だけだと、企業さんは耳を貸してくれない、と小島先生は言います。全体のインセンティブ設計を考え、消費者にニーズがあるということをしっかりと企業側にアピールしていくことが大切だということでした。

 

 

 

○小島先生のお話しを聞いて

 

環境意識が高くない消費者も減装商品を選ぶという話を聞いて、非常に驚きました。セミナーのあと、気になってどうしてなのか小島先生に質問へ行きました。企業は包装を減らす分、コストを下げることが出来るという仕組みになっている。値段が安い方が消費者は嬉しいので、減装商品は環境意識が高くない方へもリーチ出来る施策になっているとのことでした。双方にとってメリットがあるから成り立つ減装商品。その仕組みに驚くとともに、少し重い気持ちにもなりました。それは、私が関心を持ち続けてきたフェアトレードのことを思い出したからです。フェアトレード製品は、価格が比較的高いものが多く、多くの消費者にとって手に届きにくいものです。消費者にとってフレンドリーであるとはとても言えません。そのため、社会的意識の高い消費者にしか響かないのではないかという話を友人と何度もしてきました。やはり企業側にも、消費者にもメリットがないと成り立たないのでしょうか。それでもなんだか、価格の安さが大きな訴求点になっているのはどこか悲しい気持ちになります。とはいえ、私も金銭的に厳しい学生の身です。無理せず環境に配慮したアクションをとれる減装ショッピングを知ることが出来て、大変うれしく思いました。

 

「消費側と供給する側、どちらか一方の対策ではダメ」という言葉が印象に残っています。私は、ちょうど去年の今頃から、「プラゴミを自分の生活からどうすれば少しでも減らせるか」ということを友人と相談し、実践していました。その1つに、マイボトル(水筒)を持ってカフェに行く、というものがあります。これは、身近なプラゴミについて話していた時、「カフェの飲み物ってプラカップ提供のところが多いよね」という話になり、自分の水筒を持っていったら、そこにドリンクを入れてくれるんだろうか?そんな疑問からスタートしました。

その実験によってわかったことがあります。カフェ側は提供するドリンクの量に合わせてコップを規格化しています。そのため、私たちがマイボトルを持っていっても、それぞれボトルによって容量が異なるため、スムーズにドリンクを提供することが難しいのです。実際私がよく利用するカフェにマイボトルを持っていたところ、「ボトルの容量が分からないので一旦既存のプラカップに入れたものを移すという形になります」と言われました。一方で、計量カップで持参したボトルの容量を図ったうえで、ドリンクを入れてくださるカフェもありました。でも、混雑している時にこれをお願いするのは憚られますよね。こういったことから、現在の日本のカフェのドリンク提供スタイルでは、マイボトルを持ち歩こうという行動を起こしにくいなと感じました。もっと消費者側がマイボトルを持ち歩くというアクションをとるようになれば、カフェ側も変わったりするのでしょうか…?

それからは、なるべくリユースカップでドリンクが提供されるカフェを意識的に選ぶようにしています。そんな中、先日韓国に行った際、カフェで新たな気づきがありました。ドリンクを注文した時に、店員さんがプラカップが良いかガラスカップが良いか聞いてくださったのです。テイクアウトしたいひとはプラカップを選ぶでしょうし、その場で飲むならガラスカップでいいですよね。このように、カップを自ら選択できるスタイルは非常に良いなと思いました。

何かを変えたいと思ったとき、意識すること。「企業、消費者、いろんな人を巻き込んでいくために全体のインセンティブ設計をまず行う」これからも覚えておきたい視点です。

 

 

 

森林、海、富士山のイラスト https://www.irasutoya.com/