(神戸ソーシャルセミナー)7月のテーマは「海の豊かさを守ろう」

【7月17日(水曜)】神戸ソーシャルセミナーwith 海洋保全


※写真にある落ちていたコンビニ袋は撮影後回収してごみ箱に捨てました。

7月お一人目のゲストは廃棄物の抑制や環境政策がご専門の小島先生。

海洋環境保全のフィールドワークや持続可能な循環経済などの研究について、最近話題のプラスチックをはじめとする「海ごみ」や身近な生活用品の容器包装削減などについてもお話しいただきます!

・開催日時:2019年7月17日(水)19時~20時30分
・ゲスト:神戸大学大学院経済学研究科 小島 理沙 特命講師
http://www.econ.kobe-u.ac.jp/faculty/fields/projectprof/kojima.html

・参加費:無料
・会場:協働と参画のプラットホーム(サンパル2階)

※神戸ソーシャルセミナーとは
月に1つテーマを定め、NPOや企業等のゲストとセミナー参加者が、毎週水曜日に様々な地域社会の課題解決について考えます。
また、月末土曜日には、月のテーマを軸に、地域課題の解決策を具体的に考えるSDGsワークショップ、フューチャーセッションなどを実施します!
※連続講座ではありません。興味のある日程のセミナーにご参加ください。

7月のテーマはSDG14「海の豊かさを守ろう」
申込:
件名に「7/17 海洋保全セミナー参加」
本文に「参加者名(複数名で参加の方は、各参加者名)」「所属」「当日連絡先(電話番号)」を記入の上、「plat@123kobe.com」までメールしてください。

【7月24日(水曜)】神戸ソーシャルセミナーwith ウミガメ博士


7月お二人目のゲストは神戸市民にはおなじみ「スマスイ」ウミガメ博士の亀崎前園長!

須磨海浜水族園の取り組みやウミガメをはじめ海洋生物等の生態系の話や持続可能な海洋資源保全などについてお話しいただきます!

・開催日時:2019年7月24日(水)19時~20時30分
・ゲスト:神戸市立須磨海浜水族園 亀崎 直樹 さん
https://naokikamezaki00.wixsite.com/kameweb

・参加費:無料
・会場:協働と参画のプラットホーム(サンパル2階)

※神戸ソーシャルセミナーとは
月に1つテーマを定め、NPOや企業等のゲストとセミナー参加者が、毎週水曜日に様々な地域社会の課題解決について考えます。
また、月末土曜日には、月のテーマを軸に、地域課題の解決策を具体的に考えるSDGsワークショップ、フューチャーセッションなどを実施します!
※連続講座ではありません。興味のある日程のセミナーにご参加ください。

7月のテーマはSDG14「海の豊かさを守ろう」
申込:
件名に「7/24 カメ博士セミナー参加」
本文に「参加者名(複数名で参加の方は、各参加者名)」「所属」「当日連絡先(電話番号)」を記入の上、「plat@123kobe.com」までメールしてください。

【7月27日(土曜)】神戸ソーシャルセッション「vol.11」(海から持続可能な世界を考えるフューチャセッション)

【毎月開催☆未来を一緒に考える「フューチャーセッション」】


複雑に絡み合う社会問題や多様なニーズ、困難な状況を乗り越えるため、多様なステークホルダーと「新たな関係性」「新たなアイデア」を生み出す協創ワークショップを毎月月末土曜日に開催してます。
2019年度7月はSDGsのゴール14「海洋保全」キーワードにみなさんと対話します☆

今回のゲストは
㈱フェリシモで「海とかもめ部」や「うみ基金」という活動から、ビジネスを通じてサンゴ等の保全活動を行う豊川紗代さん!
https://www.felissimo.co.jp/umitokamome/

未来を一緒に創りましょう!

・開催日時:2019年7月27日(土)14:00~17:00
※先月と時間が異なります!ご注意ください!!
・会場:協働と参画のプラットホーム(サンパル2階)
・参加費:無料
・定員:20名

協力:関西フューチャーセンター
https://www.facebook.com/kansaifcn/

申込:
件名に「7/27 フューチャーセッション参加」
本文に「参加者名(複数名で参加の方は、各参加者名)」「所属」「当日連絡先(電話番号)」を記入の上、「plat@123kobe.com」までメールしてください。

【神戸ソーシャルセミナーwith 社会福祉法人すいせい 岸田耕二氏(2019.5.29)】

神戸ソーシャルセミナー、5月のテーマは「働きがいも、経済成長も」

今回は「社会福祉法人すいせい」の岸田耕二さんから主にすいせいさんの取り組みについて、お話をお聞きしました。

 

◎通所事業(ひきこもり~働き続ける)

すいせいさんは、ストレスマネジメントの技術を精神病者の支援から、そして適職マッチングの技術を発達障害の認知特性から得て、様々なプロジェクトを行っておられます。

すいせいさんの支援の方法の一つである、「Suisei Step Style」では、一人一人に合わせた、オーダーメードの支援が行われており、様々な経験を積み、成長、前進を実感できるようなプログラムが用意されています。

まず、地域活動支援センターで生活訓練を行い、次に社会訓練、自立訓練、そして実習を通して、就労に移行していきます。このように、まずは居場所を作り、生活、仕事へと段階を踏んで支援を行っておられます。

このようなすいせいさんの就労支援を受けた方の90%は1年間、70%は3年間、就労しし続けておられます。

 

◎脳には癖がある?

以下の写真を見てください。

写真のワンピースとスニーカーは何色に見えるでしょうか?私は、ワンピースは青と黒、スニーカーはピンクと白に見えます。しかし、その一方で、金と白、グレーと緑に見える方もいるそうです。

このように、人それぞれ認知情報処理の方法が異なるのです。人の脳には癖があり、特に幼少期に好んでいた遊びによって脳の癖がわかり、適職がわかることも教えていただきました。

 

◎すいせいさんの取り組まれているプロジェクトについて

すいせいさんの現在、取り組まれているプロジェクトを7つ紹介されました。

 

Project1 超短時間就労 働き方改革

これは、今まで行われてこなかった超短時間就労を支援するサービスです。

現在の日本の障害者法定雇用率制度で定められている算定基準は週20時間以上であるため、企業が20時間より少ない時間で人を雇うことはそれまでなかなかありませんでした。しかし、障がい者の方には、週に20時間も働けなくても、超短時間であれば働ける人もおられます。

その一方で、現在、中小企業をはじめとした企業の多くは人手不足です。

このような障がい者の方、企業の互いのニーズをマッチングするのが、この取り組みです。

その方法は、事業者の仕事を細かく洗い出し、本人しかできない仕事、他の人手も可能である仕事に分類し、障がい者の方のできること、向いていることに合わせて、障がい者の方を雇用します。

例えば、タイピングが得意な人とデータ入力に手が回らない企業、手作業とスピードに自信がある働きたい人と出荷作業をしてほしいなどのニーズを持った人手が欲しい企業をマッチングします。

また、業務が完全に終了すれば、それ以上雇用する必要はなく、決められたこと以外はやらなくてもよい、というシステムになっています。

しかしここで、障がい者のやれる仕事と、やれそうな仕事には乖離があります。障がい者の中にはTOEICで800点をとられるなど、私たちの想像もしないような能力を持っている方もおられるのです。そのため、障がい者の方の職域を広げることは今後の課題でもあります。

 

Project2 大学生支援

現状・将来を悩んでいる学生が多いという社会的な問題に目をつけ、すいせいさんの持っておられる就労支援のノウハウを生かした取り組みが行われています。そのためすいせいさんのオフィスは大学生が来やすいように、おしゃれであるそう。

現在では、県や市から委託を受けて大学ネットワークづくりや社会の中で暮らしていくためのスキルを身につける訓練である、SST(ソーシャルスキルトレーニング)を行っておられます。

 

Project3 生活困窮者支援

生活困窮者の支援、就労支援準備の事業も行っておられます。

この事業の目的は、生活保護にならないように予防をすることと、社会復帰ができるようにフォローすることです。

活動としては、これまでの就労支援ノウハウと事務所を活用して就労を目指しておられます。

 

Project4 ひきこもり支援

ひきこもりの方と社会との接点を作る活動を行われています。

ひきこもりの方は、将来について聞かれるのが苦しい、このままじゃいけない、自分が子どもであるのが親に申し訳ないと思いながら、ひきこもっておられる方が多数います。

その一方で、ひきこもりの家族の方は、ひきこもりの方との接し方がわかりません。そのため、両者の思いを翻訳する、家族以外の介入が求められているというニーズがありました。

あるひきこもりの方は、自分の希望と適職を診断した後、すいせいさんでのアルバイトを週に2日から始め、現在は週5日勤務を目指しておられます。

 

Project5 企業×教育

企業と、主に特別支援学校のお互いのニーズをマッチングさせる取り組みもあります。

特別支援学校では、生徒にいろんな体験を積ませたい、生徒の雇用先を確保したいなどといったニーズがあります。また企業の側には、学校の実習先がない、地域貢献をしたい、人材が不足しているというニーズがあります。

実際に2つの学校に50社以上の会社が訪問されており、現在では教育委員会と話し合いが行われている最中であるそうです。

 

Project6 ほっとかへんネットたるみ

ほっとかへんネットたるみにも関わっておられます。

ほっとかへんネットたるみとは、垂水区内にある社会福祉法人(保育園・こども園・高齢者施設・障がい者施設・児童施設)が集まり、垂水区民の方がいつまでも安心して暮らせるよう、住みよい「垂水」を創っていこうという連絡協議会のことです。

ここでは、高齢者の集う場を作る、子どもが高齢者の方と遊べるイベントを行う、障がい者の方とつながりの再構築するなどといった活動を行っておられます。

地域の福祉活動のそれぞれの担う領域を拡大させ、混ざり合わせることで、誰も取りこぼさない支援、地域貢献を行っておられます。

Project7 社長の知能検査

社長の知能検査を行うプロジェクトにも取り組まれています。

社長には個性的な人が多いと気づかれたすいせいさんは、社長に発達障害の診断を受ける時に使うテストであるWAISテストをするとどうなるのか、について検証されました。

その結果、経営者の中には、発達障害の方と同じような結果が出る方もある程度おられることがわかりました。ある経営者の方は、学校教育の「勉強」「人間関係」「同調圧力」がはまらない結果が得られました。しかし、ひきこもりになったりせずに社会で活躍されているのは、幼少期に「違い」を認めてくれる、応援してくれる大人がいた、からだそうです。

このことから、大切なことは能力だけではなく、「違い」を本人や周りの人が理解し、認め、褒められ、「自分でいいんだ」という自信を持たせることが大切であると述べられました。

 

◎なぜ違いが生まれるのか

では、なぜこのように人間には違いが生まれるのでしょうか。アリの生存戦略から、その答えについて教えていただきました。

アリはお尻からにおいを出して、行列を作ります。しかし、一部のアリにおいがかげないために列を作りません。それは、すべてのアリが同じ能力を持ち、同じところに行列を作ると、絶滅をしてしまうためです。そう、すべての能力には意味があるのです。

 

◎A society where all people function

「ちがう自分」を「いいね」できる、社会もちがいを理解し活用できる。みんながギアとなり、みんなが機能する仕組みづくり、「A society where all people function」がこれから大切になっていくでしょう。

 

 

所感

「福祉」と聞くと、学生の私にはどこか固いイメージが浮かび、「福祉」はなじみの薄い単語でした。しかし、今回のお話を通じて私の「福祉」のイメージが大きな音を立てて崩れ去っていきました。

誰もがありのままでよくて、誰もがありのままで素晴らしくて、誰もがありのままで活躍できる世界がここにはある。人との違いが社会の歯車となって、社会を動かす大きな力になる。

そんなことを、身をもって教えてくれる存在が「福祉」であることを知りました。今まで堅苦しい「福祉」が柔らかくて、カラフルな印象に変わりました。

この社会ではこれからも必ず、この社会の持続のためににおいがかげない多くのアリが社会に生きづらさを感じてしまうに違いありません。そんな時に、「福祉」は必ずそのアリたちに寄り添ってくれることでしょう。

そんな優しく柔らかな福祉は、いつでも私たちの拠り所としてあり続けてほしい。そしてもっとたくさんの人に触れてほしいと感じました。一緒に触れてみませんか?

 

【神戸ソーシャルセミナーwith 公益財団法人PHD協会 坂西拓郎氏と研修生(2019.5.8)】

みなさんこんにちは!

学生ライターの下尾です。長い長ーいGWが終わりましたね。いかがお過ごしでしょうか。

そんな5月最初のソーシャルセミナーはSDG課題8「働きがいも経済成長も」をテーマにPHD協会の坂西さんと、ミャンマーからの研修生モーママさんにお話し頂きました。

〈平和と健康を担う人づくり―PHD協会とは?〉

“ともに生きる社会の実現”を目標に掲げ、アジア、太平洋地域からの研修生の招へい、研修後のフォローアップを通して人々による自立した村づくりと生活向上に協力しています。また、日本の人々も同地域の人々との交流を通して学び、自らの価値観、生活様式の見直しを図ることで、平和(Peace)と健康(Health)を担う人材を育成(Human Development)している、それがPHD協会です。

―1分間、スライドをお見せします。セミナーはそんな坂西さんの言葉からスタートしました。スクリーンには、笑顔や真剣な顔をした子どもたちの顔が1人ひとり映し出されます。1分間で映し出されたのは12人。そして、坂西さんから次の問いが。

「1分間の間で子どもたちの身の上に不幸なことが起こりました。それはなんでしょう?」

宗教的迫害、家族を亡くした、参加者から答えが飛び交います。もちろん、それらも十分に考え得ることなのですが、坂西さんからの答えは、“子どもたちの死”。現在、1分間で約12人の子どもが亡くなっているとのこと。20年前は1分に20人亡くなっていた、つまり3秒に1人の計算です。年々その数は減ってきているとはいえ、未だに死を余儀なくされる子どもたちは存在します。特に5歳未満の子どもは肺炎や下痢、マラリアといった予防可能な病気で命を失ってしまうことが多いそうです。「ちょっとした知識があれば予防できる病気で命を落とす子どもたちを少しでも減らしたい。村の最前線で子どもたちの健康を守る、PHDではそんな人づくりをしている」と坂西さんは語ってくださいました。

〈人とのつながり―人づくり〉

約20年前、もともとフェアトレードで生産者の収入向上プロジェクトに携わっていた坂西さん。ベトナムの農村から手工芸品を公正な価格で買い付け、日本で販売を行っていました。当時はアジア雑貨が流行っており、飛ぶように売れたといいます。しかし、日本での反応や売り上げを報告するために村を訪れた際、坂西さんはある違和感を抱きます。初年度訪れた際は、村人たちは伝統的な村の踊りや料理で歓迎してくれたそうですが、3,4年と時を経るにつれ、道が出来たり、村人たちがバイクを購入していたり、村の様子に大きな変化が表れました。そしてあるとき、坂西さんは村人に「テレビを見よう」と声をかけられました。つまり、結果としてプロジェクトは成功し、彼らの収入は向上しました。もちろん、村の伝統的なものも、完全に廃れたわけではありません。しかし、坂西さんはさみしい気持ちを隠し切れなかったといいます。

坂西さんは村の人たちの選択肢を増やすことに関わりたいと考えていました。収入向上プロジェクトが成功した結果、村の人々にお金はまわりました。ですが、当時所属していた団体におけるフェアトレードは、収入を増やすための手段でしかなかったため、それ以上の関わりが出来ないことに違和感を感じていました。また、現地から製品を買い取り、日本で販売するというプロセスで、消費を促しているだけの自分自身にももやもやを募らせていたといいます。私はこれを聞いて、村は物質的に豊かになりましたが、それ以外の問題、村の人々の他の困りごと、もっと言えば、村の人々と深く関われていないことから、フェアトレードという手段に疑問を感じたのではないかと想像します。「現地を訪れられるのは年に1回、もっと期間が空いてしまう時もあった。(中略)―PHDは1年間にたった3人だけ受け入れを行う。フェアトレードの方が受益者は多いかもしれないけれど…」という発言から、坂西さんは、現地の人たちが作ったものを日本で売る、ということではなく、もっと深く、その地域のこと、その地域の人々との関わりに重きを置いていた、そして、その地の人々が自分自身で村の問題に対処できるようにサポートする、そんなことを目指していたのかなと感じました。

坂西さんはその後、熊本県水俣市で水俣病患者の支援や地域づくりへの関わりを経て、PHDの活動につながっていったといいます。

〈チャーミングなモーママさん〉

黄色と紫の素敵な衣装に身を包んでいるモーママさん。これはモーママさんの出身であるミャンマーの伝統的な衣服だそうで、結婚式やお祭りの際に着るものだと教えてくださいました。モーママさんは2013年に日本にやってきた研修生。日本で保健衛生、主に健康のことを学び、村に帰ってそれらを伝え続けています。現在は大学事務員という本職のかたわらで、地域のために毎日奮闘しています。

  • 必須アイテム 日焼け止めは木…?!

ミャンマーで日焼け止めとして使われているタナカという木を見せてくださいました。年間を通して熱いミャンマーでは必須アイテム!臼のようなもので削って顔などにつけるそうです。木の根っこには薬としても服用されるみたいです。坂西さんの「美味しいですか?」という問いかけに「苦いよ!」とモーママさん。会場が笑いで包まれました。

  • 驚き ミャンマーと日本の仏教の違い

「日本のお坊さんは結婚してて、子どももいる!夕食も食べる!」

日本に来て少ししたころ、モーママさんは名古屋のお寺に研修に行く機会がありました。そこで自国と日本の仏教の違いに驚いたと言います。ミャンマーの仏教は主に「上座部仏教」で、五戒をしっかりと守らなければなりません。お坊さんの妻帯も禁止。髪も、ツルツルに整えており、夕食も食べないそうです。モーママさんは日本に来る前、自ら20歳ごろに出家して尼さんになった経験もあるほどの、熱心な仏教徒なんです。(上記写真参照)

  • モーママさんの村での取り組み

①食事改善

なんと、モーママさんたちは1日に料理で油を約500ml(およそペットボトル1本分!)も使うと言います…!その影響で高血圧や糖尿病などの健康被害が出ているとか。そんな状況を変えるため、モーママさんは日本で保健衛生のことを学び、村で伝え続けています。「油を少なくしましょう」初めはなかなか受け入れられなかったようですが、3年程言い続け、少しずつ分かってくれる人が増えてきているそうです。

②ゴミ集め

「村に溢れるゴミをなんとかしよう!」モーママさんの呼びかけでゴミ拾いが始まりました。最初は手で拾っていたのが、トラックを使うようになったりと、協力者が増えてきたのが分かります。それでもやはり、村の約半分の人はまだまだゴミ拾いに理解を示してくれないと言います。

他にもシュエグニという地域にある、内戦被害を受けた孤児が集う孤児院での公衆衛生の取り組み、24時間体制で食事から勉強まで孤児のお世話をする女性、モーモーさんのお話など、たくさん聞かせてくださいました。(なんと、その孤児院には90名から100名の孤児が生活しているそうです…!)

村のために尽力しているモーママさん。村の仲間に考えを伝えるうえで、大切にしていることはなんなのでしょうか。

「自分がやっているところを見せる。料理も油を使わないでやってますよ~。ゴミ拾いも、まず自分がやる」

正しいことをただ訴え続けるだけではなく、それに自ら対処し続け、他の人に行動で示していく姿勢が素晴らしいですよね。

「いつか私が頑張ってることみんな、分かる」これは、モーママさんの苦労がにじみ出るような言葉でした。それでいて、決して暗い雰囲気でなく、終始明るい笑顔でお話ししてくださるモーママさん。心から、村のために動きたい!という気持ちがひしひしと伝わってきます。村の人々のことを真剣に考え、楽しく伝え続けているから、人がついてくるのだろうなと感じました。

  • 坂西さんとモーママさんのお話を聞いて〇

長い間フェアトレードに関心を持ち続けている私としては、坂西さんの違和感はとても興味深かったです。フェアトレード製品を“日本で販売する”、ということに力を入れていると、生産地の人たちとの直接的なコミュニケーションが制限されてしまうのは想像できます。密にその地域と、地域の人々と関わっていくには、PHDの取り組みはとても素敵だと感じました。

モーママさんのリーダーシップにも感激です。今までと異なることを提案することは、いくら目指すべき姿が明確でも、分かってもらうには苦労するもの。また、正しいと分かっていても、なかなかすぐに変えられないこともしばしば…。料理にたくさん油を使うこともその一例だと思います。長年慣れ親しんでいて、美味しいと感じている料理をどうして辞めなければいけないのか、モーママさんの苦労が目に見えるようです。それでも、自ら実践し続け、村の人々に伝え続けているモーママさんの姿勢は、心から見習いたいと思います。

【神戸ソーシャルセミナーwith 公益財団法人PHD協会 坂西拓郎氏と研修生(2019.5.8)】

神戸ソーシャルセミナー、5月のテーマは「働きがいも経済成長も」

今回は公益財団法人PHD協会の坂西卓郎さんとPHD協会の海外研修生だったミャンマーのモーママさんを迎え、坂西さんからは主にPHD協会が取り組まれている活動を、モーママさんからは主にミャンマーやモーママさん自身のことについてお話を伺いました。

 

◎1分間のスライド

1分間、スライドに次々と現れる、子どもたちの写真。その数、12人。

坂西さんは、これは何の数字でしょうか、と私たちに問いかけられました。飢餓になった子どもたちの数、戦争に巻き込まれた子どもたちの数、など参加者からさまざまな回答が出されたのち、これは1分間で5歳未満の子どもが亡くなる数であることがわかりました。

現在は4.8秒にひとり子供の命が奪われているそう。20年前は3秒にひとりだったため、以前に比べれば、状況は改善しているけれども、現在でも、肺炎などの予防可能な病気で失われる命がたくさんあることを述べられていました。

 

◎PHD協会の活動について

PHD協会の組織の目的は、PHD協会のホームページによると、「アジア・南太平洋地域からの研修生の招聘、研修後のフォローアップを通して、草の根の人々による自立した村づくりと生活向上に協力すること。日本の人々もアジア、南太平洋地域の人々との交流を通して学び、そこから毎日の生活を問い直し、平和(Peace)と健康(Health)を担う人材を育成(Human Development)し、『ともに生きる』社会をめざすこと。」とあります。

 

このように、PHD協会では草の根の交流による人材育成により、アジア・南太平洋では、自立した村づくりの推進による生活の向上、日本では価値観・生活様式の見直しを行い、ともに生きる社会の実現を目指し、活動しておられます。

 

また、PHD協会の研修生は草の根の農村の人たちを連れてくることが特徴です。特に農村の人たちには海外で研修を受ける機会が極端に少なく、今回来ていただいたモーママさんには、この機会にしか、海外で研修を受けるチャンスがないほどでした。

 

PHD協会では支援を行う際、金銭的な支援は行わず活動されています。支援には「魚をあげるか、魚の釣り方を教えるか」という2種類があり、前者は必要な物資を提供すること、また後者は考え方ややり方を提供することであると教わりました。そして、PHD協会では、後者の支援を大切にしておられます。

 

そして、PHD協会は「ないものねだりではなく、あるもの探しを!」を大切に活動されています。モーママさんは「私の村に良いところは何もないと思っていた。でも今わかります。私の村いいところいっぱい」という言葉を残されています。隣の人と話さなかった日本でのホームステイで、モーママさんの村では、みんなのことを知っている、みんな親戚のようであるという良さに気づいたそうです。

 

◎NGOの人手不足について

NGOは東京一極集中で、東京以外は人材不足の傾向があるそうです。NPOも人材不足の傾向はあると思いますが、「お金よりもやりがいを」求めて従事するようになる人も増えては来ていることもあり、国内の方がダイレクトにその活動の成果を知ることができる傾向があることや、神戸のNPOが活発なこともあり、NGOの人材不足を感じることが多いようです。

 

◎坂西さんがPHD協会に参加したきっかけ

坂西さんは、高校生の時に阪神淡路大震災を経験されました。その際、自宅が半壊となり、学校で寝泊まりの生活のなかで、地域の人たちと炊き出しやバケツリレーを行ったことが初めて地域に触れる経験だったそうです。坂西さんは、その輪に触れることが楽しく、地域に興味を持つようになり、また高校の生徒会でユニセフ募金を行ったことがきっかけで、国際協力にも興味を持たれるようになりました。そして、収入よりもやりがいを求めて、商社を経て、PHD協会に携わられるようになられ、現在に至ります。

 

◎ベトナムでの国際協力について

坂西さんが経験された国際協力のひとつに、ベトナムでのフェアトレードがあります。しかしそこには、ビジネスの成功と同時に葛藤がありました。

20年前、ベトナムの雑貨ブームが起こったため、ビジネスとしてその雑貨をベトナムの農村で作ることとなりました。すると、そのビジネスは大成功。しかし、その事業がうまくいった後、その村を訪れると、以前は伝統的な踊りなどでもてなしてもらっていたにもかかわらず、その踊りはなくなり、代わりに日本製のテレビを見る娯楽が生まれ、「テレビを見ようよ」と言われたそうです。

坂西さんは、これでよかったのだろうか、と葛藤されました。そして結局、その村は後にすることになりました。

 

◎モーママさんのお話

坂西さんのお話のあと、モーママさんのお話を聞きました。モーママさんは現在27歳で、6年前研修生として、日本で活動されていました。

ミャンマーでは、おしとやかで、自分の意見を言わない女性が多い中で、モーママさんのはきはきとした、自分の意見を言う女性がいることに坂西さんが驚かれたという話も印象的でした。

 

◎タナカ

タナカ、日本人の苗字ではありません。タナカという木のことです。タナカを石で擦り、日焼け止めや化粧品のように肌につけて使用するようです。実践していただきました。

◎ミャンマーの宗教について

ミャンマーは上座部仏教であり、モーママさんも五戒(殺生をしない、お酒を飲まない、うそをつかない、不倫をしない、盗みをしない)を守っておられます。また、ミャンマーのお坊さんは結婚せず、お酒も飲まず、12:00以降はご飯を食べないために、日本のお坊さんを見たときには大変驚いた、という話が印象的でした。モーママさんも20歳ころに10日間出家をしたそうです。

◎ミャンマーの料理

ミャンマーでは、料理をするたびに油を毎回500mlは使用するほど、油っこく、また塩辛い料理が多いそう。それが原因で高血圧、糖尿病の人が多くいるため、自分の身体は自分で守ろうと、モーママさんは啓発運動に取り組まれています。

そのため、ベトナムでの油っこく、塩辛い料理に慣れ親しんだモーママさんにとって、日本の味噌汁は、味がなく、まずかったとおっしゃっていました。

◎ミャンマーでのスラムの拡大

ミャンマーでは、スラムが拡大していることも問題です。貧困の中、15,6歳で子供を産み、その子供も児童労働に従事することになるというスパイラルが生まれていると知りました。また、ミャンマーでは、たくさんの児童労働がおこなわれ、貧困から抜け出せない状況にあります。

 

◎モーママさんの活動

モーママさんの活動は多岐にわたり、小さい子供たちのための図書館を開いたこと、HIVが問題になっているために避妊などの家族計画について教えること、学校の勉強を教えること、ごみ問題を解決しようと呼びかけ、回収することなどさまざまです。

普段、モーママさんは夜間大学の事務員の仕事を16:00まで行い、その後自分の村を中心に活動をされています。

 

 

 

このセミナーが終わった後、モーママさんとお話しするチャンスがありました。モーママさんは大学まで進学されているのですが、大学へ進学しようと考えたきっかけについて尋ねると、「家族は誰も大学に行かなかったが、行く、と言って行った。行かないと世界が広がらないと思った。行ったら実際に世界が広がった。」と答えられました。大学で自分の世界を広げ、さらにモーママさんは、大学で学んだことを自分の村で実践しています。

その事実が、強烈に私の心の中に残ることとなりました。なぜなら、私は今まで、大学で世界を広げる、そしてそれをどこかで生かす、ということができていただろうか、と反省させられたからです。なんとなく、大学生になって、与えられた授業をこなして満足し、大学生になっても、お客様気分でこの世を生きてきたことを痛感させられました。

もちろん、モーママさんのように生きることができるだけがすべてではありません。しかし彼女からあふれ出す力強さは、実際に周りの人間に影響を与え、動かせるほどに強く、魅力的なものでした。

私もそれにひとつでも近づきたい、と思いました。本当に私にとって大切な出会いでした。

(神戸ソーシャルセミナー)6月のテーマは「クリーンエネルギー」

【1】神戸ソーシャルセミナー with シン・エナジー

6月お一人目のゲストは地元神戸の企業、エネルギーの総合プロデュース&エンジニアリング企業シン・エナジー㈱の乾社長。
太陽光やバイオマスなどの循環型エネルギー普及を担う取り組みについてお話しいただきます!

開催日時
2019年6月12日(水)19時~20時30分

ゲスト
シン・エナジー株式会社 乾 正博 さん
https://www.symenergy.co.jp/

参加費
無料

会場
協働と参画のプラットホーム(サンパル2階)

※神戸ソーシャルセミナーとは
月に1つテーマを定め、NPOや企業等のゲストとセミナー参加者が、毎週水曜日に様々な地域社会の課題解決について考えます。また、月末土曜日には、月のテーマを軸に、地域課題の解決策を具体的に考えるSDGsワークショップ、フューチャーセッションなどを実施します!
※連続講座ではありません。興味のある日程のセミナーにご参加ください。

申込
件名に「6/12 シンエナジーセミナー参加」
本文に「参加者名(複数名で参加の方は、各参加者名)」「所属」「当日連絡先(電話番号)」を記入の上、「plat@123kobe.com」までメールしてください。

 

【2】シネマフューチャーセッション with おだやかな革命上映会


複雑に絡み合う社会問題や多様なニーズ、困難な状況を乗り越えるため、多様なステークホルダーと「新たな関係性」「新たなアイデア」を生み出す協創ワークショップを毎月月末土曜日に開催してます。
2019年度6月はSDGsのゴール7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」キーワードにみなさんと対話します☆

今回はシネマフューチャセッション!これからの時代の「豊かさ」をめぐる物語「おだやかな革命」を見て、平和で公正な世の中を考えてます!
http://odayaka-kakumei.com/theater/#area5a

未来を一緒に創りましょう!

開催日時
2019年6月22日(土)16:30~19:30
※いつもと時間が異なります!ご注意ください!!

会場
協働と参画のプラットホーム(サンパル2階)

参加費
無料

定員
20名

協力
関西フューチャーセンター
https://www.facebook.com/kansaifcn/

申込
件名に「6/22 シネマフューチャーセッション参加」
本文に「参加者名(複数名で参加の方は、各参加者名)」「所属」「当日連絡先(電話番号)」を記入の上、「plat@123kobe.com」までメールしてください。

【中止になりました】神戸ソーシャルセミナー with クリーンエネルギー


6月お二人目のゲストは、次世代太陽電池などの研究をされている神戸大学工学部の喜多先生にお話しいただきます。最先端の技術だけでなく、エネルギー政策や循環型経済構築のための課題や展望などについてもお話しいただきます!

・開催日時:2019年6月26日(水)19時~20時30分

・ゲスト:神戸大学大学院工学研究科
電気電子工学専攻フォトニック材料学研究室
喜多 隆 教授
http://www.research.kobe-u.ac.jp/eng-photonics/

・参加費:無料

・会場:協働と参画のプラットホーム(サンパル2階)

※神戸ソーシャルセミナーとは
月に1つテーマを定め、NPOや企業等のゲストとセミナー参加者が、毎週水曜日に様々な地域社会の課題解決について考えます。
また、月末土曜日には、月のテーマを軸に、地域課題の解決策を具体的に考えるSDGsワークショップ、フューチャーセッションなどを実施します!
※連続講座ではありません。興味のある日程のセミナーにご参加ください。

6月のテーマはSDG7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」

申込:
件名に「6/26 クリーンエネルギーセミナー参加」
本文に「参加者名(複数名で参加の方は、各参加者名)」「所属」「当日連絡先(電話番号)」を記入の上、「plat@123kobe.com」までメールしてください。

【神戸ソーシャルセミナーwith 認定NPO法人テラ・ルネッサンス 栗田佳典氏(2019.4.10)】

神戸ソーシャルセミナー4月のテーマは「公正と平和」。今回はNPO法人テラ・ルネッサンス栗田佳典さんに、コンゴ民主共和国での活動と平和についてお話して頂きました。

〇テラ・ルネッサンスの理念

世界で6人に1人、3億5700万人の子ども達が紛争の影響を受ける地域に住んでいるといいます。テラ・ルネッサンスはSDGsのテーマでもある「誰一人取り残さない」を理念に世界中の人が安心して暮らせる世界を目指し活動しています。キーワードは「レジリエンス」。アメリカ同時多発テロからの復興の際、合言葉として広まったといいます。現在では本のカテゴリにも使われているそうです。テラ・ルネッサンスは「困難な状況に直面しても、自らに内在する多様なチカラと周囲との関係性の中でそれらを乗り越えていく適応能力」という解釈をしており、活動の鍵となる言葉だといいます。

 

〇「平和への一歩はなんですか」

栗田さんがよく聞かれる質問だといいます。栗田さんは「三つへの関心。知る、考える・感じる、関わる」ことが重要だとおっしゃいます。先入観にとらわれずその問題、国の事を知り、そこに関わる人々のことを考え感じ、そして実際に関わってみる。自身の関心を興味だけで終わらせず、実際に行動する事が平和への一歩だといいます。

テラ・ルネッサンスが取り組む課題は「地雷」「小型武器」「子ども兵」、この3つの課題に対して日本を含めたアジア3か国、アフリカ3か国で活動を行い、日本国内では現地の課題を伝えるとともに日本でできることを学ぶ「平和教育」を行っています。

 

〇コンゴ民主共和国の現状

今回のセミナーではアフリカのコンゴ民主共和国での活動のお話をしていただきました。コンゴは「平和以外なんでもある国」と揶揄されてしまうといいます。食料資源や天然資源は豊富ですが、11人に1人が5才までに亡くなってしまうといいます。武装勢力に襲われる危険性や、支援物資が届きにくい環境、病院が近くになく十分な治療が受けられないなど過酷な状況にあるためです。今回は多々ある問題の中でも「紛争鉱物」について教えていただきました。

「紛争鉱物」とはレアメタルなどの電話やパソコンなどの電子機器に使われる天然資源を、現地の武装勢力が小型武器を手に入れるための資金として採掘する鉱物をいいます。 コンゴの武装勢力は「小型武器」を手に入れるためにレアメタルを採掘し、そのレアメタルは私たちの使用する電話やパソコンなどの電子機器に使われています。紛争鉱物の恩恵を受けているのは先進国に住む人々であり、コンゴの紛争に知らず知らずのうちに関わっていました。現在は企業が現状を変えるために紛争鉱物を使わないよう改良しているため紛争鉱物の普及は減少しているそうですが、紛争鉱物の問題は他人事ではない事がわかります。

 

〇紛争と子どもたち

栗田さんが実際にコンゴへ足を運んだ際、子ども達から「ニーゴ」と頻繁に声をかけられたといいます。挨拶かと思い、返そうとすると通訳の方から「ニーゴ」とは国連平和維持軍の兵士を呼ぶ言葉だと伝えられ、外国人は全員兵士に見える現状、武器を持っていない自分まで兵士と認識したことがショックだったといいます。穏やかな日々が1日でも早く来ればとおっしゃっていました。また他のテラ・ルネッサンスのスタッフが現地の子どもに「将来何になりたい」と問いかけると「大人になりたい」と返ってきたといいます。日本では大人になる事は大前提で、そんな返答をしたら冗談だと思われ笑われてしまうかもしれません。コンゴの子ども達は紛争に巻き込まれたり、子ども兵として消費されてしまったりと、いつ紛争の被害を受けるかわからない世界で生きています。子ども達自身が健やかに育つ事を何よりも望んでいることを痛感しました。

 

〇「現地の人々がそこに住み続けられるまちづくり」

テラ・ルネッサンスはコンゴの人たちが自分達の力で、より安全に豊かに暮らせるように「お手伝い」していると栗田さんはいいます。ここで「支援」という言葉を使わないところに全てが詰まっているように思いました。具体的な例として溶接の技術を教えたり、洋裁をしてもらったりと現地の人々の可能性を広げていくといいます。溶接を自分達でできるようになったことで武装勢力のいる山を通らずにバイクを自分達の力で修理できるようになったり、洋裁を覚えることで「自分はなにもできない」という自己肯定感の低さが改善されたりしていくそうです。冒頭でもお話していただいた「レジリエンス」、自分達は無力ではないということを思い出し、居心地のいい環境をつくってゆくきっかけになればと栗田さんはおっしゃっていました。

 

〇イチ学生の所感。

将来の夢を「大人になりたい」と言った子どもの事を考えます。私も、大人になりたいとは思っていたけど、それは「早く」大人になりたいという事で、そのまま黙っていれば成長できることが前提の話でした。生まれ育つ環境は選べず、それぞれの基準があります。だから安全な場所で育った私が「命を落とさずに大人になれる事に感謝する」「戦争に行かずに学べる事は幸せなこと」と紛争地域と比べてみても、根本的な部分が異なりすぎてしまっているので意味がないように思います。そもそもこれらは他国と比べて自国を優位に立たせるためだけのような、突き放した言葉にも聞こえます。そう思うと、やっぱり栗田さんのおっしゃるように「知る」「感じる・考える」「関わる」が一番対等に考えていけると思いました。「大人になりたい」と言う言葉の裏に「平凡な毎日を過ごしたい」という願いが込められていたと思うと胸が痛くなります。(学生ライター関口)

【神戸ソーシャルセミナーwith 認定NPO法人テラ・ルネッサンス 栗田佳典氏(2019.4.10)】

みなさんこんにちは!学生ライターの下尾です。

今月第2回目のソーシャルセミナーは、前回に引き続きSDG課題16「平和と公正」をテーマに、NPOテラ・ルネッサンスの栗田さんにお話を伺いました。

  • テラ・ルネッサンスとは

日本を含めたアフリカ・アジア地域で「地雷」「小型武器」「子ども兵」「平和教育」という4つの課題解決のために、現地での国際協力や国内での啓発・提言活動を行っているNPOです。

☆今日のキーワード1-「レジリエンス」

テラ・ルネッサンスの方たちが平和を築いていくうえで大切にしている考え方「レジリエンス」について教えて頂きました。「レジリエンス」とは、“困難な状況に直面しても自らに内在する多様なチカラと、周囲との関係の中でそれを乗り越えていく適応能力”のことを指します。

  • 平和への第一歩

平和への第一歩として、物事を自身に引き付けて考えるきっかけとして、以下の3つのアプローチを挙げてくださいました。

☆観心-知る

☆感心-感じる・考える

☆関心-関わってみる

 

1,まず、知ること

2,そしてそれについて思考してみること

3、頭の中だけで終わらせず実際に場所に行ったり、コミュニティに関わってみること ということですね。

  • 平和以外なんでもある国-コンゴ民主共和国

テラ・ルネッサンスの活動地域の1つであるコンゴ。コンゴは中部アフリカに位置する共和制国家で、国土は日本の約6倍、魚・芋・肉・とうもろこしなど食材も豊富な上に鉱山資源にも恵まれており、世界で2番目の広さを誇る熱帯雨林を持つ自然豊かな国です。そんな、自然にも資源にも恵まれているコンゴですが、恵まれているがゆえに外国勢力の制圧の対象になってしまい、諸外国から様々な部隊が乱入、それらと戦うために武装勢力が増えていくという連鎖により紛争が絶えない国です。また、こうした治安の悪化により、女性の性暴力被害も後を絶ちません。

そんなコンゴという地で、テラ・ルネッサンスは以下のようなことを進めています。東部地域では、元子ども兵の男の子に対して溶接の技術を伝える活動を行っています。溶接は村の病院や教育施設で使う大型の鉄製ドア等を作るために現地で必要な技術です。溶接を習う前までは、自分で出来なかったため、注文をするために山を越え、武装勢力が台頭している場所を通らなくてはならなかったといいます。溶接の技術を覚えることで危険回避が出来ることはもちろん、生活に関わるスキルを取得でき、地域住民の助けになっているそうです。

一方、身体的・精神的な傷を負い、経済的にも脆弱な状態にある、紛争被害を受けた女性たちには洋裁の技術を伝えると同時に、女性たち同士でグループを結成し、小さな洋裁店を開業するビジネス支援を行っています。技術向上によって作り手一人ひとりの個性が出てきたことに加えて、表情が豊かになったりと目に見える変化もあったそうです。

また、街に近い中央地域では、街に流通させていくもの、ジュースや石けんの生産に励んでいるそうです。

  • 戦争に加担しているかもしれない私たち、消費者

コンゴでは、武器を買うためにお金を稼ぐ手段として希少な金属であるレアメタルの採取に従事する人々が数多くいます。紛争の資金源となっている鉱物のことを紛争鉱物(コンフリクト・ミネラル)と言い、スズ・タンタル・タングステンなどを指します。それら紛争鉱物はスマホやテレビ、パソコンなどの電子機器に多く使われているもので、最先端のチップ等には欠かせないものです。紛争鉱物という名前だけ聞くだけではぴんと来ないかもしれませんが、私たち含め先進国の人たちは、日常生活の中でレアメタルの恩恵を受けているということです。

栗田さんによると、最近ではドット・フランク法という紛争鉱物に関わる規定に基づき、紛争に関わる鉱物は用いていないという旨、トレーサビリティをすべてWeb上で明らかにしている企業が増えてきているそうです。「メーカーの名前 紛争鉱物」で検索すると、その企業の紛争鉱物に対する意識や取り組みが掲載されています。何も知らずに、調べることなく製品を購入することが、アフリカの地における紛争に加担することになるかもしれないというのは恐ろしいことですよね。

  • 栗田さんのお話しを聞いて○

前述した、「平和への第一歩」とも繋がりますが、改めて、まずは知ること-「知ろうとすること」の大切さを感じています。毎日色んな情報が溢れかえっていますが、気に留めようとしなければ、ただ流れていくだけです。ある事象やその背景を身近に引き付けて考えるためには、自らそれについて知ろうとする前のめりな姿勢が不可欠だと感じました。

-「レジリエンスを発揮してくれている、その人に内在するものを引き出していく、それが私たちの役割である。(栗田さん)」- レジリエンス、そしてこの栗田さんの視点は国際協力という文脈だけではなく、どの場面においても欠かせない視点であると感じます。“自らに内在する多様なチカラと周囲との関係の中で困難を乗り越えていく”という栗田さんの言葉をお借りすると、例えば会社という組織においても、共に仕事をする上で、相手がどんな能力を持っているかを見極めることは重要です。また、自身の興味関心・スキルの把握はもちろんのこと、それらがどのような場面で活かせるかということを自分自身が分かっていることも重要ですよね。

テラ・ルネッサンスのスローガン、“一人ひとりに未来を創る力がある”というのは、現地の人たちや栗田さんの活動もそうですが、私たち含め先進国の人々の買い物における選択にも同じことが言えると思います。「電子機器を買うときは紛争鉱物が使われていないか気にしてみよう」という視点を持って買い物をするのとしないのとでは、大きな違いがあります。知らない所で、紛争に加担しているかもしれないということはとても恐ろしいことです。どのような世界を目指していきたいかという視点を持ち、その世界に少しでも近づけるようなお金の落とし方・買い物をしたいと思います。

コンゴは平和以外なんでもある国と言われているということを聞き、日本はどうなのか?と考えました。確かに、日本には戦争はありません。でも、戦争がないことだけが、平和な状態なのでしょうか。日本には戦争こそありませんが、子どもの相対的貧困や、外国人に対する差別など、私たちの身近なところでも対処すべき問題は溢れています。以前、平和とは何かという話を友人とする機会があったのですが、そこである考えに出会いました。平和学の父、ヨハン・ガトゥング博士によると、戦争や紛争がない状態を消極的平和と言い、それに加えて差別・貧困・抑圧などの社会の構造的暴力がない状態を積極的平和と言うそうです。つまり、これは戦争がないことだけが平和ではないという1つの考え方を示してくれています。

ここで栗田さんのお話を1つ。あるとき、ウガンダで出会ったとても思い入れのある女の子、チカちゃんに「平和ってなに?」と質問したそうです。すると彼女は「お腹を空かせていないこと、食べ物があること」と答えたと言います。確かに、空腹は食べ物を巡る争いの元になりそうですよね。

みなさんは、平和と聞いてどんな状態を思い浮かべますか。そしてどうですか、その考えと照らし合わせて、日本は平和と言えそうでしょうか。

【神戸ソーシャルセミナーwith 認定NPO法人テラ・ルネッサンス 栗田佳典氏(2019.4.10)】

神戸ソーシャルセミナー、2019年4月のテーマは「平和と公正」

4月10日には、「小さな一歩が世界を動かす~紛争に巻きこまれた世界の現場から~」と題して、認定NPO法人テラ・ルネッサンスの栗田佳典さんよりお話を頂きました。

中二の多感な時期に先天的な心臓の病気で入院した栗田さん。その時にさまざまな人に支えられた経験から「福祉」に関心を持ち、大学で福祉を学ばれていました。大学3回生でテラ・ルネッサンスでのインターンを経験し、就職され、現在に至ります。

今回はご自身の体験も踏まえながら、テラ・ルネッサンスの活動内容、紛争地域の実情などをお話しいただきました。

〇「レリジエンス」という考え方

はじめに、栗田さんはあるキーワードを出されました。それは「レリジエンス」という考え方です。この言葉は、一般的には「回復力」「復元力」「弾力性」という意味ですが、テラ・ルネッサンスでは「困難な状況に直面しても、自らに内在する多様なチカラと、周囲との関係性のなかでそれを乗り越えていく適応能力」という意味で用いられています。

 

〇平和の一歩としての三つの「カンシン」

また、平和への一歩として三つの「カンシン」を挙げられました。

「知る」という意味の「観心」、「感じる、考える」という意味の「感心」、「関わってみる」という意味での「関心」。この三つを平和への大きな一歩として大切な考え方として紹介されました。

 

〇テラ・ルネッサンスの活動

テラ・ルネッサンスでは日本、コンゴ、ウガンダ、ブルンジ、カンボジア、ラオスといった地域を対象に「地雷」「小型武器」「こども兵」「平和教育」という4つの課題に対して、現場での国際協力と同時に、国内での啓発・提言活動を行うことによって、課題の解決を目指しています。

特に紛争地域の支援の際には「一人ひとりに未来をつくる力がある」という考えのもとで、ただお金を渡すなどの目の前の支援だけでなく、元こども兵を対象した溶接技術の訓練や、性的暴力を受けた女性や孤児を対象とした洋裁技術訓練を行い、収入を得るためのサポートなどを行っておられます。

ここでも「レリジエンス」の考え方は重要で、助けてあげようという気持ちではなく、彼らの中にある力を一つでも引き出して困難を乗り越えていこうとするエンパワメントのための支援を心がけておられています。

 

〇コンゴについて

栗田さんの関わっておられた、「コンゴ民主共和国」は別名「平和以外何でもある国」。

2度にわたる内戦がおこり、さらに現在でも武装勢力がたくさん存在しています。

自然豊かで、熱帯雨林が広がっており、少し移動しようとするだけでも「四輪駆動」の大切さを実感するような沼地のような道を渡ったり、木を切って橋をかけ、川を渡る必要があるために、国内に支援の届きにくい場所が多くあります。

最近では、2018年にデニス・ムクウェゲさんが、「女性として生まれるには最悪の国」と呼ばれるコンゴ国内での性暴力被害の治療が評価され、ノーベル平和賞を受賞されました。また、2019年には、選挙によって野党のチセケディ大統領が誕生し、1960年の独立以来初めて平和的に指導者交代が行われるなどといった明るい話題もありました。

 

〇紛争鉱物について

兵士が小型武器を買うためのお金として使用されているものとして紹介されたのが電子機器などに使用されている「レアメタル」です。その中でも、スズ、タンタル、タングステンなど、「紛争」の原因となるものは「紛争鉱物」と呼ばれています。そのため、現在アメリカでは、電子機器などの紛争鉱物の使用量を報告する必要のある「ドット・フランク法」の制定や、日本では都市鉱山で2020年東京オリンピックのメダルを作る「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」という活動などをはじめとする、政府・企業の努力や、トレーサビリティによって紛争鉱物の使用は緩和されるようになったそうです。

「紛争鉱物」という存在を知ると、「紛争鉱物が使われていないものを使った方がいいのではないか?」という思考に陥ることもありますが、そうではなく「今持っているものを最後まで使い切ることが大切である」とおっしゃっていました。

 

〇栗田さんの体験談

また、栗田さんの紛争地域での体験談もたくさんお聞きすることができました。

栗田さんが武力勢力に襲われた地域を訪れたときのこと。そこにいる子どもたちは「ニーゴ」と栗田さんたちを呼びました。その意味は「国連平和維持軍の兵士」という意味だったそうです。その時の栗田さんの恰好はTシャツに短パン。そこの地域の子どもたちにとって外国人は全員兵士に見えるそうでした。そこの子どもたちに将来の夢を聞くと、「大人になることが将来の夢」という答えが返ってきたそうです。

 

また、コンゴ人は9時集合でも、13時に遅れてくることもしばしば。理由は「昔の友達に会ったんだ。」日本では、「また今度」があると思いがちですが、コンゴでは寿命が短く、次もう会えないかもしれない。一期一会を大切にするコンゴ人の国民性を表すエピソードとして印象に残りました。

 

最後に、栗田さんの約10年前のウガンダでの印象的なお話を聞かせていただきました。

子どものころに誘拐され、子ども兵として闘わされた女性に話を聞きに行った時のこと。その女性の腕には赤ちゃんが抱えられていたそうです。その赤ちゃんのことについて尋ねると、その子はなんとその女性が昨日出産したばかりの赤ちゃん!さらにその女性は栗田さんに「この子に名前を付けて」と言ったそうです。栗田さんは驚きながらも、女の子だったため、ご自身の妹さんの名前を付けたそう。こども兵から技術を身につけ、社会に出て、結婚し、子どもに恵まれたことに女性のことがいることが栗田さんは本当にうれしそうでした。

栗田さんはしばらくその女の子とは会えずにいたものの、昨年久しぶりに再会を果たしました。その時にその女の子に「平和とは?」と尋ねると、「ハーベスト」だと答えたそうです。食べ物があること、おなかがすかないこと、それが平和において大切なことだと認識させられました。

 

 

 

平和について考えたとき、真っ先に思い出されたのが私の祖父の話です。第二次世界大戦を経験した祖父の生きがいは「世界平和」であるといいます。「戦争はあかんということは十分に思たさかい世界平和。」私が祖父に生きがいについて尋ね、そう答えられた時、私はその答えが壮大すぎて、思わず笑ってしまうほどにピンとはきませんでした。しかし今回改めて平和について考えてみると、平和は私たちが自分の命を大切にし、勉強し、バイトし、友だちを遊ぶといった、人間の何気ない生活を営む上で、最も大切な基盤であると改めて気づかされました。

私たちが願わずとも手に入れ、気付かずにいるものを、こんなにも願っている人がいる。その人たちに何かしたい。私は今回紛争鉱物について知ったことで「電子機器を最後まで使い切る」といった行動ができる。このような行動を起こすためには、世界の現状について知らなければならない。考えなければならない。関わらなければならない。

「ひとり一人の力は微力かもしれないが、無力ではない」栗田さんの優しい口調の裏には平和への熱い思いがこもっていたように思います。この言葉を信じて、世界平和という壮大な未来の夢のために、世界を知り、考え、何気ない行動を変えることから始めていきたいものです。

 

【神戸ソーシャルセミナーwith 公益財団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン 伊藤愛氏(2019.4.3)】

神戸ソーシャルセミナー、4月のテーマは「平和と公正」。今回はセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンの伊藤愛さんから、国内外での主な活動や活動理念についてお話して頂きました。途中、参加者同士でグループをつくり意見を述べ合う場面もあり子どもの権利を実現するために何ができるか皆で考える1時間半となりました。

 

〇Save the Childrenについて

セーブ・ザ・チルドレンはイギリスで設立された子どもの支援を専門とする非政府組織(NGO)です。「子どもの権利条約」を根底に、「生きる」「育つ」「守られる」「参加する」を世界中の子どもたちが実現できるようにと活動しています。日本では1986年に設立され今年で33年になります。伊藤さんは2002年に企業から転職をし、18年近くをセーブ・ザ・チルドレンのメンバーとして国内・国外の子どもの権利を実現するための活動をされています。

 

〇アフガニスタンの事例から

アフガニスタンは人口のうち約半数が18歳未満の子どもだと言われているそうです。アフガニスタンの子どもたちを取り巻く課題はたくさんありますが、今回は「教育」の観点からお話をしていただきました。子どもたちが教育を受けられない理由として、学校へ行くお金がないことや兄弟の世話や労働をしていること、親が十分な教育を受けていないため子どもに行かなくていいと言っているなど、アフガニスタンの子どもたちと教育の現状について教えてくださいました。

 

〇子どもたちが教育を受けられる支援とは?

伊藤さんから、学校建設をしたのに学校に来ない子どもたちがいるとう想定で、「学校に子どもたちを呼ぶにはどうしたらいいか」という事について3人ずつのグループワークを行いました。参加者同士で意見を述べ合う中で、「親の意識を変えるため教育のメリットを親に知ってもらう機会をつくる」「学校を開かれた場にする」「学校をでた生徒を見てもらい教育の重要性を実感してもらう」など多くの意見がでました。

最後に、セーブ・ザ・チルドレンが現場で行っている教育支援活動について紹介がありました。まずは「教員研修」だといいます。教員になっている大人が子どもの時にきちんとした教育を受けられなかった例もあるため、ワークショップのような形で模擬授業(ひとつの模造紙を囲み意見を書き出していくもの、教員も生徒役になり授業を行うものなど)を行い教員自身がその教育がどのような効果につながるのか率先して体験するというものです。質の高い教育の提供に繋がります。また、参加者からの意見もあったように「学校を開かれた場にする」「教育のメリットを知ってもらう」場として「子ども劇」を行うこともあるそうです。「子ども劇」は教育の大切さを子ども自身が発信することで、地域の人たちの教育に対する意識を前向きに変える効果もあるといいます。

 

〇日本での活動

セーブ・ザ・チルドレンと聞くと海外支援の印象が強いですが、日本を拠点としているセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは日本国内でも支援活動行っています。例えば、自然災害などの際に被災した子どものこころに寄り添う「子どものための心理的応急処置」の実践は勿論、研修やパンフレットの配布など情報発信にも取り組んでいるそうです。

 

〇セーブ・ザ・チルドレンのこれから

セーブ・ザ・チルドレンの活動は、「権利」をベースとしているため「すべての」子どもたちに支援を届けることを目指しています。仮に支援の結果、教育を受けることのできる子どもの割合が50%から90%に上がったとしても、残り10%の子どもたちをどう支援していくかを追求するといいます。そのために場合によっては他の支援団体とも手を組み働きかけているそうです。子どもたちの権利を守るという視点から「平和と公正」の実現に取り組んでいます。

 

〇イチ学生の所感。

「学校建設だけで子どもたちが教育を受けられるようになるわけではない」なんて、言われてみたら理解ができるし、何故なのかもある程度なら推測できます。言われるまで気づかなかった自分にショックを受けました。私の「平和ボケ」とも言い換えられるそれは、「想像力の欠如」とも言えると思います。「想像力の欠如」は鋭い刃をもった凶器のようなもので、簡単にひとを傷つけてしまうし、自身にも影響を及ぼします。価値観を押し付けてくる人に嫌気がさして、自分は違う、自分は相手のこと考えて傷つけたりなんてしないと思っていましたが、そんなはずもなく自分の中の「当たり前な事」がある人の価値観を否定する可能性は常にあるという事に改めて気づかされました。「平和と公正」を伊藤さんは「inclusive」(含んでいる)という単語を用いて説明してくださいました。「平和と公正」のために世の中の物事全部を知る事は難しいですが、想像することは可能です。今回のセミナーで意見交換などを行ったこともあり、海外の問題が極身近なものに感じました。様々な角度や価値観から「想像すること」を忘れたくないと思います。(学生ライター関口)

【神戸ソーシャルセミナーwith 公益財団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン 伊藤愛氏(2019.4.3)】

みなさんこんにちは、初めまして!学生ライターの下尾です。

新年度初めのソーシャルセミナーはSDGs課題16「平和と公正」をテーマに、公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンの伊藤愛さんにお話しいただきました。

  • Save the Childrenとは

Save the Childrenは、日本を含む世界約120か国で子ども支援の活動をしている民間・非営利の国際NGOです。海外では緊急・人道支援をはじめとし、日本国内では災害時における心理社会的支援等を行っています。

 

  • 子どもたちを学校に呼ぶには?―アフガニスタンにおける教育支援

教育支援に関して、人口3000万人のうち1600万人、約51%を子どもが占めるというアフガニスタンを例に挙げてお話してくださいました。

そんな、子どもの数が多い国や地域でも、学校があっても子どもたちが学校に来ない!という例が少なくないようです。それはなぜなのでしょうか。

伊藤さんによると

・働いている

・親が教育の大切さを理解していない

・(学校はあっても)先生がいない

・経済的余裕がなく文房具が買えない

等の理由から、そのような事態が起こってしまうようです。

そこで、これらの理由を踏まえたうえで、「子どもが学校に行けるようになるプロジェクトを考えよう」というテーマのもと、案を出し合いました。

参加者の皆さんは、支援内容に関して“持続可能性”-その場限りで終わらせない というところに着目されていました。例えば、子どもの親をいかに巻き込んでいくか、という論点では、「地域と先生の関わりを作るために、学校をコミュニティの場にしてはどうか」といった案が挙げられました。物資支援においても、ただただ文房具を寄付するのではなく、教科書など何度も使えるものにしてはどうかという提案もありました。

各案を共有した後、伊藤さんから、Save the Childrenが実際に行っている支援内容の説明がありました。先生たちが教え方を知らない、という問題を解決するための『教員研修』や、公立の学校に編入するための読み書きの能力をつけるため、村の集会所等で『識字教室』を開催しているとのことでした。その他に、とても面白い取り組みだなと思ったのが、『子ども劇』です。その名の通り地域の子どもたちが劇をするのですが、なんと、そのテーマが「学校に行けないとどうなるか」とのこと!実際、娯楽があまりない農村部では、子どもの親をはじめたくさんの大人たちが見に来るそうです。支援者である外国人だけで対象に働きかけるのではなく、地域の人々も巻きこみながら、また劇という“楽しい”要素も交えての取り組みは、一方的な押し付けに終始せずコミュニティへの働きかけを含んでいるという点で素敵だなと思いました。

  • SDG16 「平和と公正」との関わり

平和構築という観点から、制度を整えることの重要性に触れられました。例えば、Save the Childrenだけでは法律を作ることは困難ですが、現場に行き子どもの声を集め政府に政策提言をすることは出来ます。制度への働きかけを行っているという点で、SDG16との関連性を説明してくださいました。

  • Be inclusive

伊藤さんのお話の中で、“問題解決のために他の組織と協働する”という点が強く心に残っています。例えば、西日本豪雨の際には、避難所に隣接した施設で子どもたちが安心・安全に過ごすための空間『こどもひろば』の実施において、行政機関や他の団体と調整をとったとお話ししてくださいました。

「Save the Childrenだけで100%を達成しようと思っているわけではない」という伊藤さんの言葉が心に残っています。それは支援活動を行う上で、どのように現地の人たちに引き継いでいくのかということはもちろん、上記で挙げたように、他の組織との連携が大切であるということに他なりません。これはまさに、SDG17の「パートナーシップで目標を達成しよう!」にも繋がることであるなと思ったのです。

様々なセクターの人たちが関わりあってこそ、協力しあってこそ、平和で公正な社会、ひいてはSDGsが目指す社会の達成に繋がるのだと思いました。

立場やバックグラウンドが異なる人々との関わりの中での達成、様々な人や組織を巻き込みながら、というプロセスの中で大切になのは「インクルーシブ」という視点です。「インクルーシブ」とは、直訳すると“包摂的な”という意味で、SDG16の説明にも用いられている言葉です。ですが、少し分かりづらいですよね。

ここで、伊藤さんの冒頭のお話を紹介したいと思います。ある時、国籍の異なる3人の子どもたちが一緒に遊んでいた時、英語がわかる2人の子どもたちだけで話を初めてしまい1人の子どもがきょとんとしてしまったことがあったそうです。その様子を見ていた大人の一人が、[S5] 子どもたちに向けて「Be inclusive」と言ったそうです。つまりは、「仲間外れを出しちゃいけないよ、みんなで話そうよ」ということです。どうでしょうか。“包括的な”という言葉よりもずっと分かりやすいですよね。

以上からわかるように、「インクルーシブ」とは、一人ひとりの違いを排除するのではなく価値あるものとして高く評価し、社会全体で包み込むように迎え入れることを指します。そうすれば、それぞれの能力やスキル、経験、強みを最大限に活かし協働出来るからです。

○伊藤さんのお話を通して、自分自身を振り返る●

「他の組織と共に活動することもある」という伊藤さんのお話を聞いたことが、自分自身の関わってきた組織を振り返る機会になりました。

わたしは現在大学4年生ですが、ついこの間までフェアトレードに関心のある学生を繋ぐネットワークの運営に携わっていました。関西だけでも、フェアトレードを推進している、もしくは何らかの形でフェアトレードに関わっている学生団体は15ほどあります。運営をする中で、各団体を繋ぐ意義・ネットワークの役割について頭を抱えることが多々ありました。なぜなら、それぞれの団体(サークル・部活)は当たり前ですが、いち組織として独立しており活動理念も団体ごとに異なります。言うなれば、それぞれの理念に基づいたやりたいことの多くは団体内で達成できてしまうわけです。そのような状況下におけるネットワークの意義とはなんなのか、また、その意義を感じてもらえるような場を設けるためにはどうすればいいのか、ということに関して長らく悩んでいました。

15ある団体ごとの活動を例に挙げると、団体自らフェアトレード製品の仕入れ、販売を行っているところもあれば、途上国の生産現場を見に行けるスタディツアーをコーディネートしている団体、フェアトレード製品の委託販売のみを行っている団体、勉強会メインの団体、フェアトレードだけにとどまらず、子ども支援や大学地域付近でクリーンナップ活動を行っている団体など、それぞれに特色があります。

もちろん、先ほども述べたように団体ごとに理念や活動は異なるわけですが、フェアトレードという手段をとって、目指したい社会があることは共通していると思います。ですからわたしは、せっかくのその考えや多様な手法を自分の団体だけに留めておくのではなくて、出来るならば外に出していってほしい。活動する中での困りごとや、これから目指していることを共有してほしい、という風に考えていました。なぜなら、そのことが活動内容を見直すきっかけになったり、新たな取り組みのヒントを得たりということに繋がっていくと思っていたからです。もしかすると、コラボしてなにかイベントを行おうという話も出てくるかもしれません。また、少なくとも仲間がいるとわかることだけでも活動のモチベーションに繋がっていくと考えていたからです。

今回の伊藤さんのお話を通して自身の活動を振り返り、目指す社会の達成のために集い協働すること、いろんな人たちを巻き込みながら動いていくこと、その大切さについて改めて考えさせられました。完全に個人的なイメージですが、NGOというと国内外問わず数多く存在しているため、それぞれがそれぞれの理念を曲げる気はさらさらなく、「私たちなりのやり方がある!」と肩ひじを張ってるイメージで、正直に言うとNGO間において協力的な印象は抱いていませんでした。ですが、肩ひじを張る必要はなく、専門としている分野であったり、強みとしている部分をそれぞれが出し合って連携すれば良いのですね。共通の目標に向かった協働のために理念を曲げる必要はなく、むしろ出来ること出来ないこと含め、お互いがお互いを認め合っているからこそ、必要に応じて補完できるような体制があるのだろうなと思いました。(これも、インクルーシブという考えが根底にあってのことですよね!)

長々と書いてしまいましたが最後に、「インクルーシブ」という視点を持つ上で、こうなったらいいなという社会を共に作っていく仲間や機会を見つける場として、このプラットホームが皆さんにとって(もちろん私にとっても)そのような場であればと願っています。

※記事に含まれるコメントはいち学生の所感です。