【神戸ソーシャルセミナーwithフードバンク関西 浅葉めぐみ氏(2019.10.2)】

10月初めのゲストは、余った食べ物を預かって、必要なところに届けるフードバンク関西の浅葉さんにお話をいただきました。

まず初めに、80名ほどおられるというボランティアさんの中でも映像関係のお仕事をされている方が作られたという活動紹介を見て、フードバンク関西の取り組みについてご紹介いただきました。

 

毎月30人前後のボランティアさんが交代で、企業との交渉から、食料品の受け取り、検品、仕分けなどを拠点となる神戸市東灘区の倉庫で行い、阪神間の福祉施設を中心に月のべ100回ほど食料の無償配布を行っておられるそうです。

さらに別のNPOと協働した食のセーフティーネット事業「子ども元気ネットワーク」では母子家庭の特に困窮したご家庭に月に1回食料を宅配されたり、「ひょうご子ども食堂ネットワーク」の事務局として、兵庫県沿岸地域で活動する子ども食堂を中心に食料配達もおこなってられます。

 

・食べ物は「命の糧」。なのに、、、

日本の食料自給率はここ2年でさらに落ちカロリーベースで37%。しかも日本の食料輸入額は中国に次ぐ2位(2013年582億ドル)。人口が急増している中国ならその輸入額に納得いくのですが、その人口差にもかかわらずこれだけ輸入しているのは、それだけ大量廃棄が生じていると考えられます。平成22年と少し前のデータではありますが、約9000万トンの食資源のうち、廃棄物は約35%の3000万トン。そのうち約4分の1にあたる500~800万トンはまだ食べられる食品、いわゆる「食品ロス」だと言われています。

この約3000万トンうち事業系廃棄物は2000万トン。食品リサイクル法により、半分は飼料になるなど再活用が進んでいますが、残り約1000万トン家庭系廃棄物はゴミ箱に入ってしまえばそのまま焼却・埋め立て処分となってしまいます。その量はなんと94%!国連が毎年難民支援を行っている食料量は360万トン、日本のお米の総収量が800万トンだといわれているそうで、それ以上とは、、、

 

○2019年5月には食品ロスの削減推進に関する法律が成立したばかり。これからどうなるかは未知数とのことです。

 

・日本の常識は世界の非常識!?「3分の1ルール」という商習慣

皆さんは買い物をするとき賞味期限をどこまで気にしますか?実はこの賞味期限、メーカーが任意で決めることができるのです。そして最近あまり見なくなった消費期限、これは5日以内に品質劣化が起こる期限で、これを超えるとおなかを壊す可能性があるのですが、賞味期限を超えてもまだまだ食べられるものはほとんどだそうです。実際日本の缶詰の賞味期限は3年と業界的に決まっているそうですが、調味液に漬けて缶詰められた魚介類は、3~5年ほどしてからの方が味が馴染んででおいしいそうです。

そして、メーカー、卸売業者は賞味期限の3分の1を超えると小売業に買ってもらえず、廃棄、小売業者も賞味期限期間の3分の2が過ぎると、店頭からおろしてしまうという「3分の1ルール」という商習慣が日本にはあるそうです。また、賞味期限直前の商品に割引ラベルを付けて販売しているお店も見かけますが、ラベルを貼り付けるアルバイトを雇うコストと廃棄コストを比べると後者の方が割安であることを理由に賞味期限前でも破棄されてしまうことも多いそうです。

ちなみに「3分の1ルール」は日本独特のようで、アメリカ・カナダでは2分の1、イギリスでは4分の3の時点でメーカー・卸売業者が廃棄するそうで、他国と比べとても短いことがわかりました。

さらに京都大学の研究によると、一般家庭では手付かず賞味期限以前で廃棄した食料品の割合は廃棄量の2割を超えるというデータもあり、これは一世帯で年6万円、全世帯で年10兆円分も廃棄されている計算になるそうです。日本人の過敏な食の安全性へのこだわりは食品ロスが増える一因になっているのかもしれません。

 

○神戸市では、利用しなくなった賞味期限前の食料品をスーパーなどの店頭などで回収する「フードドライブ」の取り組みがここ最近増えている

 

・食品ロスを減らせば、みんなが「お得」?

現在の食品の価格には廃棄する分のコストまで乗ってしまっています。また現在先進国では大量生産大量消費が当たり前となっており、その調達コストが減ることは、途上国も自国分の食料を確保することにつながります。食糧事情の改善、無理な大規模耕作を控える、自給率を挙げ自国で生産された農作物や食料を消費することは、輸送による環境負荷なども抑えることにもつながるといわれています。

しかし、過剰生産・販売を抑制することは、企業側では利益確保の視点から難しいといわれており、消費者としての我々が過剰に食料品を買わない、できる限り捨てない、できるだけ国内産の農作物を選択することがカギとなってくるそうです。

 

・「食品ロス」と食べ物に困っている人たちをつなぐ「フードバンク」

昨今非正規就労人口が増加し、経済格差が広がっている日本。特に母子家庭の世帯の半分が非正規就労で生活し、平均年収は130万円。これは月12万円の生活保護レベル以下で子育てもしている世帯がいるということで、相対的貧困状態に陥ている子どもたちが7人に一人にもなっていることの一因。一方フードバンク関西に集まる食料は、例えばラベル印字ミスや配送用の外箱が壊れたカレー、皮の破れた豚まん、検疫で開けられて流通に乗らない焼き鳥などまだまだ賞味期限すら十分にあるのに破棄が決まったもの。これらを子ども食堂へ配布するほか、社会福祉協議会と連携し生活保護申請に来られた方に1週間分の食事として提供もされています。

 

○生活保護申請はどんなに急いでも支給されるまでに2週間かかる。申請に来る人は今日食べるお金もなくぎりぎりの人も多いそうです。

 

<ツボの目>

今月のテーマはSDG2「飢餓をゼロに」。普段は食品ロスをなくすということでSDG12「つくる責任 使う責任」の中でも特にターゲット12.3「2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食品廃棄物を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品の損失を減少させる」というテーマを中心にお話しいただくことが多いフードバンクの取り組みですが、フードバンク関西では子ども食堂への支援やDVを受けた母子家庭への支援などにも力を入れておられるということで、今回ご登壇いただきました。

それにしても、フードバンクの仕組み自体は素晴らしい取り組みにもかかわらず、まだまだ日本では公的支援がまだまだ乏しく、その運営は厳しいそうです。全員がボランティアで行っても、倉庫代や流通させるためのガソリン代などの経費は掛かり、その金額は年間1000万円超!さらに収益性のない事業であることから、寄付に頼る経営はとてもスリリングとお話しされていました。食品ロスを減らしていくことももちろん重要ですが、食のセーフティーネットとして続けていくために、例えば企業活動の中で配送後空になった配送車の帰路を活用するなど資金以外の連携も仕組みによって進めることもできるのではと考えています。食、貧困、企業活動など複雑に絡み合った社会課題を解決するためにフードバンクの持続可能なモデルを作ることはSDGsをキーワードに連携し、「だれ一人取り残さない」持続可能な社会をつくる一つのケースになる可能性を感じます。