【神戸ソーシャルセミナーwith環境経営(2018.12.26)】

「つくる責任 つかう責任」─環境経営─

 神戸ソーシャルセミナー12月のテーマは「つくる責任 つかう責任」。第三回目は神戸大学大学院経営学研究科・神戸大学経営学部の國部克彦先生をお招きし、環境と企業活動の関わりについて教えていただきました。

○CSRとSDGs

 CSR(Corporate Social Responsibility)「企業的責任」は人権を守る、環境を破壊しない、地域社会に貢献するといった、組織に社会への影響を考慮した上での活動を促すもので、2000年にEUが政策的に採用したものが始まりだそうです。その課題は多く、中でもSCP(Sustainable Consumption and Production)「持続可能な生産と消費」を今の経済構造のなかで行うのはほぼ不可能だといいます。利益を求める組織が「必要な分だけ買う」ことを推奨するはずがないからです。

 そこに2015年、SDGsが採択されます。CSRとSCPも含まれたものです。これによって対象や目標は明確化され、CSRで生じていた「企業の社会的責任に関する活動は、会社の利益が出た部分から取り組むもの」という意識は緩和されつつあるそうです。「企業活動」と「環境保全」をいかに両立させ、持続可能な社会を築けるかが問われる時代になっています。「SDGs」と「企業」の関わり方で大切なのは一点を深堀することだといいます。17つの項目は全て「課題である」ということを念頭におき、マネジメントそのものを考えてゆく重要性をおっしゃっていました。

○環境からみる経済。

 環境の視点でのロスは「廃棄されるもの」ですが、経済の視点では「売れていないもの」となります。この差異を埋めるためにも「環境と経済の同軸化」が必要だといいます。マテリアルフローコスト会計(MFCA)はそのための主要手段だそうです。

 セミナーではキャノンでの導入事例を挙げて説明してくださいました。この計算方法は「材料」に注目した原価管理を目的としたもので、加工する前の「原材料費+加工費」から「廃棄物」の値段を割り出す手段です。これによって経済的な面で「ゼロ円」とされていた廃棄物に環境的ロスとしての金額評価が行われ、どのくらいの無駄があるのか可視化する事が可能だといいます。

更にこの「ロスの金額」は「3R」の中でも「Rduce」に注目することにつながります。生産プロセスへの投入(原材料など)をいかに減らしていくか、問題を根本的なところから解決するきっかけになるといいます。しかし他二つ「Reuse」「Recycle」に比べて企業の本業に影響を与えるため難しい部分があり、策を考えてゆく必要もあるそうです。

○企業とSDGs

『SDG Compass』とは企業に向けられたSDGsの行動指針です。「SDGsを理解する」「目標を設定する」「経営へ結合する」など全部で5つのステップからなります。それぞれ細かく内容が書かれていますが、このSDGコンパスでは利益やコストなど会計的に具体的な企業活動にどう落とし込むかについては触れられていないといいます。そこでコンパスの内容にプラスして「マテリアルフローコスト計算」のようなコストや利益の情報を取り入れ、SDGコンパスをより具体的なものにしていくことが重要であるとおっしゃっていました。

○いち学生の所感。

 今回のお話を聞いて「ロス」が環境面と経済面で異なるという話が印象に残りました。前回のセミナーで「食品ロス」の話を聞いたばかりだったこともあり、食品ロスも経済面から言えばロスにならないという点に関心を持ちました。私の経済についての知識は高校の授業での「政経」くらいだったのですが、授業で学んでいたような「利益を追求する」という面だけではなく、「環境保護」からみる経済もあるのだという新しい側面を知ることができ勉強になりました。今回初めて経済について面白いと感じ、「経済は難しいもの」という偏見が自分の中にあったことに気づきました。「知ろうとすること」がいかに大切か再確認しました。(学生ライター関口)

【神戸ソーシャルセミナーwith食品ロス(2018.12.19)】

「つくる責任 つかう責任」─食品ロス─

 神戸ソーシャルセミナー12月のテーマは「つくる責任 つかう責任」。第二回目は循環経済学を専門とされ、NPO法人ごみじゃぱんの代表も務める神戸大学大学院経済学研究科の石川雅紀先生にお越しいただき「食品ロス問題」についてお話していただきました。

○NPO法人ごみじゃぱんの活動

 NPO法人ごみじゃぱんは2006年に創立されました。食品ロスの問題を扱う前は「包装」の廃棄を減らそうと、現在でも続いている活動「減装(へらそう)ショッピング」をメインに行ってきました。また「企業で新商品が出たことにより廃棄されてしまう旧製品」に新たな価値をつけて販売する「リバリュー」という活動も行っていたそうです。

『NPO法人ごみじゃぱん』〈 https://gomi-jp.jimdo.com/ 〉

○食品ロスについて

 食品ロスとは「本来食べることができた食品が廃棄されること」を意味します。世界での食品ロスは全体の3分の1とされ、その内訳は先進国では「消費段階」、途上国では「生産段階」が著しいといいます。何故そのようなことが起こるのか説明してくださいました。

○食品ロスの原因

 途上国の食品ロス「ポストハーベスト・ロス」について。直訳すると「収穫後のロス」となります。これは途上国で「段ボールやプラスチック容器などが供給されない」「収穫したものを保管しておく倉庫がない」ということから起こるそうです。せっかく収穫したものも輸送状態や保存環境の悪さからすぐに傷んでしまい、廃棄せざるを得なくなります。対して先進国の食品ロスは「デマンドドリブン・ロス」と呼ばれ、売れ残りや返品、食べ残しなど消費段階でおこるロスが問題視されています。

○先進国と食品ロス

 日本での食品ロスは世界の食料援助量を上回っているといいます。日本のエンゲル係数が13%なのに対し、途上国のある国では約59%。収入のほとんどを食に費やす「生きるため」の食料を捨てるということはまずありえません。しかし日本を含めた先進国ではものの値段も安く、途上国に比べれば食品に対して「貴重なもの」という意識は低い傾向にあります。これが「消費段階」でのロスが多い原因のひとつになっているそうです。

○日本における食品販売

 お店での売れ残り商品の廃棄も「消費段階」でのロスに深刻な影響を与えているといいます。日本では「3分の1ルール」「3分の2残し」という、納品の際製造日から3分の1を過ぎたら商品を受けとらない、販売期限は賞味期限の3分の2の時点までというものがあります。農林水産省がこの3分の1を2分の1に変更したらどのような影響がおこるのか調査したところ、「返品は減る」という結果になったといいます。しかし現状は変わらず、それどころか「賞味期限を延ばす」という策が広がっているといいます。根本的な問題は今も変わっていません。

○フードドライブ

 「フードドライブ」とは家で余っている食品を持ちより、それらを必要としている人々に寄付する取組です。食品廃棄の削減だけではなく誰かを支援することにもつながる活動となっています。石川先生はこれから進めるべき取組であるとおっしゃっていました。しかし「消費者は匿名で責任を果たすことが困難」「関係者が多く複雑化される」など課題も多く、解決策が必要とされています。

  • 小学生から社会人まで幅広い年齢の方におこし頂きました!

○食品ロスは世帯によって異なる

 食品ロスにおいて「手つかず食品」の割合が高い世帯は大家族だといいます。一度に多くの食品を買う傾向にあるため在庫の管理がおろそかになり、賞味期限を切らしてしまう傾向にあります。賞味期限が長いものを買う傾向にある人も手つかず食品のロスが多く、在庫管理の重要性をおっしゃっていました。また、売られているお惣菜の量が多すぎたり、一人暮らしではなかった時の量を作ってしまうなどの理由から「食べ残し」は高齢者のひとり暮らしに多いそうです。

このようにそれぞれの世帯によって食品ロスの傾向は異なります。まずは自身の「食品廃棄」の傾向を理解していることが大切です。現在では神戸市とNPO法人ごみじゃぱんが共同となって「食品ロスダイアリ―」という食品ロスを管理するためのアプリもつくられています。

『食品ロスダイアリー』〈 https://gomi-jp-foodloss.com/ 〉

○いち学生の所感。

 今回生活する上でどのくらい自分が食品を廃棄しているのか考えさせられました。例えば野菜の切り落とした部分や外で飲み切れなかったコーヒーなど、もったいないとは思いつつ「自分が捨てる量なんて限られている」と思っていました。しかしそれも長い期間で考えれば大きな数字になりますし、何よりも事前に防げることであるということを認識しました。食品を取り込むことにばかりに気をとられ、その後のことはあまり深く考えていなかったように思います。今回石川先生から食品に対する「別角度の視点」を教わりました。それは本来別の角度などではなく、当たり前に考えなければいけなかったことであるのですが、私にとって「食品ロス」の話題は新鮮でありました。消費行動は「自身以外への影響」にも目を向ける必要があると気づかされ、「生活と食品」「私自身と食」について改めて考えなおすきっかけとなりました。(学生ライター関口)

【神戸ソーシャルセミナーwithフェアトレード(2018.12.12)】

「つくる責任 つかう責任」─フェアトレード─

 神戸ソーシャルセミナー12月のテーマは「つくる責任 つかう責任」第一回目の今回はフェアトレードに力を入れる現役大学生、高松秀徒さんをお招きしフェアトレードの現状や課題などについて教えていただきました。

○高松秀徒さんについて。

 高松さんは現在神戸大学 国際人間科学部 環境共生学科で学業に励むかたわら、神戸大学NGO「PEPUP」に所属しフェアトレードの活動にも力をいれています。

 「Fairで連想するものはなんですか?」そんな問いかけから始まった今回、参加者と積極的に意見交換をおこないながらの一時間半となりました。

○フェアトレードとは?

 フェアトレードとは「公正」を一番に考える貿易のことです。受けてきた教育や経済格差などから生じる能力の差、国際的にみた国の状況や生産力の差などがあるにも関わらず、同じ資本主義の世界で競争させられることは「公正」とはいえません。その「アンフェア」を考えていくのがフェアトレードの意義であり、一番の目的だといいます。

○なぜ「フェアトレード」を行う必要があるのか。

 世界的にも有名な大企業に雇われているひとたちを例にあげて説明してくださいました。フィリピンで企業への輸出のために栽培されているパイナップル。そこで働くひとびとは「farmer」ではなく賃金労働者を意味する「worker」とよばれているそうです。育てた果物をお金にしているわけではなく、あくまで「労働力」をお金に変えているのです。この「雇い雇われる」ことによって資本主義的関係が形式上は成り立っています。しかしプランテーションで働く労働者は一日約250円という現地でハンバーガーひとつ買えるかどうかの賃金で働き、基本的人権としての生活ができない状況にあるといいます。生きてゆくための労働に「人間らしさ」を奪われていては意味がありません。

○PEPUP活動。

 次に大企業における労働のアンフェアに対し、PEPUPのパートナー団体でのパイナップルを事例に考えていきました。大企業の行っているものとは根本的な考え方が異なる点がポイントとなるそうです。資本主義社会における上下関係ではなく、対等に取引をする。生産者に支払われる賃金の改善や、対話を通じた取引をこころがけるため生産者に「選択する機会」が増えるのだといいます。

 また、フェアトレードにおける10原則には「経済的弱者である生産者に機会を与える」にはじまり、「環境保全」や「ジェンダー平等」などもあります。高松さんはこの原則には広義にとらえればSDGs17の目標すべてが含まれているとおっしゃっていました。

○フェアトレードにおける矛盾。

 各商品、または認証を受けた団体にはフェアトレードの原則を守っている証拠としてラベルが貼られています。このラベルを受け取るためにはWFTO(World Fair Trade Organization)の監査が必要です。しかし、このWFTOの監査にかかる費用はすべて生産者側の負担となるそうです。現地まで行く航空券、すべての生産者を訪れる費用、宿泊費。経済的に貧しい人々を救うはずの活動であるのに、このような巨額の負担を背負わせている現状があるといいます。

 このような問題から独自で現地共通のラベルの作成もおこなわれているそうです。コストはかかりません。しかし正式な監査を通していない商品にラベルをつけることは「何のためのラベルであるのか」という疑問も残ります。しかし消費者にとっては「フェアトレードを意味するもの」は必要であり、この件はかなり不透明で課題も残ります。

○平和とは?

 「戦争がない状態」を「平和」とすることは消極的平和とよばれています。戦争がなくとも暴力問題、女性差別、貧困などがある状態では社会的に「平和」とは言い切れないからです。日々の消費活動での商品が、ある種の「暴力」によって製造されていたら、またそれを知る可能性はどのくらいでしょうか。高松さんはフェアトレードの「フェア」は生産者に対してであるのか、消費者に対してであるのか「フェア」の範囲を考えていくが大切だといいます。「ラベルの乱立」問題のようにフェアとうたわれているものにも矛盾が生じていたりします。常に疑いの視点をもって、たくさんの選択肢を持ち消費活動を行っていくことが重要であるとおっしゃっていました。

 生産者と消費者の距離を近くすること。フェアトレードを通してお互いを考える状況が生まれることが理想であり、実際には会っていなくても「対話」のように「相手の立場になる」「気持ちを掬う」ということを行ってゆくことが平和への第一歩でもあり、消費者の目指すべきところだといいます。

  • 当日多くの学生が参加してくださいました!

○いち学生の所感。

 今回セミナーで「あなたの思う平和とはなんですか?」と問われた際、私はノートの端に「朝ふとんの中で目がさめること」と書きました。社会では日々多くのことが目まぐるしく変わっていて、喜ばしいできごともあれば、痛ましい事件もあります。自分が平凡な朝をむかえたとき、誰かはどうしようもなく悲しい夜をすごしているかもしれません。今回「すべてはできない、どれを掬うか。どこを見つめるか」ということを再確認しました。

「フェアトレード」を選び「消費活動」というものを通して、実際に見ることのできる範囲の向こう側へ思考を巡らせる。「選び」「見つめ」「考える」。平和という漠然としたものを身近にするために必要なことだと考えます。相手について考えることが自分の立場を明確にし、次にすべき行動を知るきっかけにもなると感じました。(学生ライター関口)

【神戸ソーシャルセミナーwithアーバンピクニック(2018.11.28)】

2018年11月28日 神戸ソーシャルセミナー

「持続可能なまちづくり」─空間とひとを結ぶ─

神戸ソーシャルセミナー11月のテーマは「持続可能なまちづくり」。第三回目はアーバンピクニック、神戸モトマチ大学代表村上豪英さんにお越しいただき、まちを皆でつくってゆくことの意義についてお話して頂きました。

  • セミナーの様子

 

○「神戸モトマチ大学」プロジェクトきっかけ。

阪神・淡路大震災当時、学生だったという村上さん。大切な神戸というまちが崩壊した状況で、自分に何ができるのか真剣に考えたといいます。しかしそれから年月は流れ東日本大震災のボランティアをしていた際「神戸はどのように復興したのか」という問いに上手く答えることができず、自身が行動へ移せていなかったことに衝撃を受けたそうです。そこから「人の輪を生み出す」プロジェクトとして神戸モトマチ大学を始めました。

 

○学びから人の輪を。

神戸モトマチ大学は元町から三宮間をキャンパスとして考え、学びを通して人との繋がりを広げていくプロジェクトです。生活や人を、まちを変えることに貢献している方に授業を行ってもらい先生と生徒の輪が広がり、神戸のまちを考えてアクションを起こす核へと育てば」(神戸モトマチ大学HPより)と願い活動を行っています。

 

○『所属』は広がらない。

神戸モトマチ大学では主に「遠くからつなぐ」「リピートを求めない」ということを大切にしているといいます。関わりのなかったひと同士をつなぐ。人間関係によって抑えられることなく自分に合った学びを追及してほしいという想いから「既存のコミュニティ」といった「内と外」がはっきりしたものをつくらず、新しい出会いの輪を自由に広げていける環境を重視しています。そのひとの意見と行動、眼差しから信頼を築き、協力しあえる関係を根づかせる。そんなきっかけの場になるようにとプロジェクトを続けています。

 

サイト『神戸モトマチ大学HP』〈http://kobemd.com/

 

○公園をアウトドアリビングへと育てる。

東遊園地は現在人が自然と集まるように設備されています。しかし少し前までは砂ぼこりの舞う土のグラウンドで、人が訪れること自体が少ない公園だったそうです。村上さんは「そういうもの」で完結されていた東遊園地に目をつけ、神戸のまちをより良くするために「URBAN PICNIC」という社会実験を提案し貢献します。はじめに土のグラウンドを芝生の地面へと変え、次に公園の中心には本棚とカフェを作りました。そうしたことで市民は東遊園地に惹かれ足を運ぶようになり、三宮の中心にある公園が市民の「目的地」へと発展していきました。

こうしたひとを巻き込み、発展させるためには「体験の共有」が重要になるといいます。同じものを体験することによりその「感覚」や「感性」を共有することができる。一人一人の意見は異なっていたとしても体験の共有から生まれた「つながり」が、その空間をより質の高いものにするそうです。

  • 動画『URBAN PICNIC-アーバンピクニック-』より。

「楽しみ方はいつも無限大」。

 

動画『URBAN PICNIC-アーバンピクニック-』〈https://youtu.be/mPh9A2AiZ24

サイト『URBAN PICNIC-AT EAST PARK,KOBE-』〈http://urbanpicnic.jp/

 

○「まちづくり」を自然と発生させる。

「公園を育てることに、どれだけ多くの市民が参加するか」。傍から見ているだけだったひとを参加者に変える。そこには相応の魅力が必要となります。その場に惹きつけられたひとが「主催者側にまわれること」を実感することも大切であるとおっしゃっていました。公園で本を読んでもらうための企画「アウトドアライブラリー」では立ち寄った方に本を寄付してもらうことで成り立っています。「一冊」を条件にそれぞれ想いのこもった本が集まるそうです。その他にも家で眠っていた楽器を自由に触らせてもらうイベントなど「場は自分達でもつくることができる」ということを知ってもらい、市民に率先して動いてもらうことが理想だといいます。

村上さんは神戸市に住まうひとの笑顔が広がる「居心地のよい空間」をつくることのできるように、「まち」と「ひと」の関係をしっかり推し量っていきたいとおっしゃっていました。

  • 協働と参画のプラットホーム!

 

○いち学生所感。

「既存コミュニティは広がらない」。過去に何度も感じたことのあるものが言語化された瞬間でした。対ひとだけでなく趣味や学びでもそのように感じます。どこかに所属しているということはそれだけで自身を説明できるものとなり、安心するかもしれません。しかしそのひとつの「所属場所」が自身の中で大きくなりすぎてしまうと、新しいものを取り入れることが困難になります。村上さんのおっしゃっていた必要以上に親密にならない、「友だちだから」という感情のない関係というのは、より鮮明で真っすぐな意見交換ができると想像できます。

「まちを良くするために、ひとを変える。ひとを変えるために、自分が変わる。」そのために積極的に自分をアップデートし、より多くの価値観に触れる必要があると感じました。「自分が変わるとまちも変えることができる」。まちづくりの根源にある重要なことを教えていただきました。(学生ライター関口)

【神戸ソーシャルセミナーwithユニバーサルビーチプロジェクト(2018.11.21)】

2018年11月21日 神戸ソーシャルセミナー

「持続可能なまちづくり」─神戸市のこれから─

神戸ソーシャルセミナー11月のテーマは「持続可能なまちづくり」。第二回目は神戸市役所、NPO法人須磨ユニバーサルビーチプロジェクト副理事長秋田大介さんにお越しいただき「持続可能なまちづくり」に関連して自身の活動していることや、神戸市のこれからについてお話しをしていただきました。

  • セミナーの様子① 当日は20人強の方が参加しました。

 

○秋田大介さんについて。

秋田さんは神戸市役所で働きながら、NPO法人で社会活動も行っています。神戸市役所では市の都市計画に力をいれており、学生の頃から培ってきた環境に対する理解と知識を都市計画へと結びつけ、より環境負荷のすくない過ごしやすいまちづくりに励んでいます。またNPOの活動として障がいのある方もない方も皆に海水浴を楽しんでもらう活動を行っています。型にはまらず向上心をもって活動する姿に触発された方も少なくないようです。

 

○市民として『できない』を『できた』へ。

秋田さんが行っているNPO活動は須磨のビーチを障がいを持った方でも安心して楽しめる、ユニバーサルデザインのビーチにしようという「須磨ユニバーサルビーチプロジェクト」というものです。車いすでも砂浜の上をとおり波打ち際まで行くことのできる「ビーチマット」や、水陸兼用車いす「ヒッポキャンプ」などを取り入れ「みんなの『できない』を『できた』に変える」を合言葉に活動しています。

 

『NPO法人須磨ユニバーサルビーチプロジェクトHP』

< https://peraichi.com/landing_pages/view/sumamap >

 

○まちを「持続可能」にしてゆくために。

「持続可能なまち」とはすべての人が基本的なサービスを受けることができ、環境や社会的弱者にも配慮され、皆が平等に安全に過ごすことのできるまちのことです。

 

  • 人口減・税収入減の中で生活サービスを維持していく
  • 安全は確保しながら、生活の場として多様性を求める
  • 環境負荷が少ない生活ができる都市構造

 

秋田さんは日本における持続可能なまちづくりにはこの三点が重要になるとおっしゃっていました。人口が減少していく中でも地域の特徴を活かし、子育てや仕事ができる環境を整える。そうすることで若い人が地域に入るようになり、持続が可能になるといいます。「安全の確保」というのは、具体例として人口減少が著しい地域が山のふもとであった場合、土砂崩れなどの災害対策に努める必要があることを意味します。

「環境負荷が少ない生活」については神戸市が「人と公共交通」をキーワードに現在進行形で都市計画を進めています。主な計画として三宮再開発や、水素エネルギーの利用拡大などに取り組んでいるそうです。三宮の車利用者を減らすために、そごうやマルイのそびえ立つフラワーロードの車線を大幅に減らす事業を進めています。「車を使用していては環境にいい街はつくれない」。できるだけ歩くこと、自転車や電車などを自然と選ぶまちづくりを進めています。

  • セミナーの様子②

 

○「ひとを動かす」「まちをつくる」。

中学生の時から科学雑誌『Newton(ニュートン)』を愛読していたという秋田さん。ある時の特集は「地球が危ない」、その次号は「未来は水素社会」だったといいます。この二冊で自分の人生は決まったと明るい口調でおっしゃっていました。大学進学でも環境への興味は薄れることなく、環境の学ぶことのできる学部へと進学したそうです。

興味関心のある分野に対して自身の理想だけにとどめず、実現のために一つ一つ課題をこえていく。効率のよいアウトプットに長けている方だと感じました。「この課題をクリアするには何が足りていないのか、必要であるのか」を慎重に見極めたのち、進むことを選ぶ。言葉にすると当たり前のことのようにも聞こえますが、実際に実行しているひとは極わずかだと感じます。秋田さんの行動力には根拠のある確信があり、だからこそ人が動くのだと感じました。

 

○まちづくりに大切なこと。

行政、市民、業者。どれかひとつでも自分だけの都合に合わせてしまえば持続は不可能になります。それぞれの立場から意見を交換尊重しあい、人々の笑顔がよりあふれるまちへと変えてゆく。「今から、いつまでに、何をする」という具体的な目標を繰り返し積み重ねていくことが、まちの発展に大切であるとおっしゃっていました。

三宮再開発の「車の優先順位を落とす」という話に関して車を利用することが「閉ざされた空間」を作りだし、ひととの繋がりをなくしてしまっていることに気づかされました。車に乗っていては表情がわかりません。公共機関や徒歩といった手段を使うことで、ひとの感情の動きなどを肌で感じることができ「同じ場にいる」という繋がりができるように思います。ひとが自然と集まり良いエネルギーで包まれる、そんなまちにより近づくことを期待します。(学生ライター関口)

【神戸ソーシャルセミナーwith保養キャンプと福島(2018.11.14)】

「持続可能なまちづくり」─保養キャンプと福島─

神戸ソーシャルセミナー11月のテーマは「持続可能なまちづくり」。第一回目はフリースクール「ラミ中学校」元スタッフ小野洋さんに、「原発事故被災地の子どもたちの保養『たこ焼きキャンプ』」から3.11被災者と復興についてお話しをしていただきました。

  • セミナーの様子

 

○「たこ焼きキャンプ」に至るまで。

2011年3月、東日本大震災と福島県で大規模な原発事故が起こりました。小野さんは震災から一か月後、生まれ故郷である福島県会津市へとボランティアに向かったそうです。

2回目に訪れた際にはフリースクールで使っていた大きな「たこ焼き器」を使い、避難所にいる方々にたこ焼きをふるまいました。そこで会津のボランティア団体の方に「保養キャンプ」の話を持ち掛けられたといいます。「保養」とは原発事故被災地から離れ、被ばくの少ない地域で一定期間すごし心身を癒す取り組みのことです。同年7月には兵庫県内にて第一回「たこ焼きキャンプ」を実現させました。当初の話では「関西に子ども300人を迎え入れられる場所はないのか」といった話であったため悩んだそうです。しかし、「一人でも二人でもいいじゃないか、やってみよう!」という言葉に背中を押され、実行を決意しました。

 

○たこ焼きキャンプ。

  • 「たこ焼きキャンプ」の動画

  • 「たこ焼きキャンプ」パンフレット表紙

 今年で8回目となった「たこ焼きキャンプ」。放射能の影響によって外で遊ぶことのできない子どもたちが2週間のキャンプを通し、兵庫県の自然の中で思う存分あそびます。参加した子ども達の感想には印象に残ったこととして「海で釣りをしたこと」「バーベキュー」「夏祭り」「スタッフさんが遊んでくれた」などの、輝かしい思い出がつづられていました。また保護者から寄せられたメッセージでは、たこ焼きキャンプへの感謝と子どもへの穏やかな愛がこめられていました。放射能への不安が大きい分、親は子どもが明るく元気に過ごすことを何よりも願っている事が伝わってきました。

「明石で遊ぼう!たこ焼きキャンプHP」〈 https://takocamp.exblog.jp/ 〉

 

○人とのつながり。

小野さんの取り組む「たこ焼きキャンプ」では自然の中で過ごし心身の疲労を癒す以上に、「人とのつながり」の尊さを感じました。兵庫県のひとが、福島県からやってくる子どもたちに何かしたいという想いから小さな「夏祭り」に発展したこと。第1回目のキャンプが終わり、帰りの新幹線で子ども達が「もう会えない」と泣いていたこと、そのことから福島市にて「同窓会」が行われたこと。全てが一度につながったのではありません。小さな声がひとつひとつ丁寧に紡がれた結果だと思いました。

その一方、今でも福島県には課題が残ります。放射線量はこれからあまり下がっていかないことや、初期被ばく者の健康への影響はこの先も不安とともにあります。それらを踏まえて「原発事故は、人のつながりも切り裂く」という話がありました。「農民を大地から、漁民を海から、人々を故郷から、子どもたちを自然から切り離す」。今でも多くの避難者が故郷に帰れずにいることや、賠償格差からくる人々の分断。それによって起こる「語り合えない現状」。震災から8年がたとうとしている今でも、変わらない現状と深刻化されていく問題が残ります。

 

○これからも「種をまき続ける」。

「私たちにできることってなんでしょうか…?」この私の問に、小野さんは「忘れないでいてほしい」と答えてくださいました。可能であれば復興の進んでいるところや、除染された土がある場所などを実際に訪れて見ることで「風化させない」「気にかける」ことにつなげてほしいと。自身の生活とともに福島県との「繋がり」を感じることが大切であると気づかされました。

「放射能だけではなく、様々な環境・社会問題が解決困難な中で、「それでも種をまき続ける」営みとして、たこ焼きキャンプや福島と関わる活動を続けていきたいと、思っています。」

 セミナー最後のスライドに書かれていた言葉です。「たこ焼きキャンプ」に来た子ども達が、またその親が「他県にも自分達を気にかけてくれる人達がたくさんいる」という事を知り、日々の光になることを願います。事故の収束の見通しが立たず不安な状況にある中で、参加者の声から「たこ焼きキャンプ」の存在が救いになっていることが伝わってきました。子ども達の笑顔が大人の活力になり、またその大人が行動を起こし、子どもたちも笑顔になる。そんな連鎖を起こし続けてほしいです。(学生ライター関口)

  • 受講者の皆さまと。中央が小野洋さん。

【神戸ソーシャルセミナーwithボールドヘッド(2018.10.24)】

「不平等をなくす」─女性と髪、生きるを考える
神戸ソーシャルセミナー、「不平等をなくす」。第3回目はヒロセアキコさんにおこしいただき、自身の意思に反して髪を失った女性とその生き方についてお話して頂きました。

  • ヒロセアキコさん

もし自分が、大切なひとが、ある日病気を宣告されたらあなたはどうしますか?その病によって髪を失う事となったら、どう向き合っていけば良いのでしょう。今回は病によって髪を失うこととなった女性のお話を中心にしていただきました。

 

○ヒロセさんについて。

ヒロセアキコさん。笑顔の素敵な女性です。『汎発型全身性脱毛症』を平成26年6月に発症、それからわずか半年で全身の体毛を失いました。発症当時は受け入れがたい現実に塞ぎこんでしまったそうです。しかし「マイナスな気持ちばかりでは進めない」と決心し、同じ症状の方の書くブログや、動画サイトでヘアターバンなどのアレンジを楽しみ自分の強みにしている女性などを真似て、一歩ずつ前へ踏み出しました。

 

○過ごしやすい環境。

昨年ニューヨーク国連本部のNGO団体が主催するイベントに、仲間と共に参加したというヒロセさん。ニューヨークに行き一番感じたのは奇異な目を向けられないことへの安心感。女性も男性も、髪のないスタイルは「ボールドヘッド」と呼ばれ見慣れた光景であるのです。自分の意に反して注目されない世の中に心地良さを感じたといいます。

日本はムラ社会と言われ、海外ほど多文化ではないこともあり多数派と違ったカタチを隠蔽または排除しようとする力が生まれやすい環境にあります。SNSなどのおかげで昔よりは少なくなっていますが、なかなか落とし込めない現状もあります。まだ日本では多くの人が女性の髪がないことを珍しく感じ、好奇の目を向けてしまいます。脱毛に対して前向きな姿勢のヒロセさんでも、街中へヘアターバンなしで向かうことにはかなりの勇気が必要とおしゃっていました。

 

○ゆにこAF!

脱毛に関するコミュニティが関西に乏しいことから、関西を拠点に新しいチームをつくりました。患者会の中で癒された当事者の「自分も何か行動したい!」といったステップアップの橋渡しをしていけたらと、4人で活動しはじめています。チーム名は「unique+original.AF」愛称は「ゆにこAF」。整備されていない情報を公式にまとめられるサイトなどを作成し、少しでも多くの人が励まし励まされる、そんな場所を目指します。

 

○生きるを伝える。

「生きるを伝える写真展」。乳がんを告知されたひとりの女性が、「今のありのままの姿を残しておきたい」とプロのカメラマンさんに写真を撮ってもらいました。そして同時に、同じような状況にいる女性も多くの人に知ってもらいたいと思ったそうです。女性の名前は高橋絵麻さん。このプロジェクトの発起人です。写真の女性たちはみな笑顔です。壮絶な闘病生活。それでも生きる希望は見失わない。同じ状況にある人も、当事者ではない人も、前向きに生きていく力が湧いてくる写真ばかりです。

2018年10月24日~27日の4日間、「協働と参画のプラットホーム」でもミニ写真展を行いました。私自身もみさせていただきましたが、一人ひとり違った表情をしていました。それは、それぞれが越えてきたものや守ってきたものの違いからだと感じます。内からあふれるエネルギーが伝わってくる方、照れたようにはにかむ方。家族で頬を寄せ合う写真には、寄り添い、分かち合うあたたかさを感じました。

  • 当事者の実際の声「生きるってなんだろう」「淋しいなら淋しいって言っていい」

「生きるを伝える写真展」公式サイト〈https://ikiru-syashinten.jimdofree.com/

  • 素敵な動画も見ることができます。中央はヒロセさん!

 

○自分の気持ちを大切に。

  • 百円均一のアクセサリーなど、取り入れやすいスタイルをしているそうです。

 

「髪は女の命」という言葉も存在するくらいです。本人へのダメージは計り知れません。私の友人は高校の時、過度なストレスによって円形脱毛症となりました。ヒロセさんが「『あなたに何がわかるの?』と思ってしまう」と語った時、確かに病気でもなく髪もある私には何もわからず、ただどう接するべきか探っていた当時の事が思い出されました。

当事者の声に「カミングアウトを進めたいわけじゃない」というものがあります。自分の気持ちに正直であってよいのです。ウィッグをしている自分も、髪がない自分も、両方大切な「ありのままの自分」です。また、周りのひとは本人の準備が整うまで見守ることがよいと教えていただきました。無理にカミングアウトを強いるより、認め理解する姿勢を整えることの方が重要です。

 

○大切にしたいもの。

人は誰しも、見た目も考え方も変わっていきます。今まで一緒に歩いていた人とのペースが合わなくなることもよくあります。病気のこと、髪のことを告白したら突然距離をとられてしまった。そんな事もあるのだと思います。それはとても辛く、どうしようもなく痛いことだろうと想像できます。そんな中どうか自分だけでも、自身を肯定し続けてほしいと願わずにはいられません。前は向けなくても、歩き続けていたらきっと晴れる日が訪れるのだと思います。

ヒロセさんを含め病気を発症した方々、その家族、友人、最愛の人。多くの闘病のカタチがあると思います。鍵は寄り添うこと、ありのままでいること。無理に支えようとすると「母親」「友人」「娘」「恋人」といった大切なものを失い、「病人」のみに変えてしまう可能性もあります。お互いの気持ちを尊重しあい、心地よくすごせる関係を築き、またそのあたたかな輪を広げていってほしいと思います。(学生ライター関口)

【神戸ソーシャルセミナーwithしょうがい者(2018.10.17)】

「不平等をなくす」─福祉とまちづくり─

神戸ショーシャルセミナー、10月のテーマは「不平等をなくす」。第2回目の今回は福祉・アート系NPO法人「月と風と」の代表、清田仁之さんにお話しをしていただきました。

  • 清田仁之さん

 「障害者って不便はあるけど不幸じゃない」。その不便は周りのサポートで解消できる。そんな信念のもと2006年11月、「月と風と」は設立されました。誰かの力を借りつつも道を照らす月は障がい者をイメージし、風は街に流れる音楽をイメージしています。「地域一体となったまちづくりを」そんな想いがこめられています。

 

○スタッフは9人まで。

月と風とのスタッフは現在6人で活動しています。それは清田さん自身が大きな組織にいたときの「制限の多さ」からくる息苦しさを解消するためです。スタッフの気持ちや意見などにしっかりと耳を傾け話し合える環境を大切にしています。

 

○「全員を」という事が必ず平等とは限らない。

「みんなは助けられない」「自分たちが大切にできる範囲での活動を」清田さんが守っていることです。平等とは一体何であるのでしょうか、「同じ状況下に泣く人と笑う人がいる」そんな定義も付けられます。ひとには限界があり、それを見誤ると自身の本当にしたいことや目標さえも見失ってしまします。見失った意思は不平等を生み出しかねません。あくまで、自分たちで協力し合い、目の前の人を大切にする。「選択すること」は平等への第一歩であるのです。

 

○ミーツ・ザ・福祉

尼崎市には「提案型事業委託制度」というものがあります。行政が抱える事業を、希望があれば民間に委託するというものです。そこに「月と風と」が提案し、2017年「ミーツ・ザ・福祉」というイベントを開催しました。(左図は2018年度版ポスター)

従来、福祉のイベントというのは運営も来るひとも福祉関係といった場合が多いです。しかしこのイベントでは「福祉に出会うきっかけを」をコンセプトに「障害がある人もない人もそれぞれの違いを受け止め活かす」そんな場を目指して開催しています。

『ミーツ・ザ・福祉2018』公式サイト〈http://meetsthefukushi.strikingly.com/

 

○アートと福祉。

「障がいがあってもなくても同じ人間」という視点から、芸術を通すと「この発想は自分にはできない!」といったような逆転が起こせるため、福祉にアートを取り入れたといいます。プロジェクト「月イチ現代美術館」は自己の世界を自由に発表できる場です。ルールはひとつ、「必ずほめる」ということ。また発表された作品を集め汎用性の高い布を作成しチャリティー販売もしています。

  • 作品をコラージュしたグッズ。右は国民的アイドルの…?

  • 実際に着用してくださいました!

○明日が来るのが楽しいと思えるまちを一緒に。

月と風とのある尼崎市園田。米ポートランドのようにものを大切にし、ノースカロライナのように知的障害の方にも生活しやすいサインが日常にあふれている。そしてバークレーと同じくらいバリアフリーな街を目指す。それが「福祉のまち園田プロジェクト」です。そういった地域をつくれば、障がいを持ったひともいきいきと暮らせるのではないか。月と風とを拠点に、自分たちの声がゆき届く範囲内での活動を心がけています。

 

○月と風と、みなさんと。

その他にも「おふろプロジェクト」など障がい者と地域の人との交流を重視している「月と風と」。では障害を持っていない人は障がいがある人と対面した際、どのような対応をするべきでしょうか。

大切なのは「相手を知ろうとすること」。私は過去に知的障害の子に対し、過度に優しく接していた事があります。友人に「なんで○○君にだけ優しくするの?」と聞かれ、困ってしまったのを覚えています。今思えば「障がい者だから」という理由で優しくしていた(差をつけていた)ことがよくわかります。そうでなければしっかり説明できたはずです。

障がいという言葉で頭ごなしに判断するのではなく、話を聞き相手の得意不得意を受けとめ、自分にできることがあればカバーする。それがお互いに気持ちよく過ごす鍵となります。まずは受け入れる態勢を整える。それだけで状況は大きく変わります。「月と風と」は「障がいを持った人」ではなく「○○さん」と目の前の相手を見つめることを促します。地域の人全員が対等にいられる、そんなまちづくりを実現しているのです。(学生ライター関口)

【神戸ソーシャルセミナーwithフリースクール(2018.10.10)】

「不平等をなくす」─フリースクールの視点から─

神戸ソーシャルセミナー、今月のテーマは「差別をなくす」。第一回目はNPO法人フリースクールみなも理事長の今川将征さんからお話を聞きました。大学卒業後一年足らずでフリースクールを立ち上げたという今川さんに「フリースクール」という教育のあり方について教えて頂きました。

「フリースクールみなも」今川将征さん

───フリースクールとは?
現在日本にあるフリースクール全てで共通しているのは「不登校の子どもが来ている」という事のみです。どういったコンセプトで、どのような事をしているかはそれぞれ異なり、多くは「安心して過ごせる居場所」をキーワードに教育の場を提供しています。一方で「学校へ戻る」ことを最終目標にしている団体や、学習塾をベースに、不登校の子どもの学習サポートのみをおこなっているところもあります。現段階で「フリースクール」を定義づけるものは無く、様々な形のものが存在しています。

───フリースクールみなもの活動。
先ほど述べたようにフリースクールに決まった形はありません。今川さんが運営するフリースクールみなもは2004年に設立されました。不登校の子どもたちに有用だと考え、かつ自分たちができる事はなんでもおこなっていく。「多方面から総合的に」をコンセプトに子供たちを支援しています。強制されるものは一切なく子供たちの気持ちを最優先に考え、ひとりひとりのニーズに合わせた場を提供しています。また、「親カフェ」といった不登校の子どもを持った親同士が交流できる場もつくり、子どもだけではなく親の不安も共有し緩和する取り組みもおこなっています。


セミナーの様子

───「学校を選ぶ」という事、それにともなう課題。
現在の日本の法律で普通教育を受けられる場として認められているのは「学校」のみです。これは学校以外の民間の学びの場に通う子どもが、「不登校」として扱われる事を意味します。「人間関係に悩み学校に行きづらい」、「学校のカリキュラムではない別のコンセプトで学びたい」等のいかなる理由であっても、「学校に通わなければ不登校」という事になります。ここで子どもたちの意に反した不平等が生まれているのが現状です。

──学校に行けなくても大丈夫。
今回今川さんにお話しして頂いた「フリースクール」。学校以外にも「安心して過ごせる居場所」は存在する。その事実は「学校」という場に翻弄される子どもたちにとっての光になります。外の世界には多くの選択肢があるという事を知ってもらうだけでも子どもは「安心感」を得る事ができ、自分が呼吸しやすい環境へと身を置く事に繋がります。

セミナー参加者の感想より

今大人が子どもにできる事はなにか。「自由って安心できそうで、安心できない。」いくら自由にしていいと言われても、発達段階の子どもにとって漠然とした自由は不安な面もあると思います。子どもと接する大人に求められているのは「将来のために」と強要するのではなく、ひとりひとりの声に耳を傾け「道はひとつではない」と伝える事、本人の意思を尊重し許容することだと考えます。目まぐるしく変化する時代と並行して、教育の形も一層自由に、子どもたちにとってより心地よい環境を整えて欲しいです。(神戸学生ライター 関口 )

【神戸ソーシャルセミナーwithパナソニック(2018.9.26)】

第4回目のゲストは、パナソニック株式会社から奥田さんにご登壇いただきました。
奥田さんには、大きな企業が、貧困など社会的な課題に対してどのように関わりをもっているのかを「SDGs(=持続可能な開発目標)」という考え方を軸に、お話ししていただきました。

SDGsでは、17のゴールがあり、その1つが「貧困」ですが、いくらそこにお金を投入しても、持続可能な社会をつくらないと元に戻ってしまう。例えば貧困の課題を解決するためには、まず質の高い教育を子どもたちが受けられるようにすることで、社会が良くなり、中・長期的に貧困の撲滅へつながるということが考えられるということに触れられ、17のゴールをひとつづつやるというよりも、いくつかのゴールが関係しあっていると考えることで、社会の理解が進むのではないだろうか、というお話しがありました。

そして、奥田さんが関わるインドネシアやミャンマーの無電化村における「ソーラーランタンプロジェクト」についてお話いただきました。
電気のない地域に”あかり”を届けることで、教育、医療、経済、安全などの課題の解決に貢献することを目指して、2013年から10万台以上のソーラーランタンを寄贈してきたどうプロジェクトでは、それぞれの地域で活動するNPOやNGOと協働することで、寄贈されたランタンがぞんざいに扱われないようにするとともに、現地からのフィードバックをもらえるような体制をつくり、結果現地のニーズに合わせて改良を重ねていったそうです。象徴的な改良点としては、フィードバックをもとに持ち手を波型にしたことで、これにより、壁の釘や天井のヒモにつるしても安定するようになったというお話がありました。

こうしたライトがあることで、夜間の作業が進み、収入が増え、女性の副業を支援することができたほか、従来光源としてもちいられていた灯油ランプを使わなくなったことで、灯油から出るススが減り、結果呼吸器疾患を4割も減らすことにも貢献したり、学習の時間(機会)が増えたことで、進級テストの合格率も 6割から10割へと改善することができたそうです。
そして、光源の確保は医療にも影響し、夜間の手術や出産の安全にも貢献し2,434人の誕生に関わったという報告もあるそうです。
これらをSDGsに置き換えると、7.エネルギーに関わることで、3.健康福祉や4.教育、そして5.ジェンダーへとインパクトを与え、最終的に、1.貧困のゴールを目指すといった繋がりがみえてくるといったことをお話いただきました。

今回のお話ではNPO/NGOと協働することで、これまで接することのできなかった消費者のニーズを汲んだマーケティングや商品開発の可能性を垣間見ることもできました。

 

 

≪今回のゲスト≫

パナソニック株式会社

奥田 晴久さん