【神戸ソーシャルセミナーwithアーバンピクニック(2018.11.28)】

2018年11月28日 神戸ソーシャルセミナー

「持続可能なまちづくり」─空間とひとを結ぶ─

神戸ソーシャルセミナー11月のテーマは「持続可能なまちづくり」。第三回目はアーバンピクニック、神戸モトマチ大学代表村上豪英さんにお越しいただき、まちを皆でつくってゆくことの意義についてお話して頂きました。

  • セミナーの様子

 

○「神戸モトマチ大学」プロジェクトきっかけ。

阪神・淡路大震災当時、学生だったという村上さん。大切な神戸というまちが崩壊した状況で、自分に何ができるのか真剣に考えたといいます。しかしそれから年月は流れ東日本大震災のボランティアをしていた際「神戸はどのように復興したのか」という問いに上手く答えることができず、自身が行動へ移せていなかったことに衝撃を受けたそうです。そこから「人の輪を生み出す」プロジェクトとして神戸モトマチ大学を始めました。

 

○学びから人の輪を。

神戸モトマチ大学は元町から三宮間をキャンパスとして考え、学びを通して人との繋がりを広げていくプロジェクトです。生活や人を、まちを変えることに貢献している方に授業を行ってもらい先生と生徒の輪が広がり、神戸のまちを考えてアクションを起こす核へと育てば」(神戸モトマチ大学HPより)と願い活動を行っています。

 

○『所属』は広がらない。

神戸モトマチ大学では主に「遠くからつなぐ」「リピートを求めない」ということを大切にしているといいます。関わりのなかったひと同士をつなぐ。人間関係によって抑えられることなく自分に合った学びを追及してほしいという想いから「既存のコミュニティ」といった「内と外」がはっきりしたものをつくらず、新しい出会いの輪を自由に広げていける環境を重視しています。そのひとの意見と行動、眼差しから信頼を築き、協力しあえる関係を根づかせる。そんなきっかけの場になるようにとプロジェクトを続けています。

 

サイト『神戸モトマチ大学HP』〈http://kobemd.com/

 

○公園をアウトドアリビングへと育てる。

東遊園地は現在人が自然と集まるように設備されています。しかし少し前までは砂ぼこりの舞う土のグラウンドで、人が訪れること自体が少ない公園だったそうです。村上さんは「そういうもの」で完結されていた東遊園地に目をつけ、神戸のまちをより良くするために「URBAN PICNIC」という社会実験を提案し貢献します。はじめに土のグラウンドを芝生の地面へと変え、次に公園の中心には本棚とカフェを作りました。そうしたことで市民は東遊園地に惹かれ足を運ぶようになり、三宮の中心にある公園が市民の「目的地」へと発展していきました。

こうしたひとを巻き込み、発展させるためには「体験の共有」が重要になるといいます。同じものを体験することによりその「感覚」や「感性」を共有することができる。一人一人の意見は異なっていたとしても体験の共有から生まれた「つながり」が、その空間をより質の高いものにするそうです。

  • 動画『URBAN PICNIC-アーバンピクニック-』より。

「楽しみ方はいつも無限大」。

 

動画『URBAN PICNIC-アーバンピクニック-』〈https://youtu.be/mPh9A2AiZ24

サイト『URBAN PICNIC-AT EAST PARK,KOBE-』〈http://urbanpicnic.jp/

 

○「まちづくり」を自然と発生させる。

「公園を育てることに、どれだけ多くの市民が参加するか」。傍から見ているだけだったひとを参加者に変える。そこには相応の魅力が必要となります。その場に惹きつけられたひとが「主催者側にまわれること」を実感することも大切であるとおっしゃっていました。公園で本を読んでもらうための企画「アウトドアライブラリー」では立ち寄った方に本を寄付してもらうことで成り立っています。「一冊」を条件にそれぞれ想いのこもった本が集まるそうです。その他にも家で眠っていた楽器を自由に触らせてもらうイベントなど「場は自分達でもつくることができる」ということを知ってもらい、市民に率先して動いてもらうことが理想だといいます。

村上さんは神戸市に住まうひとの笑顔が広がる「居心地のよい空間」をつくることのできるように、「まち」と「ひと」の関係をしっかり推し量っていきたいとおっしゃっていました。

  • 協働と参画のプラットホーム!

 

○いち学生所感。

「既存コミュニティは広がらない」。過去に何度も感じたことのあるものが言語化された瞬間でした。対ひとだけでなく趣味や学びでもそのように感じます。どこかに所属しているということはそれだけで自身を説明できるものとなり、安心するかもしれません。しかしそのひとつの「所属場所」が自身の中で大きくなりすぎてしまうと、新しいものを取り入れることが困難になります。村上さんのおっしゃっていた必要以上に親密にならない、「友だちだから」という感情のない関係というのは、より鮮明で真っすぐな意見交換ができると想像できます。

「まちを良くするために、ひとを変える。ひとを変えるために、自分が変わる。」そのために積極的に自分をアップデートし、より多くの価値観に触れる必要があると感じました。「自分が変わるとまちも変えることができる」。まちづくりの根源にある重要なことを教えていただきました。(学生ライター関口)

【神戸ソーシャルセミナーwithユニバーサルビーチプロジェクト(2018.11.21)】

2018年11月21日 神戸ソーシャルセミナー

「持続可能なまちづくり」─神戸市のこれから─

神戸ソーシャルセミナー11月のテーマは「持続可能なまちづくり」。第二回目は神戸市役所、NPO法人須磨ユニバーサルビーチプロジェクト副理事長秋田大介さんにお越しいただき「持続可能なまちづくり」に関連して自身の活動していることや、神戸市のこれからについてお話しをしていただきました。

  • セミナーの様子① 当日は20人強の方が参加しました。

 

○秋田大介さんについて。

秋田さんは神戸市役所で働きながら、NPO法人で社会活動も行っています。神戸市役所では市の都市計画に力をいれており、学生の頃から培ってきた環境に対する理解と知識を都市計画へと結びつけ、より環境負荷のすくない過ごしやすいまちづくりに励んでいます。またNPOの活動として障がいのある方もない方も皆に海水浴を楽しんでもらう活動を行っています。型にはまらず向上心をもって活動する姿に触発された方も少なくないようです。

 

○市民として『できない』を『できた』へ。

秋田さんが行っているNPO活動は須磨のビーチを障がいを持った方でも安心して楽しめる、ユニバーサルデザインのビーチにしようという「須磨ユニバーサルビーチプロジェクト」というものです。車いすでも砂浜の上をとおり波打ち際まで行くことのできる「ビーチマット」や、水陸兼用車いす「ヒッポキャンプ」などを取り入れ「みんなの『できない』を『できた』に変える」を合言葉に活動しています。

 

『NPO法人須磨ユニバーサルビーチプロジェクトHP』

< https://peraichi.com/landing_pages/view/sumamap >

 

○まちを「持続可能」にしてゆくために。

「持続可能なまち」とはすべての人が基本的なサービスを受けることができ、環境や社会的弱者にも配慮され、皆が平等に安全に過ごすことのできるまちのことです。

 

  • 人口減・税収入減の中で生活サービスを維持していく
  • 安全は確保しながら、生活の場として多様性を求める
  • 環境負荷が少ない生活ができる都市構造

 

秋田さんは日本における持続可能なまちづくりにはこの三点が重要になるとおっしゃっていました。人口が減少していく中でも地域の特徴を活かし、子育てや仕事ができる環境を整える。そうすることで若い人が地域に入るようになり、持続が可能になるといいます。「安全の確保」というのは、具体例として人口減少が著しい地域が山のふもとであった場合、土砂崩れなどの災害対策に努める必要があることを意味します。

「環境負荷が少ない生活」については神戸市が「人と公共交通」をキーワードに現在進行形で都市計画を進めています。主な計画として三宮再開発や、水素エネルギーの利用拡大などに取り組んでいるそうです。三宮の車利用者を減らすために、そごうやマルイのそびえ立つフラワーロードの車線を大幅に減らす事業を進めています。「車を使用していては環境にいい街はつくれない」。できるだけ歩くこと、自転車や電車などを自然と選ぶまちづくりを進めています。

  • セミナーの様子②

 

○「ひとを動かす」「まちをつくる」。

中学生の時から科学雑誌『Newton(ニュートン)』を愛読していたという秋田さん。ある時の特集は「地球が危ない」、その次号は「未来は水素社会」だったといいます。この二冊で自分の人生は決まったと明るい口調でおっしゃっていました。大学進学でも環境への興味は薄れることなく、環境の学ぶことのできる学部へと進学したそうです。

興味関心のある分野に対して自身の理想だけにとどめず、実現のために一つ一つ課題をこえていく。効率のよいアウトプットに長けている方だと感じました。「この課題をクリアするには何が足りていないのか、必要であるのか」を慎重に見極めたのち、進むことを選ぶ。言葉にすると当たり前のことのようにも聞こえますが、実際に実行しているひとは極わずかだと感じます。秋田さんの行動力には根拠のある確信があり、だからこそ人が動くのだと感じました。

 

○まちづくりに大切なこと。

行政、市民、業者。どれかひとつでも自分だけの都合に合わせてしまえば持続は不可能になります。それぞれの立場から意見を交換尊重しあい、人々の笑顔がよりあふれるまちへと変えてゆく。「今から、いつまでに、何をする」という具体的な目標を繰り返し積み重ねていくことが、まちの発展に大切であるとおっしゃっていました。

三宮再開発の「車の優先順位を落とす」という話に関して車を利用することが「閉ざされた空間」を作りだし、ひととの繋がりをなくしてしまっていることに気づかされました。車に乗っていては表情がわかりません。公共機関や徒歩といった手段を使うことで、ひとの感情の動きなどを肌で感じることができ「同じ場にいる」という繋がりができるように思います。ひとが自然と集まり良いエネルギーで包まれる、そんなまちにより近づくことを期待します。(学生ライター関口)

【神戸ソーシャルセミナーwith保養キャンプと福島(2018.11.14)】

「持続可能なまちづくり」─保養キャンプと福島─

神戸ソーシャルセミナー11月のテーマは「持続可能なまちづくり」。第一回目はフリースクール「ラミ中学校」元スタッフ小野洋さんに、「原発事故被災地の子どもたちの保養『たこ焼きキャンプ』」から3.11被災者と復興についてお話しをしていただきました。

  • セミナーの様子

 

○「たこ焼きキャンプ」に至るまで。

2011年3月、東日本大震災と福島県で大規模な原発事故が起こりました。小野さんは震災から一か月後、生まれ故郷である福島県会津市へとボランティアに向かったそうです。

2回目に訪れた際にはフリースクールで使っていた大きな「たこ焼き器」を使い、避難所にいる方々にたこ焼きをふるまいました。そこで会津のボランティア団体の方に「保養キャンプ」の話を持ち掛けられたといいます。「保養」とは原発事故被災地から離れ、被ばくの少ない地域で一定期間すごし心身を癒す取り組みのことです。同年7月には兵庫県内にて第一回「たこ焼きキャンプ」を実現させました。当初の話では「関西に子ども300人を迎え入れられる場所はないのか」といった話であったため悩んだそうです。しかし、「一人でも二人でもいいじゃないか、やってみよう!」という言葉に背中を押され、実行を決意しました。

 

○たこ焼きキャンプ。

  • 「たこ焼きキャンプ」の動画

  • 「たこ焼きキャンプ」パンフレット表紙

 今年で8回目となった「たこ焼きキャンプ」。放射能の影響によって外で遊ぶことのできない子どもたちが2週間のキャンプを通し、兵庫県の自然の中で思う存分あそびます。参加した子ども達の感想には印象に残ったこととして「海で釣りをしたこと」「バーベキュー」「夏祭り」「スタッフさんが遊んでくれた」などの、輝かしい思い出がつづられていました。また保護者から寄せられたメッセージでは、たこ焼きキャンプへの感謝と子どもへの穏やかな愛がこめられていました。放射能への不安が大きい分、親は子どもが明るく元気に過ごすことを何よりも願っている事が伝わってきました。

「明石で遊ぼう!たこ焼きキャンプHP」〈 https://takocamp.exblog.jp/ 〉

 

○人とのつながり。

小野さんの取り組む「たこ焼きキャンプ」では自然の中で過ごし心身の疲労を癒す以上に、「人とのつながり」の尊さを感じました。兵庫県のひとが、福島県からやってくる子どもたちに何かしたいという想いから小さな「夏祭り」に発展したこと。第1回目のキャンプが終わり、帰りの新幹線で子ども達が「もう会えない」と泣いていたこと、そのことから福島市にて「同窓会」が行われたこと。全てが一度につながったのではありません。小さな声がひとつひとつ丁寧に紡がれた結果だと思いました。

その一方、今でも福島県には課題が残ります。放射線量はこれからあまり下がっていかないことや、初期被ばく者の健康への影響はこの先も不安とともにあります。それらを踏まえて「原発事故は、人のつながりも切り裂く」という話がありました。「農民を大地から、漁民を海から、人々を故郷から、子どもたちを自然から切り離す」。今でも多くの避難者が故郷に帰れずにいることや、賠償格差からくる人々の分断。それによって起こる「語り合えない現状」。震災から8年がたとうとしている今でも、変わらない現状と深刻化されていく問題が残ります。

 

○これからも「種をまき続ける」。

「私たちにできることってなんでしょうか…?」この私の問に、小野さんは「忘れないでいてほしい」と答えてくださいました。可能であれば復興の進んでいるところや、除染された土がある場所などを実際に訪れて見ることで「風化させない」「気にかける」ことにつなげてほしいと。自身の生活とともに福島県との「繋がり」を感じることが大切であると気づかされました。

「放射能だけではなく、様々な環境・社会問題が解決困難な中で、「それでも種をまき続ける」営みとして、たこ焼きキャンプや福島と関わる活動を続けていきたいと、思っています。」

 セミナー最後のスライドに書かれていた言葉です。「たこ焼きキャンプ」に来た子ども達が、またその親が「他県にも自分達を気にかけてくれる人達がたくさんいる」という事を知り、日々の光になることを願います。事故の収束の見通しが立たず不安な状況にある中で、参加者の声から「たこ焼きキャンプ」の存在が救いになっていることが伝わってきました。子ども達の笑顔が大人の活力になり、またその大人が行動を起こし、子どもたちも笑顔になる。そんな連鎖を起こし続けてほしいです。(学生ライター関口)

  • 受講者の皆さまと。中央が小野洋さん。

【神戸ソーシャルセミナーwithボールドヘッド(2018.10.24)】

「不平等をなくす」─女性と髪、生きるを考える
神戸ソーシャルセミナー、「不平等をなくす」。第3回目はヒロセアキコさんにおこしいただき、自身の意思に反して髪を失った女性とその生き方についてお話して頂きました。

  • ヒロセアキコさん

もし自分が、大切なひとが、ある日病気を宣告されたらあなたはどうしますか?その病によって髪を失う事となったら、どう向き合っていけば良いのでしょう。今回は病によって髪を失うこととなった女性のお話を中心にしていただきました。

 

○ヒロセさんについて。

ヒロセアキコさん。笑顔の素敵な女性です。『汎発型全身性脱毛症』を平成26年6月に発症、それからわずか半年で全身の体毛を失いました。発症当時は受け入れがたい現実に塞ぎこんでしまったそうです。しかし「マイナスな気持ちばかりでは進めない」と決心し、同じ症状の方の書くブログや、動画サイトでヘアターバンなどのアレンジを楽しみ自分の強みにしている女性などを真似て、一歩ずつ前へ踏み出しました。

 

○過ごしやすい環境。

昨年ニューヨーク国連本部のNGO団体が主催するイベントに、仲間と共に参加したというヒロセさん。ニューヨークに行き一番感じたのは奇異な目を向けられないことへの安心感。女性も男性も、髪のないスタイルは「ボールドヘッド」と呼ばれ見慣れた光景であるのです。自分の意に反して注目されない世の中に心地良さを感じたといいます。

日本はムラ社会と言われ、海外ほど多文化ではないこともあり多数派と違ったカタチを隠蔽または排除しようとする力が生まれやすい環境にあります。SNSなどのおかげで昔よりは少なくなっていますが、なかなか落とし込めない現状もあります。まだ日本では多くの人が女性の髪がないことを珍しく感じ、好奇の目を向けてしまいます。脱毛に対して前向きな姿勢のヒロセさんでも、街中へヘアターバンなしで向かうことにはかなりの勇気が必要とおしゃっていました。

 

○ゆにこAF!

脱毛に関するコミュニティが関西に乏しいことから、関西を拠点に新しいチームをつくりました。患者会の中で癒された当事者の「自分も何か行動したい!」といったステップアップの橋渡しをしていけたらと、4人で活動しはじめています。チーム名は「unique+original.AF」愛称は「ゆにこAF」。整備されていない情報を公式にまとめられるサイトなどを作成し、少しでも多くの人が励まし励まされる、そんな場所を目指します。

 

○生きるを伝える。

「生きるを伝える写真展」。乳がんを告知されたひとりの女性が、「今のありのままの姿を残しておきたい」とプロのカメラマンさんに写真を撮ってもらいました。そして同時に、同じような状況にいる女性も多くの人に知ってもらいたいと思ったそうです。女性の名前は高橋絵麻さん。このプロジェクトの発起人です。写真の女性たちはみな笑顔です。壮絶な闘病生活。それでも生きる希望は見失わない。同じ状況にある人も、当事者ではない人も、前向きに生きていく力が湧いてくる写真ばかりです。

2018年10月24日~27日の4日間、「協働と参画のプラットホーム」でもミニ写真展を行いました。私自身もみさせていただきましたが、一人ひとり違った表情をしていました。それは、それぞれが越えてきたものや守ってきたものの違いからだと感じます。内からあふれるエネルギーが伝わってくる方、照れたようにはにかむ方。家族で頬を寄せ合う写真には、寄り添い、分かち合うあたたかさを感じました。

  • 当事者の実際の声「生きるってなんだろう」「淋しいなら淋しいって言っていい」

「生きるを伝える写真展」公式サイト〈https://ikiru-syashinten.jimdofree.com/

  • 素敵な動画も見ることができます。中央はヒロセさん!

 

○自分の気持ちを大切に。

  • 百円均一のアクセサリーなど、取り入れやすいスタイルをしているそうです。

 

「髪は女の命」という言葉も存在するくらいです。本人へのダメージは計り知れません。私の友人は高校の時、過度なストレスによって円形脱毛症となりました。ヒロセさんが「『あなたに何がわかるの?』と思ってしまう」と語った時、確かに病気でもなく髪もある私には何もわからず、ただどう接するべきか探っていた当時の事が思い出されました。

当事者の声に「カミングアウトを進めたいわけじゃない」というものがあります。自分の気持ちに正直であってよいのです。ウィッグをしている自分も、髪がない自分も、両方大切な「ありのままの自分」です。また、周りのひとは本人の準備が整うまで見守ることがよいと教えていただきました。無理にカミングアウトを強いるより、認め理解する姿勢を整えることの方が重要です。

 

○大切にしたいもの。

人は誰しも、見た目も考え方も変わっていきます。今まで一緒に歩いていた人とのペースが合わなくなることもよくあります。病気のこと、髪のことを告白したら突然距離をとられてしまった。そんな事もあるのだと思います。それはとても辛く、どうしようもなく痛いことだろうと想像できます。そんな中どうか自分だけでも、自身を肯定し続けてほしいと願わずにはいられません。前は向けなくても、歩き続けていたらきっと晴れる日が訪れるのだと思います。

ヒロセさんを含め病気を発症した方々、その家族、友人、最愛の人。多くの闘病のカタチがあると思います。鍵は寄り添うこと、ありのままでいること。無理に支えようとすると「母親」「友人」「娘」「恋人」といった大切なものを失い、「病人」のみに変えてしまう可能性もあります。お互いの気持ちを尊重しあい、心地よくすごせる関係を築き、またそのあたたかな輪を広げていってほしいと思います。(学生ライター関口)

【神戸ソーシャルセミナーwithしょうがい者(2018.10.17)】

「不平等をなくす」─福祉とまちづくり─

神戸ショーシャルセミナー、10月のテーマは「不平等をなくす」。第2回目の今回は福祉・アート系NPO法人「月と風と」の代表、清田仁之さんにお話しをしていただきました。

  • 清田仁之さん

 「障害者って不便はあるけど不幸じゃない」。その不便は周りのサポートで解消できる。そんな信念のもと2006年11月、「月と風と」は設立されました。誰かの力を借りつつも道を照らす月は障がい者をイメージし、風は街に流れる音楽をイメージしています。「地域一体となったまちづくりを」そんな想いがこめられています。

 

○スタッフは9人まで。

月と風とのスタッフは現在6人で活動しています。それは清田さん自身が大きな組織にいたときの「制限の多さ」からくる息苦しさを解消するためです。スタッフの気持ちや意見などにしっかりと耳を傾け話し合える環境を大切にしています。

 

○「全員を」という事が必ず平等とは限らない。

「みんなは助けられない」「自分たちが大切にできる範囲での活動を」清田さんが守っていることです。平等とは一体何であるのでしょうか、「同じ状況下に泣く人と笑う人がいる」そんな定義も付けられます。ひとには限界があり、それを見誤ると自身の本当にしたいことや目標さえも見失ってしまします。見失った意思は不平等を生み出しかねません。あくまで、自分たちで協力し合い、目の前の人を大切にする。「選択すること」は平等への第一歩であるのです。

 

○ミーツ・ザ・福祉

尼崎市には「提案型事業委託制度」というものがあります。行政が抱える事業を、希望があれば民間に委託するというものです。そこに「月と風と」が提案し、2017年「ミーツ・ザ・福祉」というイベントを開催しました。(左図は2018年度版ポスター)

従来、福祉のイベントというのは運営も来るひとも福祉関係といった場合が多いです。しかしこのイベントでは「福祉に出会うきっかけを」をコンセプトに「障害がある人もない人もそれぞれの違いを受け止め活かす」そんな場を目指して開催しています。

『ミーツ・ザ・福祉2018』公式サイト〈http://meetsthefukushi.strikingly.com/

 

○アートと福祉。

「障がいがあってもなくても同じ人間」という視点から、芸術を通すと「この発想は自分にはできない!」といったような逆転が起こせるため、福祉にアートを取り入れたといいます。プロジェクト「月イチ現代美術館」は自己の世界を自由に発表できる場です。ルールはひとつ、「必ずほめる」ということ。また発表された作品を集め汎用性の高い布を作成しチャリティー販売もしています。

  • 作品をコラージュしたグッズ。右は国民的アイドルの…?

  • 実際に着用してくださいました!

○明日が来るのが楽しいと思えるまちを一緒に。

月と風とのある尼崎市園田。米ポートランドのようにものを大切にし、ノースカロライナのように知的障害の方にも生活しやすいサインが日常にあふれている。そしてバークレーと同じくらいバリアフリーな街を目指す。それが「福祉のまち園田プロジェクト」です。そういった地域をつくれば、障がいを持ったひともいきいきと暮らせるのではないか。月と風とを拠点に、自分たちの声がゆき届く範囲内での活動を心がけています。

 

○月と風と、みなさんと。

その他にも「おふろプロジェクト」など障がい者と地域の人との交流を重視している「月と風と」。では障害を持っていない人は障がいがある人と対面した際、どのような対応をするべきでしょうか。

大切なのは「相手を知ろうとすること」。私は過去に知的障害の子に対し、過度に優しく接していた事があります。友人に「なんで○○君にだけ優しくするの?」と聞かれ、困ってしまったのを覚えています。今思えば「障がい者だから」という理由で優しくしていた(差をつけていた)ことがよくわかります。そうでなければしっかり説明できたはずです。

障がいという言葉で頭ごなしに判断するのではなく、話を聞き相手の得意不得意を受けとめ、自分にできることがあればカバーする。それがお互いに気持ちよく過ごす鍵となります。まずは受け入れる態勢を整える。それだけで状況は大きく変わります。「月と風と」は「障がいを持った人」ではなく「○○さん」と目の前の相手を見つめることを促します。地域の人全員が対等にいられる、そんなまちづくりを実現しているのです。(学生ライター関口)

【神戸ソーシャルセミナーwithフリースクール(2018.10.10)】

「不平等をなくす」─フリースクールの視点から─

神戸ソーシャルセミナー、今月のテーマは「差別をなくす」。第一回目はNPO法人フリースクールみなも理事長の今川将征さんからお話を聞きました。大学卒業後一年足らずでフリースクールを立ち上げたという今川さんに「フリースクール」という教育のあり方について教えて頂きました。

「フリースクールみなも」今川将征さん

───フリースクールとは?
現在日本にあるフリースクール全てで共通しているのは「不登校の子どもが来ている」という事のみです。どういったコンセプトで、どのような事をしているかはそれぞれ異なり、多くは「安心して過ごせる居場所」をキーワードに教育の場を提供しています。一方で「学校へ戻る」ことを最終目標にしている団体や、学習塾をベースに、不登校の子どもの学習サポートのみをおこなっているところもあります。現段階で「フリースクール」を定義づけるものは無く、様々な形のものが存在しています。

───フリースクールみなもの活動。
先ほど述べたようにフリースクールに決まった形はありません。今川さんが運営するフリースクールみなもは2004年に設立されました。不登校の子どもたちに有用だと考え、かつ自分たちができる事はなんでもおこなっていく。「多方面から総合的に」をコンセプトに子供たちを支援しています。強制されるものは一切なく子供たちの気持ちを最優先に考え、ひとりひとりのニーズに合わせた場を提供しています。また、「親カフェ」といった不登校の子どもを持った親同士が交流できる場もつくり、子どもだけではなく親の不安も共有し緩和する取り組みもおこなっています。


セミナーの様子

───「学校を選ぶ」という事、それにともなう課題。
現在の日本の法律で普通教育を受けられる場として認められているのは「学校」のみです。これは学校以外の民間の学びの場に通う子どもが、「不登校」として扱われる事を意味します。「人間関係に悩み学校に行きづらい」、「学校のカリキュラムではない別のコンセプトで学びたい」等のいかなる理由であっても、「学校に通わなければ不登校」という事になります。ここで子どもたちの意に反した不平等が生まれているのが現状です。

──学校に行けなくても大丈夫。
今回今川さんにお話しして頂いた「フリースクール」。学校以外にも「安心して過ごせる居場所」は存在する。その事実は「学校」という場に翻弄される子どもたちにとっての光になります。外の世界には多くの選択肢があるという事を知ってもらうだけでも子どもは「安心感」を得る事ができ、自分が呼吸しやすい環境へと身を置く事に繋がります。

セミナー参加者の感想より

今大人が子どもにできる事はなにか。「自由って安心できそうで、安心できない。」いくら自由にしていいと言われても、発達段階の子どもにとって漠然とした自由は不安な面もあると思います。子どもと接する大人に求められているのは「将来のために」と強要するのではなく、ひとりひとりの声に耳を傾け「道はひとつではない」と伝える事、本人の意思を尊重し許容することだと考えます。目まぐるしく変化する時代と並行して、教育の形も一層自由に、子どもたちにとってより心地よい環境を整えて欲しいです。(神戸学生ライター 関口 )

【神戸ソーシャルセミナーwithパナソニック(2018.9.26)】

第4回目のゲストは、パナソニック株式会社から奥田さんにご登壇いただきました。
奥田さんには、大きな企業が、貧困など社会的な課題に対してどのように関わりをもっているのかを「SDGs(=持続可能な開発目標)」という考え方を軸に、お話ししていただきました。

SDGsでは、17のゴールがあり、その1つが「貧困」ですが、いくらそこにお金を投入しても、持続可能な社会をつくらないと元に戻ってしまう。例えば貧困の課題を解決するためには、まず質の高い教育を子どもたちが受けられるようにすることで、社会が良くなり、中・長期的に貧困の撲滅へつながるということが考えられるということに触れられ、17のゴールをひとつづつやるというよりも、いくつかのゴールが関係しあっていると考えることで、社会の理解が進むのではないだろうか、というお話しがありました。

そして、奥田さんが関わるインドネシアやミャンマーの無電化村における「ソーラーランタンプロジェクト」についてお話いただきました。
電気のない地域に”あかり”を届けることで、教育、医療、経済、安全などの課題の解決に貢献することを目指して、2013年から10万台以上のソーラーランタンを寄贈してきたどうプロジェクトでは、それぞれの地域で活動するNPOやNGOと協働することで、寄贈されたランタンがぞんざいに扱われないようにするとともに、現地からのフィードバックをもらえるような体制をつくり、結果現地のニーズに合わせて改良を重ねていったそうです。象徴的な改良点としては、フィードバックをもとに持ち手を波型にしたことで、これにより、壁の釘や天井のヒモにつるしても安定するようになったというお話がありました。

こうしたライトがあることで、夜間の作業が進み、収入が増え、女性の副業を支援することができたほか、従来光源としてもちいられていた灯油ランプを使わなくなったことで、灯油から出るススが減り、結果呼吸器疾患を4割も減らすことにも貢献したり、学習の時間(機会)が増えたことで、進級テストの合格率も 6割から10割へと改善することができたそうです。
そして、光源の確保は医療にも影響し、夜間の手術や出産の安全にも貢献し2,434人の誕生に関わったという報告もあるそうです。
これらをSDGsに置き換えると、7.エネルギーに関わることで、3.健康福祉や4.教育、そして5.ジェンダーへとインパクトを与え、最終的に、1.貧困のゴールを目指すといった繋がりがみえてくるといったことをお話いただきました。

今回のお話ではNPO/NGOと協働することで、これまで接することのできなかった消費者のニーズを汲んだマーケティングや商品開発の可能性を垣間見ることもできました。

 

 

≪今回のゲスト≫

パナソニック株式会社

奥田 晴久さん

【神戸ソーシャルセミナーwith社協&ガールズシェルター(2018.9.19)】

9月第3回目のゲストは、神戸市社会福祉協議会(神戸市社協)の玉置さんと、ホザナハウスの森さんにご登壇いただきました。

まず、玉置さんからは、ご自身が社会福祉協議会に入職するきかっけや、そもそも社協って?というところからお話しいただきました。

社協の活動の中でも、高齢者、とりわけ認知症の方の問題や引きこもりの方、また非正規労働者で不安定な生活をされている方や生活保護世帯、そして不登校など、様々な生活課題などが複雑に絡み合っているところへ、社会福祉協議会が媒介者となり、地域や専門家、自治会の人が顔を合わせ、信頼関係を構築しながら、解決に向かう流れを作るといったことに玉木さんは力を注がれておられました。東灘区では、「縁側プロジェクト」として、だれもが集える居場所作りの支援を通じて、一人ひとりを支えていくといたことや、赤い羽根共同募金の仕組みを使い、公募型の助成制度を設け、地域の子ども食堂(第2回のゲスト:NPO法人ケアットさんが運営)の立ち上げ支援を行なっているといったこともお話しいただきました。

また、社協の強みは、民生委員や婦人会など、地域の活動者との繋がりが密にあることで、困っている人に気づいた関係者から、直接社協へとつなげていただけること、そして社協が区役所内にあることから職員が、行政の各部署と連携を取りやすいという点がある一方で、HP(ラブ・リング こうべ)Facebook情報誌(きずなKOBE/年2回程度発行)があるものの、情報発信力がまだまだ弱いこと、そして事業の8割が神戸市からの委託金、補助金であることから、用途が決まっており、自主財源で自由に動くことができないこと、さらに企業やNPOとの連携に課題があるといったことをお話しくださいました。

次にホザナハウスの森さんからは、少年院を出た少年・少女たちに関するお話をしていただきました。

帰る場所のない少年・少女は、ひとたび少年院に入ると、引受先がない限り(DVなどにより家庭に帰れない(帰りたくない)場合もある)少年院から出られないため、施設を置いて受け入れをしているが、ホザナ・ハウスの活動です。

日本社会では、被害者支援はできるものの、いわゆる「加害者」には自己責任を問う風潮があり、行政の支援はもちろん、寄付集めなどに苦労が絶えず、運営は厳しいそうです。
森さんは、実際に関わりをもちシェルターで受け入れされた少年・少女の事例をいくつか話しながら、少年院に入った子どもたちは、はたして加害者なのだろうかと会場に問いかけられました。

ちなみにホザナ・ハウスでは、少年・少女に対してダメと言わないそうです。またハウスにはルールもないそうです。
それは子ども達が、過去の辛い経験から大人は自分の言い訳も聞いてくれないと、完全に大人不信の状態で来るためだそうです。
その大人不振を解消させるために、ハウスでは洗濯も、掃除も、片付けも何もさせず(ときどきアカンと言うことはありますが)、100%甘やかすそうです。

彼らの多くは甘えた経験がありません。そうすることでだんだん心開いてくれるそうです。
ダメがないから反発する必要がなく、ルールがないから嘘をつかなくても済む。
そしていい子になり、自立の意識を持つようになるそうです。
しかし、ダメがない、ルールがないということは、消灯も門限もなく、支援者側に、休みなく24時間体制で寄り添う必要あることを意味します。
そのため、ハウスは、慢性的な資金不足と人材不足の状態にあるそうです。

環境が合わず、でもそれにあわせようとしてはみ出た子は、少年院を出ても行きづらさ変わらない一方で、成人教育は別であり、少年院では少年教育で完結、という仕組みも影響し、再犯してしまうケースが多い。
公的支援は機能していない、世間の理解もない中、施設として就労支援を行いながら、彼らの生きづらさを解消していきたいということをお話しくださいました。

※この次の日から三宮コンベンションセンターにて、困難を抱える少女たちが
搾取や暴力に行き着かなくてよい社会を目指す一般社団法人Colaboによるパネル展「私たちは『買われた』展」を主催されました。

≪今回のゲスト≫

神戸市社会福祉協議会

玉置 和美さん

 

NPO法人ホザナ・ハウス

森 康彦さん

【神戸ソーシャルセミナーwithケアット(2018.9.12)】

第2回目のゲストは、神戸市東灘区で児童や高齢者のデイサービスなどに取り組むNPO法人ケアットの岡本さんにご登壇いただきました。

法人として様々な事業に取り組み、現在7か所で9つの事業所を切り盛りする一方で、地域を大切に考え、事業所の一回にコミュニティカフェを設けておられます。今回はそのカフェで、実践されているつながり食堂(子ども食堂)について、9月のテーマ「貧困」の面からお話しいただきました。

子ども食堂では、ビュッフェ形式にすることで、食べられる量をよそう経験や、マナーを考えるきっかけをつくり、人と食事を共にすることで、自然といただきますを言えるようにしているというお話がありました。

つながり食堂では、大人600円、子ども300円の代金をもらって、運営をされていますが、生活保護世帯や母子家庭のかたからの申し出があれば、無料で食事を提供しており、その数は利用者の6,7割のぼるとのことでした。

岡本さんが子ども食堂の取り組みを通じて感じたことの一つに、食堂に来る子どもたちの多くが「体験」や「関係」の貧しさの中にいるということがあるそうです。

例えば、子どもたちの一番身近な大人=親が、働けない事情があったり、生活保護を受けいたりする子どもは、大人とはそういうものだというイメージしかなく、自分も大きくなったらそうなるとしか想像できない。そのイメージを、つながり食堂でご飯を食べることを通して、食事とはお箸やスプーン、お皿を使ってとるものだ、テーブルで食べるものなのだという経験をしたり、家族以外の大人と出会い関係性を学ぶことができたりするのではないかというお話がありました。

スタッフやボランティアの大人たちと食事をするなかで、過去には、ふと「布団で寝る経験が修学旅行で初めてだった。」と言ったこどももいたそうです。

≪今回のゲスト≫

NPO法人ケアット

岡本 芳江 さん

【神戸ソーシャルセミナーwithビッグイシュー(2018.9.5)】

9月より毎週水曜日に開催する「神戸ソーシャルセミナー」。こちら、毎月1つのテーマを設けて、様々な分野で活動されている方にご登壇いただき、お話を伺います。

今月のテーマは「みんなで貧困を乗り越える」

第1回目のゲストはだれもが一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。350円で社会を変える、雑誌「ビッグイシュー」を出版、販売されている有限会社ビッグイシュー日本の吉田さんにご登壇いただきました。

ビッグイシューの雑誌販売だけではなく、街歩きやスポーツ大会など様々な活動のお話から、なぜ一度家を失うとそこから抜け出すことが難しいのか。そして「ホームレス」とは「状態」であり、「人格」ではないといったお話など、立ち上げ期からかかわっておられた吉田さんからご紹介いただきました。

 

後半は、普段三宮の駅前に立ちビッグイシューを販売されている方にもご登壇いただき、その半生から、ビッグイシューを販売しての思いなどをお聞きしました。

最後はビッグイシューのバックナンバーをご紹介。

気にはなっていたけれどもまだ読んだことがない、、そんな方は協働と参画のプラットホームでもバックナンバーを見ることができるようになりましたので、お越しになられた際はおこえがけください。

≪今回のゲスト≫

有限会社ビッグイシュー日本

吉田耕一さん、三宮・販売者さん